■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
怜(れい)
拓也(たくや)
五郎(ごろう)
男
■台本
電車内。
ガタンガタンと車内が揺れる音。
怜「……」
男「……へへっ」
怜「……おい、おっさん。気付いてないとでも思ってんのか?」
男「え?」
怜「人のケツ、好き勝手撫でまわしやがって! 駅員に突き出すぞ!」
男「ひいっ! ご、ごめんなさい!」
場面転換。
街中。
怜と拓也が並んで歩いている。
怜「ったく。休日に町に出たら、これだ」
拓也「あはは……。怜ちゃん、可愛いから。しょうがないよ」
怜「ああ?」
拓也「あ、ごめん……」
怜「くそ、もっとラフな格好にしとけばよかったかな」
拓也「いや、それ、逆効果だから」
怜「はあ……。こんなことなら、家で編み物でもしてりゃよかった」
拓也「趣味は乙女だよねー。……いや、今の女子高生は編み物とかしないか」
怜「……人の趣味にケチつけんな」
拓也「ごめんごめん。例え乙女な趣味じゃなくても、怜ちゃんは十分、可愛いよ」
怜「お前、いっぺん、殴るぞ」
そのとき、五郎が現れる。
五郎「あの! 失礼します!」
怜「あん? なんだ、お前?」
拓也「うわー、凄いゴツイ人だなぁー」
五郎「自分、五郎と言います! いきなりですが、付き合ってください!」
怜「……は?」
拓也「い、いや……。いくら怜ちゃんが可愛いからって、いきなりは……」
五郎「自分、あなたに一目惚れしました! どうか、付き合ってください!」
怜「……」
拓也「……怜ちゃん、どうするの? なんかこの手の男って断ると面倒くさそうだけど……」
怜「いいぜ。付き合ってやるよ」
五郎「ほ、本当ですか?」
拓也「ちょっ! 怜ちゃんっ! どういうつもりなの?」
怜「まあまあ。せっかく、休日に町に出て来たんだ。楽しませてもらおうぜ」
拓也「……なにする気なの?」
怜「見知らぬ相手に、いきなり告白するようなバカな男に、世間の厳しさってやつを勉強させてやるんだよ」
拓也「……」
怜「じゃあ、さっそく、デートしようか」
五郎「え? デートですか?」
怜「ああ。付き合ってるんだ、デートするのは当然だろ?」
五郎「は、はい! 光栄です!」
場面転換。
ラーメンをすする怜。そして、テーブルにドンとどんぶりを置く。
怜「ぷはー! 美味い! もう一杯いいか?」
五郎「はい、どうぞ。何杯でも」
拓也「ちょっと、怜ちゃん。なにしてんの」
怜「いやあ、デートと言えば、男が金出すもんだろ?」
五郎「はい、当然です」
拓也「いや、これじゃ、ただのたかりだよ」
怜「デートだよ、デート。ラーメン屋でデートしたらいけないなんて、ルールはないだろ。な?」
五郎「はい! 当然です」
拓也「はあ……」
場面転換。
怜「いやあー、遊んだ、遊んだ!」
拓也「……カラオケ、ボーリング、映画……相手の奢りだからって、豪遊し過ぎだよ」
怜「だって、あいつが出してくれるって言ってんだもん。な?」
五郎「はい。怜さんのためなら、いくらでも」
怜「よし、じゃあ、次は……」
拓也「ちょっと、怜ちゃん。いくらなんでもひど過ぎるってば!」
怜「そ、そうか?」
拓也「どうなっても知らないよ」
怜「はあ……。そうだな。少し調子に乗り過ぎた。そろそろ、種明かしするか。おい、五郎」
五郎「はい」
怜「悪いな。俺、男なんだ」
五郎「知ってます」
拓也「え?」
怜「え?」
五郎「え?」
終わり。