【声劇台本】イメージ
- 2021.08.01
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
大雅(たいが)
華沢 美月(はなざわ みづき)
清彦(きよひこ)
その他
■台本
大雅「おらあっ!」
男「ぐあっ!」
大雅が男を殴り、男が倒れる。
男「く、くそ……」
大雅「ふん。これに懲りたら、うちの学校の生徒に手を出すんじゃねえぞ」
清彦「さすが大雅さん! 頼りになるっす! 大雅さん、最強っすね」
大雅「わかりきったこと、言ってんじゃねーぞ。おら、お前らさっさと行くぞ」
清彦「うーっす!」
舎弟1「あ、待ってください―」
場面転換。
大雅たちが歩いている。
清彦「いやー、やっぱ、大雅さんの喧嘩は爽快っすね!」
舎弟1「男の中の男って感じですよね」
舎弟2「周りの学校の奴らも、大雅さんにビビッて、手を出してこないっすよ」
清彦「それはそれで、残念っすね。もっと大雅さんの喧嘩、見たいっすよ」
大雅「男は無暗に力は振るわねーよ。俺が喧嘩するのは、仲間を助けるときと、降りかかる火の粉を払う時だけだ」
清彦・舎弟1・舎弟2「かっけー!」
大雅「大げさだ」
清彦「そういえば、大雅さん、腹減らないっすか? 俺、奢るっすよ」
大雅「別にいい……」
舎弟1「いや、奢らせてください! 助けてもらったお礼です!」
舎弟2「何がいいすかね?」
清彦「バカ! 大雅さんは男の中の男だぞ! 肉に決まってんだろ、肉に!」
大雅「……」
場面転換。
清彦「牛丼、肉マシマシ、ギガマックスっす!」
ドンと机にドンブリを置く清彦。
大雅「……」
舎弟1「すみません。本当は焼き肉とかがよかったんですが……」
舎弟2「今月、金欠で……」
大雅「いや、ありがとな。さっそく貰うぞ」
清彦「ういっす」
そのとき、店のドアが開き、美月が入って来る。
清彦「あれ? あれって、華沢美月じゃないっすか?」
舎弟1「生徒会長がファストフード店になんの用なんですかね?」
舎弟2「俺、噂で聞いたんっすけど、生徒会長って、野菜しか食べないらしいっすよ」
清彦「あー、わかるっす。なんつーか、清らかっていうか、儚げな感じっすよね。会長、サイコー!」
美月「……え? あっ……」
舎弟1「清楚ですよねー。素敵です」
美月「す、すみません。サラダください」
清彦「おお! やっぱ、サラダだけみたいっすね!」
舎弟2「噂通りっすね」
大雅「……」
場面転換。
学校の廊下を歩く、美月。
そこに大雅がやってくる。
大雅「よお」
立ち止まる美月。
美月「……なんですか? 突然」
大雅「昨日のことなんだけどよぉ」
美月「はあ……」
大雅「あん? 今、ため息ついたか?」
大雅と美月が話しているのを見て、ざわざわとする生徒たち。
生徒1「おいおい、生徒会長が、不良と話してるぞ?」
生徒2「生徒会長、逃げてー」
美月「あの……すいません、急いでますので……」
大雅「あ、お、おい……」
美月が歩き去っていく。
場面転換。
町を歩く大雅。
大雅「ふう。やっぱり、一人って言うのは気が楽でいいな。……ん? あれは……」
場面転換。
路地裏。
不良「なあ、いいだろ? 少しだけ、な? 俺と遊ぼうぜ」
美月「すいません。わたくし、男女交際は考えていないんです」
不良「いやいや、そんな固く考えないでさ!」
美月「失礼します」
不良「おい! 待てよ! 人が下手に出てればよぉ!」
美月「あの……手を放していただけないでしょうか?」
不良「離してほしかったら、遊ぼうぜ」
美月「はあ……面倒くさ」
不良「あん?」
美月「ふっ!」
不良「がっ!」
美月のハイキックが不良の頭にヒットして、不良が倒れる。
美月「ったく。すぐに引いていれば、痛い思いしなくて済んだのに」
大雅「へー。意外と強いんだな」
美月「なっ! ……な、なんのことでしょうか?」
大雅「おいおい。今更遅いって」
美月「はあ……よりによって、うちの生徒に見られるなんて……。失敗したわ」
大雅「なんで隠すんだ?」
美月「……別に。あんたには関係ないでしょ? どいて」
大雅「……お前さ、肉、好きだろ?」
美月「……な、何の話をしてるのよ」
大雅「普通、牛丼屋に来て、サラダだけしか食わないなんておかしいだろ」
美月「……」
大雅「本当は肉を食いに来たんだろ? けど、俺たちがいたから、急遽、サラダに切り替えた……だろ?」
美月「……だから、なんだってのよ?」
大雅「別に隠す必要ねーんじゃねーか? 肉が好きだっていいだろ」
美月「仕方ないでしょ! そういうイメージが付いちゃったんだから! あーあ。なんで、サラダしか食べないなんて、噂、立っちゃったんだろ。私、サラダなんて嫌いなのに」
大雅「噂なんて気にすることねーだろ。好きな物、食ったらどうだ?」
美月「……あんたに言われたくないわね」
大雅「な、何のことだよ?」
美月「あんた……肉、嫌いでしょ?」
大雅「な、なんのことだ?」
美月「牛丼屋で見てたけど、友達に隠して、残してたでしょ?」
大雅「……」
美月「あんたこそ、好きな物食べたらどうなのよ?」
大雅「……今更無理だ。周りからは男の中の男、なんてもてはやされてさ、好きな物は肉に決まってるなんて決められちまったんだよ。……ホントは野菜の方が好きなんだけどな」
美月「ぷっ! あはははははは! あんたが、野菜の方が好きって! 似合わない!」
大雅「うるせーな」
美月「でもさー。イメージって怖いよね」
大雅「ああ。大阪人は全員面白いはずだと思われてるのと同じだよな」
美月「そうね。北海道人が全員、寒さに強いと思われるのと一緒ね」
大雅「ふっ……」
美月「ふふふ」
大雅と美月が大笑いする。
美月「ねえ、何か食べに行かない? 美味しいサラダを出す店、知ってるのよ」
大雅「ホントか? じゃあ、今度、すげーボリュームの肉を出してくれる店を紹介してやるよ」
美月「それは楽しみね」
二人が歩き出す。
美月「ねえ、あんた、どんな映画観るの?」
大雅「……実はラブストーリーものが好きだ」
美月「あははははは! 似合わない!」
大雅「お前はどうなんだよ?」
美月「やっぱり、映画はホラーでしょ!」
大雅「他の奴らが知ったら、幻滅されるんじゃないか?」
美月「じゃあさじゃあさ、趣味は……」
二人の楽しそうな会話が遠ざかっていく。
終わり。
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