天使の抱擁

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、コメディ

■キャスト
アリサ
ミル
ライラ
見習い
悪魔

■台本

暗い部屋の中。

悪魔「あ、ああ……」

スーッと悪魔が消えていく。

アリサ「ふう」

見習い「悪魔が消えた。すごい……あれが……」

ライラ「そう。伝説のエクソシスト、アリサの天使の抱擁よ」

場面転換。

大学のキャンパス内をフラフラと歩くアリサ。

アリサ「うう……。も、もうダメ……」

どさりとアリサが倒れる。

アリサ「……視界が真っ白になっていく」

ミルが駆け寄って来る。

ミル「おい、アリサ。こんなとこで、寝るなよ。迷惑だろ」

アリサ「……ミル?」

ミル「ほら、手を出せ。立てるか?」

アリサ「……ふふふふ」

ミル「アリサ?」

アリサ「獲物――!」

アリサがミルに襲い掛かる。

ミル「ぎゃああああ!」

場面転換。

大学内の食堂。

物凄い勢いでアリサが食べ物を食べている。

アリサ「美味しい! 生き返る―!」

ミル「……」

アリサ「なによ、その顔?」

ミル「言っとくけど、奢りじゃないからな。貸しだぞ、貸し」

アリサ「はいはい。そのうち返すわよ、そのうちね」

ミル「そんなこと言って、一度も返してもらった記憶がないぞ」

アリサ「そうね。私も返した記憶がないわ」

ミル「ホント、良い性格だよ」

アリサ「どうも」

ミル「褒めてねえ」

アリサ「知ってる」

ミル「……」

ガツガツと食べ物を食べるアリサ。

ミル「……ったく、これのどこが『天使』だよ」

アリサ「私にぴったりの二つ名よね」

ミル「どこが?」

アリサ「この可愛らしいところ」

ミル「悪魔の間違いだろ」

アリサ「あー、そうね。小悪魔って感じかな」

ミル「太々しさはサタン級だよ。……それより、お前、なんで、そんなに金ねーんだ?」

アリサ「なんでって言われても……なんでだろーね?」

ミル「この前も悪魔祓いしたんじゃねーの?」

アリサ「ふっふっふ。甘いわね。悪魔払いをしたからと言って、懐が温まるとは限らないのよ」

ミル「(呆れて)なんでだよ」

アリサ「報酬はお気持ちだからねー」

ミル「だからって、昼飯代くらいは貰えよ」

アリサ「まー、そうなんだけどさー」

ガツガツと食べ物を食べるアリサ。

ミル「……」

アリサ「長年、ずーっと悪魔に取り憑かれた娘さんを抱えて、心も金銭的にもボロボロの母親からお金を取れると思ってるの? そんな人から金をむしり取る方が、よっぽど悪魔だってーの!」

ミル「……けど、それでお前が食いっぱぐれたら意味ねーだろ……」

アリサ「いいのよ、私は」

ミル「なんでだよ?」

アリサ「ミルっていう財布があるから」

ミル「ふざけんな!」

アリサ「それより、そろそろ本題に入りなさいよ」

ミル「……」

アリサ「私にご飯を食べさせるために来たんじゃないんでしょ?」

ミル「当然だ」

懐から封筒を出す。

アリサ「中、見てもいい?」

ミル「ああ」

アリサ「……ふーん。これはポルターガイストってレベルじゃないわね」

ミル「……確実に上級悪魔だ」

アリサ「少しは歯ごたえがありそうかな」

ミル「かなりの強敵だ。油断はするなよ」

アリサ「平気平気。こんなの余裕よ、ヨユー」

ミル「おいっ!」

アリサ「これが彼女と話した最後の言葉だった……」

ミル「自分で死亡フラグを立てるな」

アリサ「ま、いつも通り祓ってきてあげるわよ」

ミル「……今回は2人ほど、エクソシストを付ける。こき使ってやれくれ」

アリサ「別にいいのに」

場面転換。

家の前。

見習い「お、お疲れ様です! アリサ・グ……」

アリサ「あー、そういう固い挨拶はいいから」

ライラ「久しぶり、アリサ」

アリサ「ライラじゃない! ……まさか、2人付けるって、ライラもだったの?」

ライラ「まあ、今回のは手ごわそうだからね」

アリサ「ライラがいるなら、楽ショーよ、楽ショー」

場面転換。

暗い部屋の中。

椅子に座っている女の子。

女の子「……」

アリサ「聞こえてる? 私、エクソシストなんだけど、痛い目に遭う前に、その子から出てってくれる?」

悪魔「生意気な小娘だ」

アリサ「はいはい。そんなベタベタな台詞はいいから。出てくの? 出てかないの?」

悪魔「我が出て行って、何の得がある?」

アリサ「私にぶちのめされない……とか?」

悪魔「くくくく。貴様が我を? 面白いことを言うな」

アリサ「あー、もう。なんで、悪魔っていつも遠回しな言い方しかできないのよ。格好いいと思ってんの?」

悪魔「なめるなよ、小娘」

床に爆発音が響き、床に穴が開く。

悪魔「次は当てるぞ」

見習い「あ、あの、先輩。私たちも応援に行った方が……」

ライラ「いや。この分だと、出番がなさそうね」

見習い「え?」

アリサ「当てるって言っても、その子の中からじゃ、力なんて出ないでしょ」

悪魔「今のままで十分、貴様を木っ端みじんに出来るさ」

爆発音が数回起こる。

アリサ「……次は当てるんじゃなかったの?」

悪魔「くそ、生意気な!」

また爆発音が起こる。

爆発をアリサが素早く避ける。

悪魔「くそ、当たらん! こうなったら……ぐあっ!」

アリサ「ようやく、その子から出て来たわね」

悪魔「ば、馬鹿な。人間が悪魔に触るなど……」

アリサ「じゃあ、逝っとこうか」

悪魔「くそ!」

バッとアリサが悪魔を抱きしめる。

悪魔「我を抱きしめるだと? ……なんのつもりだ?」

アリサ「……あなたの罪、私が許してあげる」

悪魔「そんなことで、我が改心するとでも?」

アリサ「……」

ギリギリギリという音が聞こえてくる。

見習い「え? なんの音ですか?」

悪魔「……お、おい。ちょっと、力を入れ過ぎだ……」

アリサ「……」

ギリギリギリという音が、バキバキバキという音に変化する。

悪魔「ぎゃああー! 折れてる! 背骨、折れてるって!」

アリサ「天使に抱かれて、逝っちゃいなさい」

バキンと背骨が折れる音。

悪魔「ぎゃああああああああ!」

アリサ「……」

悪魔「あ、ああ……」

スーッと悪魔が消えていく。

アリサ「ふう」

見習い「悪魔が消えた。すごい……あれが……」

ライラ「そう。伝説のエクソシスト、アリサの天使の抱擁よ」

アリサ「ね? 楽ショーだったでしょ?」

終わり。

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