縁切りの神社

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー

■キャスト
京太(きょうた)
真悠子(まゆこ)
隆志(たかし)

■台本

京太(N)「俺には可愛い彼女がいる。正直に言って、結婚も考えてる。そして、彼女も同じように思ってくれているはず」

京太と真悠子が並んで歩いている。

真悠子「あ、京太くん。神社だよ。お参りしてこ!」

京太(N)「真悠子はゲンを担ぐのが好きだ。こういう神社を見れば、すぐにお参りしようと言って来る。朝も、テレビの占いを必ずチェックしているらしい」

京太「けど、ここの神社って、何を祭ってるんだ? 変な神様とかだと微妙じゃないか?」

真悠子「いーから、いーから。こういうのは、とにかくお願いすればいいんだよ!」

京太「はあ……。わかったよ」

二人が神社の方へ歩いて行く。

立ち止まって、お賽銭を投げて、手を叩いてお参りする。

京太(N)「……真悠子と、ずっと一緒にいられますように」

真悠子「……」

京太「さ、行くか」

真悠子「うん」

二人が歩き出す。

京太「真悠子はなんてお願いしたんだ?」

真悠子「えー、恥ずかしいよ」

京太「いいじゃん、教えてくれよ」

真悠子「えーっとね、京太くんとお願いしますって」

京太「あ、俺と同じだ」

真悠子「え? ホント!? 嬉しいなぁ」

京太「へへへ」

場面転換。

大学内。

隆志「よお、京太。飯食いに行かね?」

京太「おお、いいよ。どこ行く?」

隆志「駅前にラーメン屋が出来たんだって。そこ行ってみね?」

京太「いいねー。久し振りにラーメン食いたくなってきた」

そこに真悠子がやってくる。

真悠子「あ、京太くん。今日はもう、講義終わりだよね? 一緒に帰らない?」

京太「あー、ごめん。これから隆志とラーメン食いに行くんだ」

真悠子「……なにそれ?」

京太「え?」

真悠子「私より、ラーメン食べる方が大事なの?」

京太「いや、別にそういうわけじゃ……」

真悠子「じゃあ、一緒に帰ろ」

京太「……」

隆志「(小声で)……真悠子ちゃん、こんな性格だっけ?」

京太「(小声で)今日は機嫌が悪いのかも」

隆志「俺のことは気にするなよ。一人で行くわ。じゃあな」

隆志が歩き去って行く。

京太「……」

真悠子「さ、帰ろ」

京太「う、うん……」

場面転換。

京太と真悠子が歩いている。

真悠子「……あ、今日、お母さんに早く帰って来いって言われてるんだった」

京太「え?」

真悠子「ごめん、帰るね」

京太「……わ、わかった」

真悠子「じゃあね」

真悠子が走って行ってしまう。

京太「……それなら、隆史とラーメン食いたかったなぁ」

場面転換。

京太の部屋。

浴室から出てくる京太。

京太「ふう、すっきりした」

すると携帯が鳴っていることに気づく。

京太「あれ? 真悠子からだ」

再生ボタンを押す。

京太「もしもし、真悠子? どうしたの?」

真悠子の声「……携帯、出るの遅くない?」

京太「え? あー、いや、風呂入ってたんだよ」

真悠子の声「ホント?」

京太「いや、嘘を言うわけないだろ」

真悠子の声「今度は事前に言っといてくれない?」

京太「……そんなこと、わざわざ言わなくたっていいだろ」

真悠子の声「……私、不安なの。京太くんのこと、好きだから。連絡つかなかったら、なんかあったんじゃないかって……」

京太「大丈夫だって」

真悠子の声「……浮気、してないよね?」

京太「するわけないだろ」

真悠子の声「……」

ブツっと携帯が切れる。

京太「あ、切れた。……なんなんだ?」

場面転換。

部屋で寝ている京太。

京太「(寝息)……」

いきなりインターフォンが鳴る。

京太「うわっ! な、なんだ!? ……深夜の2時だぞ。……変質者か?」

ゆっくりとドアに向かう、京太。

何度もインターフォンが鳴る。

京太「だ、誰だ?」

真悠子「私……」

京太「え?」

慌ててドアを開ける。

京太「こんな時間にどうしたんだ?」

真悠子「……なんか、急に顔が見たくなっちゃって」

京太「……そ、そうなんだ」

真悠子「……迷惑だった?」

京太「そ、そんなことないよ。……とにかく、中に入って。紅茶でも淹れるよ」

真悠子「ううん。帰る」

京太「へ?」

真悠子「顔を見たら安心したから、もう帰るね」

京太「いや、こんな時間に危ないって」

真悠子「大丈夫。タクシー、捕まえてあるから」

京太「……」

京太(N)「それからは真悠子の変な行動と束縛が強くなっていった」

場面転換。

大学内。

スマホを操作している京太。

京太「……今から帰るよ、と」

隆志「京太、お前、最近、ずーっとメール打ってるけど、誰に打ってるんだ?」

京太「真悠子だよ。最近、行動するたびに報告しろって言われて……」

隆志「なんだよそれ。怖いな」

京太「だよな……」

隆志「別れた方がいいんじゃないか? ちょっと、ストーカーっぽいぞ」

京太「……」

京太(N)「隆史の言う通り、俺は耐えられなくなって、真悠子と別れた。正直、真悠子に対しての愛情は消え去っていた」

場面転換。

道を歩いている京太が、ピタリと足を止める。

京太「あ、この神社……。真悠子とお参りしたところだ」

そこに隆志が走って来る。

隆志「よお、京太。どうした、しょぼくれた顔して。やっぱり、真悠子ちゃんと別れたこと、後悔してるのか?」

京太「……いや、そんなことないよ」

隆志「ほら、早く行こうぜ、講義遅刻するぜ」

京太「ああ」

隆志「あれ?」

京太「どうした?」

隆志「あそこ……真悠子ちゃんだ。お参りしてる」

京太「ホントだ」

隆志「あ、ごめん」

京太「謝るなよ。行こうぜ」

隆志「ああ」

歩き出す二人。

隆志「あ、そういえば……」

京太「ん?」

隆志「あそこって縁切りの神社で有名なところだよな」

京太「え? そうなの?」

隆志「ああ」

京太「ふーん……」

場面転換。

真悠子「……ありがとうございました」

終わり。

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