■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
直樹(なおき)
雅史(まさし)
さくら
■台本
ザクザクと土を掘る音。
スコップがカツンと缶に当たる音。
直樹「お! あった、あった!」
雅史「おお! ホントだ」
さくら「うわー。懐かしいね」
直樹「さっそく開けてみようぜ」
ガサガサと缶の中を開ける音。
雅史「えーっと、これが直樹ので、こっちがさくらのか」
直樹「お、サンキュー」
さくら「なんか、ドキドキするー」
雅史「なんて書いたのか、覚えてないのか?」
さくら「あはは。10年前だよ? それに覚えてたら、タイムカプセルにならなくない?」
雅史「それもそうだな」
直樹「さてと。10年前の俺はなんて書いたのかなっと」
さくら「どうせ、バカなことしか書いてないんじゃないの?」
直樹「そんなわけねーだろ。きっと、なんか、すげーこと書いてるって」
雅史「語彙力……」
さくら「ホント、あんたは10年前から変わってないわ」
直樹「見てろって。きっと、お前らより格好いいこと書いてあるはずだぞ」
さくら「へー。じゃあ、さっそく、開けて見て見なさいよ」
直樹「ふふん」
ガサガサと手紙を開ける直樹。
直樹「えーっと、なになに? 『10ねんごのオレへ。きっと、いまは、テストで100てんをとって、うんどうもすごいことになってるよね?』」
雅史「……語彙力」
さくら「すごいことってなによ(笑って)」
直樹「うっせー。こっからだよ、こっから。えーっと『いまはもう、けっこんして、こどもも3人いるころかな?』」
雅史「……ぷっ!」
さくら「あはははははははは!」
直樹「……」
雅史「17歳で、子供3人ってすげーな!」
さくら「結婚どころか、彼女もいないのにね」
直樹「うっせー! まだだ! まだ、最後に凄いこと書いてあるはずだ。……えっと『ぞうりだいじんになった?』だって」
さくら「草履大臣? なに? 懐で温める的な感じ?」
雅史「……あ、わかった! 総理大臣じゃね?」
さくら「あー。なるほど。……確かに、凄いこと書いてたわね」
直樹「……総理大臣ってなんだ?」
雅史「おっと、びっくりだな」
さくら「まさか、10年前よりバカになってるなんてね」
直樹「ち、ちくしょう! 言いたいこと言いやがって……」
場面転換。
放課後の教室。
直樹が机向かって、何かを書いている。
ガラガラと教室のドアが開く。
さくら「あ、いた。直樹、一緒に帰らない? ……って、何書いてるの?」
直樹「……タイムカプセルの返事だよ」
さくら「笑ったことは謝ったじゃない。ごめんってさ。……ん? 返事?」
直樹「ああ。10年前の俺に、もう少し、ちゃんとしたこと書けって忠告してやるんだ」
さくら「……そ、そう。届くといいね……」
直樹が真剣に手紙を書いている。
終わり。