鍵谷シナリオブログ

【声劇台本】恋愛相談

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
雨宮 さくら(29)
川岸 七海(29)

■台本

さくら「七海―。開けるよ」

ガチャと鍵を開けて、部屋に入って来る。

七海「別に声かけなくても、そのまま入ってくればいいのに」

さくら「七海は無頓着すぎるよ。そもそも、私に合鍵を渡すのも、どうかと思うよ」

七海「まあまあ、細かいことは置いていて……。さくらー! 助けて―」

七海が泣きついてくる。

さくら「ど、どうしたの?」

七海「ううー。今、人生で一番のピンチなの」

さくら「それ、先月も言ってなかった?」

七海「だーかーら! 先月のピンチを超える、ピンチなのよ!」

さくら「ふーん。なにがあったの?」

七海「ううー。さくら、なんかリアクション薄くない?」

さくら「そう? いちいち驚くのも疲れるな―って思ってさ」

七海「もっと親友に気を使ってよー」

さくら「はいはい。ごめんなさい。で? 何があったの?」

七海「それがさー。見てよ。これ」

ガサガサと袋からたくさん箱を出す。

さくら「なに? そのたくさんの箱は?」

七海「……プレゼント」

さくら「ええ! もしかして、男の人から?」

七海「そう」

さくら「へー。おめでとう! やっと彼氏できたんだね」

七海「そうだったら良かったんだけどさー」

さくら「え? 違うの」

七海「あのさ。私って恋に関しては百戦錬磨じゃない?」

さくら「全部、上手くいってないけどね」

七海「それでね。恋愛相談を受けてるの」

さくら「ん? んー。そっか……。ご愁傷さまだね、その人は」

七海「やっぱり、頼られればさー、応えたくなっちゃうのよ。会社の後輩だし」

さくら「へー。会社に新しく入ってきたんだ」

七海「うん。社長の不倫、奥さんにバラすよって言ったら、入れてくれた」

さくら「……刺されないようにね」

七海「でね、その後輩君が、今、恋をしてるっていうんで、こりゃ、相談にのってやっかーって、勢いで話聞いたのよ」

さくら「ふんふん。なるほど」

七海「その後輩君は、結構、本気らしくてさ。かなりの頻度で相談されるのよ」

さくら「まあ、いいんじゃないの?」

七海「まあ、私も恋に関してはベテランじゃない?」

さくら「うん。歴だけは長いね」

七海「で、私の持っている限りのアプローチ方法を伝授したのよ」

さくら「全部、失敗しているやつね」

七海「だけど、それだけじゃ満足できないって言って、まだ相談してくるのよ」

さくら「なるほど。それで、万策尽きたと」

七海「ほら、さくらも、一応、女じゃない」

さくら「一応って付けなくてもよくない?」

七海「何か、恋愛のアドバイスとかない?」

さくら「うーん。ベタだけど、プレゼントとか?」

七海「それはもう言った。それで、どんな物をあげたらいいかも、伝えたんだよね」

さくら「上手くいかなかったの?」

七海「それがさー。せっかく教えたのに、実行に移さないんだよねー。練習ばっかりで」

さくら「練習?」

七海「私にばっか、渡してくんの」

さくら「ああー。それが、このたくさんの箱ってわけね」

七海「そうそう。でね、いくら練習だからって、渡してくれたものを返すわけにもいかないじゃない?」

さくら「まあ、その人が七海に対して渡してるなら、返すっていうのは、逆に失礼かもね」

七海「でしょ? だから、このプレゼントのお礼として、恋のアドバイスで返そうって思ったんだけど……」

さくら「ネタが尽きたんだね」

七海「さくら、なにか知らない? なんでもいいんだけど」

さくら「……そもそもさ、その人、七海から教わったアドバイスは実行してるの?」

七海「本人はしてるって言ってるよ。私もよく練習に付き合わされてるから」

さくら「その、相談相手が好きだっていう女の人のことは、七海、知ってるの?」

七海「いや、それがさ、名前は教えてくれないのよ。いつか、ちゃんと言うって言って。同じ会社の人らしいんだけど」

さくら「……」

七海「ううー。どうしよう。また、明日も、相談にのるって言っちゃってるのよねー」

さくら「あ、あのさ。その相談相手って、結構な頻度で七海に相談してるんだよね?」

七海「うん。週5、とか?」

さくら「……ちょっと待って。その相談相手の人って、好きな人と会ってんの?」

七海「さあ? 私に聞かれても」

さくら「七海は、いつも、その人に、蓮来相談に乗って欲しいって言われて、誘われてるの?」

七海「ん? あー、いや、ご飯食べに行こうとか、どっか遊びに行こうって感じで誘われてるかな」

さくら「……」

七海「それがどうかした?」

さくら「ああー……。そういえば、七海はやたらと年下には人気あったね。昔から」

七海「まーねー。その中の誰か、一人でも告白してくれれば、今、彼氏が欲しいって悩みはなくなったのに」

さくら「七海は年下でも大丈夫なの?」

七海「もちろん。……でも、あっちがねー。私を恋愛対象に見てないんだもん。弟と姉、みたいな感じでさ」

さくら「七海も、意外と鈍感なんだね……」

七海「へ? 何が?」

さくら「ううん。何でもない。えっとね、七海はそのまま、その人の誘いに行ってあげればいいよ」

七海「え? でも、アドバイスは?」

さくら「いいのいいの。アドバイスなんかしなくても、雑談してるだけで相手は喜ぶから」

七海「ええー。そうかなぁ?」

さくら「七海は待ってればいいのよ」

七海「待つってなにを?」

さくら「私の口からはなんとも……」

七海「ええー。教えてよー」

さくら「はあ……。疲れる……」

終わり。

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