鍵谷シナリオブログ

【アニメ用シナリオ】カラーパレット

〈前の10枚シナリオへ〉 〈次の10枚シナリオへ〉

■ジャンル
アニメ用、学園ファンタジー、バトル

『元色小学校』の看板

  先生が教室のみんなにプリントを配っている。

先生「来週の土曜日は、授業参観ですからね。お父さん、お母さんにみんなが勉強しているところを見て貰いましょうね」

  プリントをジッと見る、戦場真央(8)。

真央「……」

  トボトボと歩いている真央。

  急に目の前にネズミのような妖精であるチューが現れる。

チュー「真央、落ち込んでるのか? こればっかりは仕方ないって」

真央「わかってるよ。チューは黙ってて」

  頬を膨らませて、プイってそっぽを見る。

チュー「あ、そーだ! 姉ちゃんに来てもらえばいいんじゃない?」

真央「……無理だよ。お姉ちゃん、土曜日はバイトの日だもん」

チュー「バイトなんて、休んでもらえばいいじゃん」

真央「そんな我がまま言えないよ。お姉ちゃんだって大変なのにさ」

チュー「そうは言っても……ん? 真央、グリードの気配だ! パレット出して!」

真央「うん!」

  ポケットから二つに折りたたまれたパレットを出す真央。

  そしてパカッと開く。

  パレットの上段部には白、赤、黄、青の絵の具のようなものが乗っている。

チュー「結構近いよ、変身しておいて」

真央「わかった!」

  真央が白色の絵の具のようなものを親指に付け、頬にサッと塗る。

真央「へーんしん! 色の戦士、カラーパレット!」

  真央が光に包まれ、変身する。

  白色の服で魔法少女のような姿。

チュー「来たぞ!」

  道路の下から影のようなものが、ニューっと出てくる。

  黒い影が人間の形になる。

グリード「うう……」

真央「よかった。今回のは小さいね」

チュー「油断しないで! 変な能力を持ってるかもしれないんだから!」

グリード「腹減ったぁーー!」

  いきなり叫び始めるグリード。

チュー「今回のは腹ペコか……。まあ、確かに大したことなさそうだ。黄色で、チャチャっとやっつけるか」

真央「そうだね」

  真央がパレットの黄色を指に取り、頬に塗ると、真央の衣装が黄色に変化する。

真央「えーい!」

  真央がグリードに向けて両手を広げると、魔法の玉が飛び出す。

グリード「くえーー!」

  突如、猛スピードで動き、玉を避けるグリード。

チュー「早い!」

  玉はグリードに避けられたので、道にあった看板に当たり、壊れる。

真央「あー、やっちゃった!」

チュー「そんなことより、来るぞ」

  グリードが迫ってくる。

チュー「一回下がって! 赤にチェンジしよう」

真央「わかった!」

  真央が後ろに下がり、パレットを開き、白色の絵の具を頬に塗る。

  再び、白色の衣装に戻る。

グリード「くえーーーー!」

  真央に迫って、拳を振り回すグリード。

真央「ちょ、ちょっと待ってよー」

  何とか避け続ける真央。

チュー「なんとか、隙を付いて赤を塗るんだ!」

真央「わかってるけど……。もー、色変えるときに一回、白塗らなきゃならないのは、面倒くさいよ」

チュー「そればっかりは仕方ないよ。そういうもんなんだからさ」

真央「もうー」

  グリードの攻撃を躱しながら、何とか赤色を頬に塗ることに成功する。

  すると赤の衣装になる。

真央「えーい!」

  真央がグリードに向かってパンチを繰り出すが、避けられる。

  そして、後ろにある石の塀に当たり、石の塀が破壊される。

チュー「なにやってるの! ちゃんと狙って!」

真央「わかってるってばー!」

  真央はグリードの動きをジッと見て、タイミングを合わせてパンチを繰り出す。

真央「やー!」

今度は当たって、グリードが木っ端み微塵になる。

真央「ふう……」

  そのとき、家のおじいちゃんが出てくる。

おじいちゃん「ふおー! 家の塀がー」

真央「やばっ!」

チュー「よし、真央、逃げるよ!」

真央「うん!」

  ダッシュして逃げていく真央とチュー。

  戦場さやか(18)が授業参観のプリントを見ている。

さやか「んー。バイトあるから無理ね」

