いきなりラストバトル4

いきなりラストバトル4

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■概要
主要人数:3人
時間:13分

■ジャンル
ボイスドラマ、学園、ファンタジー、コメディ

■キャスト

神崎茉奈
烈兎

■台本

蓮(N)「焚戌に狙われるという事件から一か月が経った。俺は極力チラシを受け取らず、知らない奴から来たメールは開けずに削除し、図書館の本も必ず前に借りた人がいるものしか開かないようにしていた。確かに一か月くらいは気を張っていられるが、人間、そうそう集中力は続かないものだ。油断。そう、奴らは油断した頃に忍び寄ってくる……」

  学校のチャイムが鳴る。

  教室で本のページをペラペラめくる蓮。

蓮「……」

  本のページをめくる。

茉奈「ちょっと、蓮くん、邪魔なんですけどー」

蓮「ん? 神崎か。なんだ? ここ、俺の席だぞ。邪魔呼ばわりされる覚えはないんだが?」

茉奈「ほほー。じゃあ、蓮くんの周りは掃除しなくてよいってことだね」

蓮「げ! 掃除の時間か。すまん、今、避けるって、あれ? 他の奴らは?」

茉奈「もう帰ったよ」

蓮「いや、お前の班の奴らだよ。なんで、お前しか掃除してないんだ?」

茉奈「ふっふっふ。これを見たまえ」

蓮「……百円玉が4つ?」

茉奈「そう。つまりは一人100円で掃除を代ることを了承したのよ」

蓮「んー。それ、どうなんだ? 対価に見合ってるのか?」

茉奈「掃除なんて30分で終わるからね。時給に換算したら800円。まあ、そこそこなんじゃない?」

蓮「……そう言われれば、そんな気がしてくるな。まあいいや。どうせだから手伝ってやる」

茉奈「はっ! まさか、私の100円を狙ってるの!?」

蓮「いや、そんなんじゃないって。ボランティアだよ、ボランティア」

茉奈「あらそう。でも、借りを作るのは面白くないから、今度、体で払って、あ、げ、る!」

蓮「……お前の体は100円より軽いのかよ」

  蓮と茉奈が掃除をしている。

茉奈「そういやさー、蓮くん、さっき何読んでたの?」

蓮「ん? ああ、文集だよ。今、和歌とか詩とかにハマってるんだ」

茉奈「マンガとかラノベとかは読まないの?」

蓮「普通に読むよ。ちょっと前までは結構、ハマってた」

茉奈「どんなジャンルが好き? やっぱ、ファンタジー? それとも学園ものとか?」

蓮「……前はバトルものが好きだったけど、色々あって、今は読まないようにしてる」

茉奈「そうなんだ? 私はやっぱ、王道なのが好き。選ばれし勇者が魔王を倒す! かー! 燃えるねぇー!」

蓮「ああ……。うん。どうだろうな……」

茉奈「あーあ。私も勇者とかに選ばれないかな」

  蓮が茉奈の両肩をガッと掴む。

蓮「神崎!」

茉奈「え? え? え? なに? いきなりの告白タイム? その……蓮くんなら私……」

蓮「いいか? 勇者になんか勧誘されても、絶対に断れよ! いいことなんてないんだからな!」

茉奈「……は? どゆこと?」

蓮「絶対だからな! 断れよ! 忠告したからな!」

茉奈「えっと……。わかったよ……」

蓮(N)「そして、あれから2日が経った」

  学校のチャイム。

  廊下を歩く蓮。

蓮「さてと、今日も図書室に寄って帰るか」

茉奈「ふっふっふ。はっはっはっはっは。あーっはっはっはっは!」

蓮「……神崎?」

茉奈「ここで会ったが100年目! この伝説の勇者、神崎茉奈の名において、魔王を成敗してくれる!」

蓮「……いい病院、紹介しようか?」

烈兎「ふふふ。そんなこと言ってられるのも、今のうちやで」

蓮「なっ! お前は……烈兎」

茉奈「うっちーから、色々聞かせてもらったわ」

