【声劇台本】不思議な館の亜梨珠 都市伝説

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■概要
人数:1人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、シリアス

■キャスト
亜梨珠(ありす)

■台本

亜梨珠「いらっしゃい。亜梨珠の不思議な館へようこそ」

亜梨珠「……え? どうしたの? そんなに興奮して」

亜梨珠「……ふーん。なるほどね。人魂を見てしまったと」

亜梨珠「ふふ。それじゃ、今日はあなたの方が不思議なお話をしてくれるのかしら? まあ、たまにはいいと思うけど」

亜梨珠「私? ……そうね。見たことあるというか、知っているって言った方が正しいかもしれないわ」

亜梨珠「詳しく教えてくれって言われても……」

亜梨珠「まあ、いいわ。それじゃ、今日はそのあたりにまつわるお話をしましょうか」

亜梨珠「たまにはあなたの話を聞きたかったのだけど……。それは次の機会にしようかしら」

亜梨珠「それじゃ、人魂についてね」

亜梨珠「あなたは人魂について、どのくらい知っているのかしら?」

亜梨珠「……なるほど。幽霊みたいな存在。つまりは文字通り、死んだ人の魂じゃないかって話ね」

亜梨珠「確かに、一般的にはそのような認識を持っている人が多いわね」

亜梨珠「でも、本当は人魂という種族、なんて言ったら驚くかしら?」

亜梨珠「河童とか、狼男とか、吸血鬼と同じような感じで、人魂という種族というわけよ」

亜梨珠「だから、死んだ人の魂というわけではないわ」

亜梨珠「それなら、どうして人魂っていうか、って?」

亜梨珠「まあ、本当は人魂って名前じゃないんだけどね。その形から、見た人が勝手に名付けて、それが定着したってだけよ」

亜梨珠「大体、もし、死んだ人が人魂になるというなら、あなたの魂も、ああやって炎に包まれているのかしら? そもそも、魂が燃える必要なんてないんじゃない?」

亜梨珠「ふふふ。あまり納得していないみたいね」

亜梨珠「でも、闇の一族と呼ばれるヴァンパイアという存在もいるんだから、人魂という一族がいても不思議じゃないと思わない?」

亜梨珠「……それなら、どうして正しく、伝わっていないのかって?」

亜梨珠「それは意味がないからよ。あの一族はまだ人間とコンタクトを取るつもりがないから。だから、たとえ間違った情報が一般的な常識になっていても関係ないの。つまり、正す必要がないってわけね」

亜梨珠「それじゃ、次はどうして人とコンタクトを取ろうとしないのか……。わかるかしら?」

亜梨珠「人間に興味がないから? ふふ、まあ、惜しいと言えば惜しいのかしら」

亜梨珠「……人という存在は、もし、自分の知らない存在を見たときに、どうすると思う?」

亜梨珠「確かに、その存在を知りたいと思う人はもちろんいると思うわ。でも、大半の人は恐ろしいと思い、排除しようするんじゃないかしら?」

亜梨珠「あなたは最初、人魂を見たと話した時、そこまで怖がってはいなかったわね。でも、それがヴァンパイアや狼男、果ては宇宙人だったりしたらどうかしら? 怖くて、その場から逃げる可能性もあるわよね?」

亜梨珠「それで、もし無事に逃げられたとして、また遭遇する可能性があるとしたら、できることなら、排除したいと思うんじゃないかしら?」

亜梨珠「人魂が人と接触しようとしないのは、危害を加えられるからよ」

亜梨珠「もしくは捕まえて、研究しようとする人間も出てくるでしょうね」

亜梨珠「だから、あの一族は表に出ようとはしないのよ」

亜梨珠「昔は人間の中にも、そういう専門家がいたから、うまくやれてたみたいだけど、現代じゃ、ほとんどいないし、いたとしても権力なんてないから、調整役としては心もとないわよね」

亜梨珠「……え? どんな人かって? たぶんあなたも知ってると思うけど、陰陽師よ。昔は、いわゆる妖怪と呼ばれる一族の専門家として陰陽師という役職があったの。国がそういう役職を作っているくらいだから、もちろん、ある程度の権力を持っていたし、敬われていた。だから、陰陽師のいうことに人々はちゃんと耳を傾けたわ」

亜梨珠「でも、今だったどうかしら? そもそも陰陽師と名乗る人がいたとしても、その力自体を怪しいと思う人が多いわ」

亜梨珠「だから、今は表に出なくなってしまったのよ」

亜梨珠「でも、どんなに気を付けてても、あなたが見たように、遭遇してしまうものよ」

亜梨珠「それで遭遇したときに、遭遇した人間の言うことを多くの人間が信じたらどうなると思うかしら?」

亜梨珠「さっきも言った通り、排除しようとしたり、捕まえようとしたりするわ」

亜梨珠「それじゃ、そうならないようにするためにはどうするか?」

亜梨珠「嘘のような冗談のような話にしてしまえばいいというわけよ」

亜梨珠「それがいわゆる、都市伝説、というわけね」

亜梨珠「仮に姿を見られてしまったとしても、その存在が既に都市伝説として認知されてしまえば、その話を聞いた人は、都市伝説という嘘のような冗談話として受け取るわ」

亜梨珠「中には実在するのではと調査する人もいるけど、極々少数派になるわ」

亜梨珠「例え、同じものを見たとして、新種の動物、なんて言ったら信じる人が多いけど、都市伝説って聞いたら、とたんに真実味が薄くなるのよ」

亜梨珠「つまり、一般的に知られたくない場合は、都市伝説として噂を流せば一種の冗談として受け取られるから、都合が良いってわけね」

亜梨珠「だから、人魂という種族はちゃんといるのよ」

亜梨珠「という都市伝説」

亜梨珠「ふふ。どう? 一気に真実味が薄くなったんじゃないかしら?」

亜梨珠「これで、今回のお話は終わりよ」

亜梨珠「……え? オチ? ……この手の話にオチを求められても困るわね……」

亜梨珠「あ、そうだ。実はうちも……この館のことも都市伝説にしてあるのよ」

亜梨珠「この世界のどこかに、不思議な話をしてくれる兄妹(きょうだい)がいる館が存在する……」

亜梨珠「そして、そんな館に夜な夜な通い続ける人がいる」

亜梨珠「その人は館に通っているうちに、いつの間にか不思議な世界の住人になってしまい、現実の世界に戻れなくなってしまった……」

亜梨珠「……という、都市伝説」

亜梨珠「はい、これで、本当に、今回のお話は終わりよ」

亜梨珠「よかったら、また来てね。さよなら」

終わり。

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