真央「えっとさ、その……最初の一時間とか、最後だけでもダメかな?」

さやか「あー、無理無理。てか、こういうの出れないって言ってるでしょ」

真央「……」

さやか「ほらほら、むくれないの。別に毎日家で会うんだから、わざわざ学校で会う必要もないでしょ」

真央「そんなんじゃないもん。みんな、お父さん、お母さんが来るのに、私だけいない」

さやか「はー。また真央の我ままが始まった。いないものはいないんだから、しょーがないでしょ」

真央「……」

さやか「……あー、きっと、お父さんもお母さんも天国から見てくれるよ」

真央「お姉ちゃんの馬鹿―! そういうんじゃないんもん!」

  リビングから出て行く真央。

  部屋に入るなり、ベッドに顔を埋める真央。

チュー「……ごめんな。相談するだけしてみたらなんて言って」

真央「……放っておいて」

  真央がトボトボと歩き、その横をチューが飛んでいる。

チュー「あーあ、授業参観かぁ。あ、そうだ。お腹痛いって言って休んだら?」

真央「そんなことできるわけないでしょ」

チュー「真央は真面目だなぁ……ん? グリードの気配だ」

真央「うん!」

  パレットを取り出し、変身する真央。

  同時に壁からグリードが現れる。

真央「悪いけど、今日は機嫌が悪いんだからね」

グリード「寂しい……」

真央「え?」

グリード「寂しいよぉ」

真央「……」

チュー「何してるの、真央! 赤に変身して」

真央「あ、うん」

  赤色に変身する真央。

グリード「お父さん、お母さん、もっとボクに構ってよ!」

真央「……」

チュー「真央、攻撃、攻撃」

真央「(ハッとして)う、うん!」

  パンチを繰り出すが、グリードに避けられ、逆に攻撃される。

真央「きゃっ!」

チュー「大丈夫、真央」

真央「うん、平気」

グリード「見えた。君のお父さん、お母さん」

真央「え?」

  グリードが二つに分かれ、それぞれ真央の父親と母親に変身する。

チュー「変身した!」

真央「お父さん……お母さん……」

チュー「なんだって? さっきの攻撃で、記憶を読まれたのか!」

父(グリード)「真央。寂しい思いさせたね」

母(グリード)「でも、もう大丈夫よ」

真央「……ぐす。お父さん、お母さん」

父(グリード)「おいで、真央。お父さんたちと言い署に暮らそう」

母(グリード)「これからは、ずーっと一緒よ」

真央「うう……」

  泣きながらグリードの元に歩み寄る真央。

チュー「騙されたらダメだ!」

  ギュッと両親の姿をしたグリードに抱き着く真央。

チュー「真央!」

真央「寂しかったよぉ」

父(グリード)「そうだね。でも我慢して真央は偉いね」

母(グリード)「お姉ちゃんは真央を放っておいてばっかりだもんね。あんなのは家族じゃないわ」

真央「家族……」

  泣いている真央をそっと抱きしめるさやか。

さやか「泣いてたら、お父さんとお母さん、心配しちゃうよ」

真央「でも、私、独りぼっちになっちゃう」

さやか「私がいる。二人だけの家族になっちゃったけど、私がずっと真央を守ってあげるからね」

真央「お姉ちゃん……」

真央「ごめんね、お父さん、お母さん」

父(グリード)「どうしたんだい?」

  真央が二人から離れる。

真央「私にはお姉ちゃんがいるから。だから、寂しくなんてない!」

  真央が黄色を頬に塗る。

チュー「ダメだよ、白でリセットしないと!」

  だが、真央の衣装が緑色になる。

チュー「もしかして、新しい色?」

  真央が右手を掲げると光が溢れ、グリードの影が消えていく。

真央「さよなら、お父さん、お母さん」

  授業参観で大勢の親が来ている中、授業が始まる。

  その中で普通に授業を受けている真央。

  ドアが開き、さやかが入ってくる。

  振り向く真央。

真央「あっ!」

  さやかが小さく手を振る。

  にこりと微笑んで、前を見る真央。

  その顔はとても満足そう。

終わり

〈シナリオ一覧へ〉

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

モバイルバージョンを終了