ねずみの嫁取り

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■概要
人数:5人以上
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
チュー太
母親
父親
太陽



チュー子

■台本

チュー太「あー……。今日もダリ―なー」

とことこと父親と母親がやってくる。

父親「おい、チュー太。またダラダラしてるのか? もういい歳なんだから、壁の一つでもかじったらどうなんだ?」

チュー太「説教は勘弁してくれよ、親父」

母親「チュー太。周りの同年代のネズミたちは、もう働いてるのよ。あなたもしっかりしなきゃ」

チュー太「いや、急にそんなこと言われてもさ。それより腹減ったから、チーズ持ってきてくれよ」

父親「……働かない者にやるチーズなどない!」

チュー太「はあ?」

父親「いいか!? 近いうちに働きに出ないなら、ここから追い出すからな!」

チュー太「ええー!」

場面転換。

チュー太「あー、くそ。いきなり働けなんて無理だっての。はあー……。楽して、チーズ貰える方法ってないかなー。んー。親以外に寄生できそうなやついないか……あっ!」

バッと立ち上がるチュー太。

チュー太「結婚して、玉の輿になればいいんだ! よーし! そうと決まれば、最高にすごい嫁を探すぞ!」

場面転換。

チュー太「って、ことで結婚してくれ」

太陽「……なんで、私?」

チュー太「だって、太陽ってすげーじゃん。なんか一番偉そうだしさ。だから、俺と結婚して、俺を養ってくれ」

太陽「あのさぁ……。あ、いや、えーっと。私、一番凄いわけじゃないんだけど」

チュー太「え? そうなのか?」

太陽「うん。だってさ、ほら、雲の方が凄いよ。だって、私がどんなに頑張って、照らしても、雲がいたら暗くなるでしょ?」

チュー太「あー、確かに」

太陽「ってことで、雲の方に行ってくんない?」

チュー太「おう、わかった。じゃあな」

場面転換。

チュー太「ってことで、俺と結婚して俺を養ってくれ」

雲「えっと……その……困ります」

チュー太「えー! いいじゃん! 俺に楽させてよ」

雲「あの、その……私……一番すごいわけじゃありません」

チュー太「へ? そうなの?」

雲「はい。私がどんなに空を覆っても、風さんが吹けば、私は流されてしまいます。……だから、その……風さんの方に行ってくれませんか?」

チュー太「おう! わかった!」

場面転換。

チュー太「ってことで、結婚してくれ」

風「うっざ! マジうっざ! あり得なんですけどー」

チュー太「そう言わないで結婚してくれって」

風「はー、イラつくわー。こんなクズ、押し付けるなんて、あいつらあり得なくない?」

チュー太「結婚式、いつ挙げる?」

風「ないわー。マジでないわー。てか、あたし、凄くないし」

チュー太「へ? そうなの?」

風「当たり前じゃん。あたしがどんなに吹いても、壁は吹き飛ばせなくない?」

チュー太「あ、確かに」

風「ってことで、壁んとこ行きなよ」

チュー太「わかった。行ってみる」

場面転換。

チュー太「ってことで、結婚してくれ」

壁「おほほほほ。それは無理ですわ」

チュー太「なんで?」

壁「だって、わたくし、全然、凄くありませんもの」

チュー太「え?」

壁「わたくしよりも、もっともっと、すごい方がいらっしゃるじゃありませんか」

チュー太「だれ? だれ?」

壁「それは、わたくしをかじる、ね、ず、み、さんですわ」

チュー太「あ、そっか」

壁「ですから、ネズミさんのところへ行ってくださいませ」

チュー太「わかった!」

場面転換。

チュー太「ってことで、チュー子、結婚してくれ」

チュー子「いやよ」

チュー太「なんでだよ?」

チュー子「好みじゃないわ」

チュー太「……」

場面転換。

チュー太「はあ……。働くか」

終わり。

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