【声劇台本】生ける伝説

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■概要
主要人数:7人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
カークス
ブライアン
その他

■台本

カークス(N)「ブライアンの名前を知らないスナイパーはいない。現に、この世界に入ったばかりの僕の耳にも、入って来ていた。ある意味、生きた伝説と化しているスナイパー、ブライアン。……会ってみたい。そう思うのは、ごくごく、普通の感情ではないだろうか」

場面転換。

男1「ブライアンか……。奴は本当に凄い。針に糸を通す。それを文字通りやってのける。しかも、一発でだ。失敗したこと? いや、聞いたことないな」

場面転換。

男2「天才……。奴のためにあるような言葉だな。お前は、米粒に文字を書けるか? 無理だよな? だが、奴は普通にやれるんだよ。しかも、初めてやってだぞ。誰がやれるってんだ? 断言してもいい。その道に関しては奴に勝てる者はいないだろう。過去の伝説と呼ばれるスナイパーも含めて、な」

場面転換。

男3「ブライアンの凄いところは、分析力だと俺は思ってる。ターゲットがどう動くか。奴はターゲットの全てを調べ上げて、どう行動するか推測するんだ。はは。心理学の学者なんかより、よっぽど当たる。いや、ホント、すげーんだ。中には、ブライアンは未来が見えている、なんていう奴もいるくらいだよ。まあ、さすがに、それはないだろうけどな」

場面転換。

男4「……天才、か。確かに、ブライアンは天性のものを持っている。だが、それ以上に、努力の天才だよ、あいつは。訓練の量はダントツだ。誰よりも訓練を重ねている。あそこまで自分を追い込める人間は、歴代のスナイパーでもいないと思う。それくらい、奴の特訓は常軌を逸している。あれだけのモチベーションを保ち続けるのは、並大抵な精神力じゃない。……おっと、真似しようなんて考えるなよ。精神が崩壊しても知らないぞ」

場面転換。

男5「ブライアンに弟子入りしたい? 辞めとけ辞めとけ。どうせ、興味本位だろ? すぐに奴の元から去るに決まってる。生半可な気持ちなら絶対に、お勧めできない。……はあ。わかったよ。そこまで本気っていうなら、紹介してやる。言っておくが、後悔はするなよ」

場面転換。

ブライアン「……お前か。俺の弟子入りしたいなんて、変人は。言っておくが、お前に教えられるようなことは何もない。そもそも、教えるのも下手だしな。わかったら、帰ってくれ。これから、特訓しなくてはならないんだからな」

場面転換。

パン! パン! パン! と銃を撃つ音。

ブライアン「いいか? スナイパーに必要なのは、集中力と忍耐力だ。どんなときでも、この2つだけは絶対に乱すな。乱した瞬間、失敗だと思え」

場面転換。

ブライアン「……今日は俺の仕事を見せてやる。一か月前からターゲットを調べあげてある。もうすぐ、ターゲットはここを通るはずだ。……来たぞ。よし! この位置はベストポジションだ。……だが、まだ撃つわけにはいかない。……確実に当てられるタイミングを待つんだ。わかってるな? 集中力と忍耐力だぞ。すーはー(深呼吸)。今日こそ成功させる。……今だ!」

パン! という銃声が響く。

ブライアン「くそ! 外した!」

パン! パン! パン! と連続で銃声が響き渡る。

ブライアン「動くなよ! あー、くそ! 隠れやがった! ふざけんなよっ!」

場面転換。

カークス(N)「針に糸を通すことが得意で、米粒に文字を書くこともできる。人並み外れた分析力と、人の10倍、努力している。……だが、射撃の才能だけが皆無。20年間、スナイパーの世界に身を置くが、未だに成功した案件はゼロ。……これがブライアン。生きながらにして、伝説となったスナイパーだ」

終わり。

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