死亡フラグ
- 2022.09.14
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
レイク
ジーク
サラ
■台本
魔王の城内を走る勇者一行。
レイク「サラ、大丈夫か?」
サラ「うん、このくらい、全然平気」
ジーク「にしても、さすが魔王の城ってところか。魔物がうじゃうじゃしてやがる」
レイク「いちいち戦ってたら、こっちの身が持たない。極力、魔物は避けて進もう」
サラ「そうね。やっとここまで辿り着いたんだもん。絶対に、魔王を倒そうね」
レイク「ああ、もちろんだ」
サラ「……あのさ、レイク。この戦いを無事に終えたら……」
ジーク「おーっと。そこまでだ、サラ。そういうのは死亡フラグって言うらしいぞ」
サラ「え? そ、そうなの?」
ジーク「変な約束なんかしなくたって、魔王を倒した後はどうするかなんて、決まってるだろ、レイク?」
レイク「へ? あ、ああ。もちろんだ」
ジーク「ってことだ。サラ、お前は生き延びることさえ考えてればいい。後は、俺とレイクで何とかする」
サラ「もう! 私だって、仲間なんだから、しっかり役に立ちますぅ!」
ジーク「おっと、そうだったな。すまん、すまん。がははは」
レイク「ジーク。あんまり、気を抜くなよ。ここは魔王の城なんだ。いつ、何が起きても不思議じゃ……」
周りから魔物の咆哮が飛び交う。
レイク「なっ!」
サラ「な、なに、この魔物の数……」
ジーク「ちっ! すっかり囲まれちまったな」
レイク「くそ、こうなったら、俺が活路を見出すから、二人は逃げてくれ」
ジーク「おーっと。そいつは違うな、レイク」
レイク「ジーク?」
ジーク「先に進むのは、お前とサラだ。俺がこの場に残る」
レイク「な、何言ってんだ!」
ジーク「魔王は勇者の血を引く、お前しか倒せない。ここで死ねば、世界は終わる」
レイク「だが!」
ジーク「がはははは。心配するな。俺だって死ぬ気はねーよ。すぐに追いつく。先に行ってな」
サラ「ダメよ、ジーク」
レイク「……サラ、行こう」
サラ「え? で、でも……」
レイク「俺たちの使命はなんだ? 魔王を倒すことだ」
サラ「……」
ジーク「そういうこった。ほら、さっさと行け」
レイク「ジーク。すまない」
サラ「ジーク……」
ジーク「じゃあな。しばらくのお別れだ」
サラ「ジーク! ジーク!」
レイクとサラが走り出す。
ジーク「うおおおおお!」
魔物たちに向かっていく、ジーク。
場面転換。
レイクとサラが歩いている。
レイク「くそ。お前が死亡フラグ立てて、どうするんだよ、ジーク」
サラ「私、ジークにいっぱい助けてもらったのに、何も恩返しできなかった……」
レイク「それは俺も同じだよ。あいつがいなかったら、とっくに俺たちは全滅してた」
サラ「うん……」
レイク「あいつは、損な役割ばっかやってたな。それでも、いつも笑ってた」
サラ「豪快で、強くて、デリカシーがなくて……そして、優しかった」
レイク「俺はずっと、ジークのこと、親父のように思ってたんだ」
サラ「私も……だよ。だから、私の花嫁姿、見せたかった……」
レイク「……」
サラ「……ジーク」
二人が立ち止まる。
レイク「……俺たちに出来ることは、魔王を倒し、あいつの死を無駄にしないことだ」
サラ「……そうだね」
レイク「よし、行こう!」
サラ「うん!」
そのとき、こちら側に走って来る足音がする。
ジーク「おーい! レイク、サラ!」
レイク「……え? ジーク?」
サラ「な、なんで?」
ジーク「なんでって……追いつくって言っただろ?」
レイク「いや、そうだけどさ……」
ジーク「がははは。よーし! じゃあ、魔王のとこへ行くぞ!」
レイク「……」
サラ「……」
ジーク「おっと! お前ら、ここからはむやみに死亡フラグ、立てんじゃねーぞ」
レイク「……いや、お前だよ」
終わり。