【声劇台本】その恋応援し隊
- 2021.06.21
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
茉央(まお)
蓮夜(れんや)
美月(みづき)
一星(いっせい)
その他
■台本
茉央(N)「もうすぐ夏休み。普通の学生なら楽しみにしているはず。私も去年まではそうだった。でも、今年は違う……。夏休みということは学校が休みということ。そして、学校が休みということは一星くんに逢えないってことだ」
場面転換。
蓮夜「……なるほど。夏休みに入る前に、友達以上、恋人未満である、一星という男子生徒と付き合いたいと?」
茉央「は、はい」
美月「いい! 良いわ! その純粋な気持ち! 蓮夜、この恋、応援しましょ!」
蓮夜「ああ、そうだな。美月! その恋応援し隊、出動だ!」
茉央(N)「……藁にもすがるつもりで、恋の応援をしてくれる、その恋応援し隊に依頼してみたけど……大丈夫なんだろうか」
場面転換。
ザザッと通信機のノイズの音。
蓮夜「茉央さん、聞こえますか?」
茉央「は、はい。聞こえます」
蓮夜「この3日間のシミュレーションは完璧だ。自信を持ってくれ」
茉央「……はい」
蓮夜「とはいえ、トラブルは起こるもの。何かあっても、俺たちが完璧にフォローする」
美月「耳に着けた小型の通信機を落とさないように、気を付けてね」
茉央「わかりました」
蓮夜「あと5分で約束の時間だ。念のため、作戦の確認をしておこう」
美月「あくまで、今回のデートは相手から告白させることが目的よ」
茉央「……ホントに大丈夫ですか? やっぱり、告白してもらうなんて、無理だと思うんですけど……」
蓮夜「ふふ。まあ、不安になることはわかる。だが、大船にのったつもりでいたまえ。作戦は完璧だ」
美月「そうよ。恋は惚れた方が負け。最初にマウントを取れるかが、今後の恋に大きな影響があるわ」
茉央「は、はい……」
蓮夜「作戦1。男は胸が大きい女の子が好き、だ」
茉央「……言われた通り、パットを大量に入れてきました」
蓮夜「よろしい。これで、作戦の半分は成功したようなものだ」
茉央「そ、そうでしょうか……?」
その時、一星がやってくる。
一星「ごめん、待たせちゃったね」
茉央「一星くん! う、ううん。いいのよ。来てくれただけで嬉しいわ」
ザザッと通信機のノイズの音。
蓮夜「待て! ここは作戦2を使え」
美月「作戦2! 男はツンデレの女の子が好き、よ」
蓮夜「いいか。こう言うんだ」
咳払いをする茉央。
茉央「なんて、言うとでも思った?」
一星「え?」
茉央「遅いわ! 私を待たせるだなんて、何様のつもりかしら?」
一星「ご、ごめん……」
蓮夜「よし、この後にデレを発動! こういうんだ――」
茉央「あらあら。ちゃんと謝れて偉いわね。ご褒美に頭を踏んであげてもいいわよ?」
一星「……いや、そんなご褒美いらないよ」
茉央「……」
一星に背を向ける茉央。
茉央「ちょっと! 思い切り引かれたんですけど!」
蓮夜「む……。おかしいな。頭を踏まれるなんてご褒美、男なら絶対に喜ぶはずだが」
茉央「お前だけだよ……」
蓮夜「こうなったら次の作戦に行くしかないな。男は料理が上手い女の子が好き、だ。朝に俺が渡した、弁当を出せ。有名店で作ってもらった、特注の弁当だ」
茉央「な、なんちゃってー。ホントのこっちよ。お昼ご飯のお弁当。さっそく食べよ」
茉央がお弁当出す。
一星「ま、まだ10時だけど、もう食べるの? お昼ご飯」
茉央「うっ! えっと……」
一星「でも茉央ちゃんが食べたいっていうなら食べようか」
茉央「……一星くん。優しい……」
一星がパカっと弁当箱を開ける。
一星「……」
茉央「……」
一星「か、空だね」
茉央「そ、そうだね……」
一星に背を向ける茉央。
茉央「ちょっと! どういうことよ!」
美月「ごめん! すごく美味しそうだったから、一口貰うつもりが……」
茉央「……全部食べた、と?」
美月「……」
蓮夜「まあまあ、人に失敗はつきものだ。ここから巻き返していこう」
茉央「もう致命傷だと思うんだけど」
美月「即死以外はかすり傷だよ」
茉央「あんたが言うな」
蓮夜「落ち着け。次は遊園地に迎え。作戦3。吊り橋効果、だ」
美月「絶叫系に一緒に乗ることで、ドキドキした気持ちを恋と思わせるんだね」
蓮夜「その通りだ。弁当と一緒に遊園地のパスをお渡しておいただろ? そこに向かうんだ」
茉央「わ、わかったわ」
振り向く茉央。
茉央「い、今のはギャグよ、ギャグ。これから、遊園地行かない? 無料のパス券を持ってるの」
一星「うん。いいよ」
場面転換。
係員「このパス……来週の日付になってますね」
一星「……」
茉央「……」
茉央が一星から離れる。
茉央「……どういうこと?」
蓮夜「む……。だ、誰にでもミスはある。これは仕方ないことだな」
美月「そうそう。仕方ない、仕方ない。ここから巻き返していこー」
茉央「あんた達、ホント、自分に甘いわね」
蓮夜「次は上手くいくはずだ。正直にいうと、これがメインと言ってもいいほどだな。作戦4。男はか弱い女の子が好き、だ」
美月「さっき、刺客を向かわせたから、一星くんに守って貰ってね」
茉央「ちょ、ちょっと待って! 刺客って」
不良「よお、ねーちゃんだろ? 俺たちと遊んでくれるっていうのはよぉ?」
茉央「いや、えっと……誤解というか……」
一星「おい! 茉央ちゃんから手を放せ」
不良「……ヒョロガリ野郎はどいてろ!」
不良が一星を殴る。
一星「うわっ!」
茉央「っ! 一星くんに何すんのよ!」
ボコっと茉央が不良を殴る。
不良「ぐげっ!」
不良が崩れ落ちる。
同時に、パサっと胸パッドが落ちる。
茉央「パサ? ……きゃー! 胸バッドが」
一星「茉央ちゃん……」
茉央「いや、こ、これは違うのよ……。その」
一星「ふふ。おかしいと思ってたんだ。昨日と全然違うんだもん」
茉央「あ……」
一星「僕なんかに言われても、気持ち悪いかもしれないけど……。茉央ちゃんは茉央ちゃんのままでいいと思うよ。僕、茉央ちゃんくらいの方が……好きって言うか……って、ごめん! なんか、変態っぽいよね」
ザザッと通信機のノイズの音。
蓮夜「待たせたな。今、最高の作戦を思いついた。作戦5」
茉央「なんか、もう、面倒くさくなってきたな……」
美月「え?」
茉央「ねえ、一星くん」
一星「なに?」
茉央「好きです! 付き合ってください!」一星「……はい。お願いします」
ザザッと通信機のノイズの音。
美月「やったー!」
蓮夜「ふふ。ミッションコンプリートだな」
美月「その恋応援し隊、大成功! 私たちにかかれば、どんな恋もいちころだね!」
茉央(N)「いや、あんたたちは何もしてないから。っていうか、邪魔なだけだったんけど」
終わり。
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