【声劇台本】私が推しになるために
- 2022.02.20
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ
■キャスト
日葵(ひまり)
真奈(まな)
龍之介(りゅうのすけ)
その他
■台本
ガチャリとドアが開く音。
日葵「ちょっと、龍之介。一限目から講義でしょ。なにやってんのよ」
龍之介「くっ! もうそんな時間か……。今は春奈ちゃん攻略中だ。仕方ない、講義は休むか。日葵、教授には腹痛だと伝えてくれ」
日葵「全然、仕方なくない! ゲームなんだから、セーブすればいいだけでしょ!」
龍之介「何を言う!? 春奈ちゃんの攻略にどれだけ時間を費やしたと思っているのだ! ようやく……ようやく、ここまで来たんだぞ! アイドルの春奈ちゃんと付き合えそうなんだ! この高まりのまま、一気に攻略してこそ……」
日葵が龍之介の耳を掴み、引っ張る。
龍之介「ぎゃああー! やめろ! 耳が千切れる!」
日葵「あんた、いい加減にしないと、留年するわよ!」
龍之介「春奈ちゃんの為なら、留年もいたしかたなしだ!」
日葵が龍之介の首根っこを掴んで引きずる。
日葵「はいはい。寝言は寝て言いなさい」
龍之介「やめろ! 離せ、日葵! 春奈ちゃーーん!」
ずるずると引きずられる音。
場面転換。
街を歩く日葵と真奈。
日葵「っっっとに、バカだよね!」
真奈「そんなバカな龍之介くんに惚れたあんたが悪いのよ」
日葵「うっ……。真奈、それは言わない約束でしょ」
真奈「にしても、ホント、そろそろなんとかしないとね」
日葵「なんとかって? あのバカが治るとは思えないんだけど」
真奈「なんにしても、ゲームは止めさせないと」
日葵「いやあ、無理でしょ。あいつ、小学生の時から恋愛ゲームにドはまりしてるのよ」
真奈「あんたさぁ、いい加減、危機感もちなさいよ。このまま龍之介君が2次元にしか興味ないと、あんた、一生、付き合えないわよ」
日葵「うっ! そ、それは困る……」
真奈「でしょ? だったら、早く、龍之介君には3次元に戻って来て……いや、来てもらわないとならないわよ」
日葵「だけど、あいつが2次元を卒業できるなんて思えないんだけどな」
真奈「……卒業かぁ」
智香「これから、ライブやるので、良かったから来てくださいね!」
男「智香ちゃんだ! 握手して!」
日葵「……なんだろ、あれ?」
真奈「ああ。地下アイドルってやつよ」
日葵「ふーん」
真奈「……ねえ、龍之介君って、アイドルに興味とかないの?」
日葵「アイドル? うーん……。ああ、そういえば、今やってる、ゲームで、攻略してるのがアイドルのキャラって言ってた」
真奈「それよ!」
日葵「え? なに?」
場面転換。
日葵「無理無理無理無理! 絶っ対!」
真奈「わかんないじゃん。あんた、結構、可愛いんだからさー」
日葵「アイドルなんて、無理だよー」
真奈「とにかく、受けてみるだけ受けてみなよ」
日葵「恥かくだけだって」
真奈「上手くいけば、龍之介君を虜にすることができるかもしれないのよ」
日葵「……どういうこと?」
真奈「龍之介君は、ゲームの中と言っても、アイドルに興味があったのよね?」
日葵「う、うん……。そう言ってた」
真奈「ある意味、アイドルって、純粋なイメージのキャラクターなの。普通の女の子より、2次元に近いっていうか、特別な存在なの」
日葵「……そ、そうなんだ」
真奈「もし、あんたがアイドルになって、それを見た龍之介君があんたのファンになったらどうなる?」
日葵「……」
真奈「龍之介君の方から、あんたに告白してくるんじゃないの?」
日葵「……私、やってみる!」
真奈「うん! 頑張って! 私も、友達が地下アイドルって、面白そうだし」
日葵「……真奈、そっちが本音でしょ?」
真奈「あはは……」
場面転換。
日葵「……」
真奈「いやあ、ホントに受かるなんてねー」
日葵「うう……。やっぱり辞退する。人前で歌ったり、踊ったりなんて、恥ずかしいよ」
真奈「あんたの、龍之介くんへの想いはそんなものなの?」
日葵「うっ!」
真奈「下手したら、龍之介君は、ずっと2次元の住人のままになってしまうのよ! それを救えるのはあんただけなの!」
日葵「……真奈。私、やってみる!」
真奈「うん、その調子だよ!」
場面転換。
大学の教室内。
日葵「ううー。全然、疲れ抜けない―」
真奈「思ったより、アイドルって大変なんだね」
日葵「毎日、歌と踊りの練習、笑顔やファンとの接し方、可愛い仕草……。覚えることが多すぎるよ……」
真奈「いや、ホント、4ヶ月間、お疲れ様。でも、ようやく来週、デビューライブでしょ?」
日葵「うん。そうなの! ……ううー、めちゃめちゃ緊張するー」
真奈「じゃあ、ライブチケット、龍之介君に渡しておくね」
日葵「あっ! そうだった……」
真奈「あんた、本来の目的忘れてたわね」
日葵「そ、そんなことないよ……」
真奈「私が、引きずってでも、良之助君を連れて行くから頑張りなさいよ」
日葵「う、うん!」
場面転換。
ライブ会場。
音楽と歓声が響き渡る。
日葵「みんなー! 今日は来てくれてありがとー! いーっぱい、楽しんでいってね!」
男2「日葵ちゃん、可愛い―!」
男3「日葵ちゃん、こっち向いて―!」
ワーッと歓声が響き渡る。
場面転換。
大学の教室内。
日葵「ううー。筋肉痛で、体中、バッキバキ……」
真奈「あんた、ファンの前で、その台詞、絶対言うんじゃないわよ」
そこに龍之介が走って来る。
龍之介「日葵―!」
日葵「あ、龍之介……」
龍之介「いやあ、昨日のライブ、すごかったな!」
日葵「そ、そうかな……」
龍之介「ホント、可愛かった! 俺、なんか、人生変わったよ!」
日葵「えへへへ。そう?」
龍之介「俺、一気にファンになっちゃったもん」
日葵「ふふ。頑張った甲斐があったわ」
龍之介「いいよなー。アイドル! 俺、アイドルと付き合えたら、留年したっていい」
日葵「……いや、留年はしないで欲しいんだけど」
龍之介「日葵!」
日葵「は、はい……」
龍之介「ありがとな。俺と出会わせてくれて」
日葵「う、うん……」
龍之介「神奈ちゃん、天使だぜ」
日葵「へ?」
龍之介「俺は神奈ちゃん推しだ!」
日葵「ふっ……」
龍之介「ん? どうした? 日葵?」
日葵「ふざけんなーーー!」
龍之介を殴る日葵。
龍之介「ぶべっ!」
終わり。
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