烈兎「なあ、茉奈。なんで、ワイがうっちーなん? ワイの名前は烈兎、れっとやで?」

茉奈「ウサギだから、うっちー」

烈兎「そ、そうか……。まあええわ、どうでも」

茉奈「それより、聞いたよ、蓮くん。まさか、君が魔王だなんて……」

蓮「は? なんで、そうなるんだよ? おい、烈兎、お前、神崎に何を吹き込んだ?」

烈兎「そのまま真実を伝えただけや」

蓮「ふざけんな! なんで、俺が魔王なんだよ」

烈兎「胸に手を当てて考えてみぃ! この悪党が! ワレのせいで、3人も犠牲者が出とるんやぞ!」

蓮「俺は降りかかる火の粉を払っただけだ。正当防衛以外のなにものでもない!」

烈兎「ふん。犯罪者はみんなそういう言うんや」

蓮「大体、魔王は勇者と対となる存在なんだろ? 俺のところには、お前みたいなのは来てねえし、力にだって目覚めてねえぞ」

烈兎「うっさい、ボケ! これは復讐や。もう魔王なんてどうでもええ! お前さえボコれれば、それで満足や!」

蓮「一番大事な設定がブレブレじゃねーか!」

烈兎「前に言ったやろ。引き受けないと後悔するって」

蓮「意味合いが全然違うだろ!」

茉奈「よくわからないけど、とにかく、蓮くんを倒す!」

蓮「いや、一番大事なところだから、そこはちゃんと理解して!」

烈兎「くっくっくっく。さあ、覚悟しいや」

蓮「ちっ!」

茉奈「勇者として、最後にチャンスをあげる。どう? 私に協力してくれれば、世界の半分をあげるわよ?」

蓮「それ、有名な魔王の台詞だぞ?」

烈兎「さあ、茉奈! 奴を消し炭にしてやるんや!」

茉奈「ついに召喚だね! ワクワクするぅ!」

蓮「待て、神崎! 召喚なんか使ったら、寿命を持っていかれるぞ!」

茉奈「え? そうなの?」

烈兎「んー! 今回は損得抜きや! タダにしたる! もってけドロボー!」

蓮「俺のときに、そうしろよ!」

茉奈「よーし、じゃあ行くよ! 最初は焔虎からだ!」

蓮「え? それ、一番強い奴じゃね? 一撃で終わらせる気かよ」

烈兎「いけー! いったれー!」

茉奈「勇者、茉奈の名において命ずる、いでよ焔虎!」

  虎が吠えるような声と、巨大な炎の玉が浮かび上がる。

蓮「……マジか」

茉奈「蓮くん。最後に言い残すことはない?」

蓮「え? 本当に殺す気?」

烈兎「消し炭や! 消し炭や!」

蓮「絶対、お前らの方が魔王だろ……」

茉奈「ごめん、蓮くん。これも地球の平和のためだから」

蓮「いや、平和とか関係ないから! 普通に殺戮するだけだから!」

烈兎「いけー! 地球もろとも消滅させたれ!」

蓮「お前な……」

茉奈「さよなら、蓮くん。少しだけ好きだったよ」

蓮「ま、待ってくれ、神崎!」

茉奈「なに?」

蓮「じ、実はさっき、お前にメールを送ったんだ。お前に告白するメール……。せめて、最後はそのメールの返事を聞かせてもらってから死にたい」

茉奈「え? ホント?」

  炎の音が消え、茉奈がポケットから携帯を出して、操作する。

烈兎「あかん、茉奈!」

  蓮が走って茉奈の前に行き、携帯を取り上げる。

茉奈「あっ!」

蓮「……この携帯にお前からのメールが入ってるんだな?」

烈兎「あ、あははは……。なーんて、今までのは冗談。冗談やで。これからは3人で世界の平和のために頑張ろーや。な? な?」

  携帯を操作する音。

蓮「おっと、これだな。お前からのメール」

烈兎「あかん! 消さんとってーな。頼む! ホンマ、たの……」

  ピッというメールを消す音。

蓮(N)「こうして俺は4度目の世界平和を勝ち取った。そして、俺は奴のメールアドレスをスパムとして通報しておいた。もう二度と、新たな被害者が出ないことを祈るばかりだ」

終わり

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