うたかた

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ

■キャスト
沙都史(さとし)
依桜(いお)

■台本

放課後の教室。

沙都史「ぐーぐー」
依桜「沙都史、こんなとこで寝てたら風邪ひくわよ」
沙都史「ん? ああ、依桜か。……あれ? なんで、お前が俺の部屋にいるんだ?」
依桜「なに寝ぼけてるのよ。教室よ、きょう、し、つ!」
沙都史「あ……ホントだ。俺、いつから寝てたんだ? 全然、記憶ねぇ」
依桜「……私に聞かないでよ。知らないし」
沙都史「まあいいや。帰って寝直すか」
依桜「あんた、まだ寝るつもり? どんだけ寝る気よ?」
沙都史「んなこと言ったって、眠いんだから仕方ないだろ」
依桜「もしかして、ちゃんと寝れてないんじゃないの?」
沙都史「いや、寝れてると思うんだけどな」
依桜「夢とかよく見る?」
沙都史「最近、すげー、よく見るな」
依桜「夢って、浅い眠りの時に見るっていうから、やっぱり、眠りが浅いのよ」
沙都史「そんなこと言われてもなー」
依桜「ねえ、どんな夢見るの?」
沙都史「え? 結構、色々だな。ゾンビに追っかけられるとか、空を飛ぶ夢とか」
依桜「ふーん。ねえ、夢に女の子とか出てきたりする?」
沙都史「ん? んー。いや、あんまり気にしてないけど、あんまり出てこないと思うぞ」
依桜「へー」
沙都史「……なんだよ、ジッと見て」
依桜「夢ってさ、深層心理を映し出すって言われてるんだよ」
沙都史「なんだそりゃ?」
依桜「ほら、夢占いってあるでしょ? あれって、夢に映し出された深層心理から、占いをするって話らしいよ」
沙都史「……占いって、興味ねーなー」
依桜「夢で異性が出てくるのって、その人に興味があるってことなんだって」
沙都史「興味?」
依桜「そう。例えば好きってことね」
沙都史「じゃあ、俺は夢に異性が出てこないってことは、好きな奴がいないってことか」
依桜「まあ、そういうことね」
沙都史「だろうな。俺、好きな奴とかいねーし」
依桜「ホントに? 高校生にもなって、異性に興味ないとか、ヤバくない?」
沙都史「うるさいな。俺の勝手だろ」
依桜「でもね。もし、夢に出てきたとしたら、沙都史自身が気づいてなくても、その人が好きってことなんだよ」
沙都史「……そうなるのか」
依桜「だから、もし、夢で女の子が出てきたとしたら、その子のことをしっかり見るんだよ」
沙都史「……恋愛は、あんまり興味ないし、ピンと来ないんだけどな」
依桜「そういうのは意識すれば、自然と気持ちもついてくるものよ」
沙都史「そうなのか」
依桜「うん。だから、夢で女の子が出てきたら、ちゃんと覚えててね」
沙都史「わかった。夢に出てくればな」
依桜「あ、そういえばさ、沙都史、催眠術って興味ない?」
沙都史「は? なんだ、急に?」
依桜「私ね、催眠術で人を眠らせることができるんだよ」
沙都史「噓くせぇ」
依桜「そう思うなら、やってみなさいよ」
沙都史「おお、いいぞ! 絶対にかからないから」
依桜「じゃあ行くわよ。まずは大きく息を吸って……」

場面転換。

沙都史「……ぐーぐー」
依桜「沙都史、こんなとこで寝てたら風邪ひくわよ」
沙都史「ん? ああ、依桜か。……あれ? なんで、お前が俺の部屋にいるんだ?」
依桜「なに寝ぼけてるのよ。教室よ、きょう、し、つ!」
沙都史「あ……ホントだ。俺、いつから寝てたんだ? 全然、記憶ねぇ」
依桜「それより、沙都史。今、夢見てた?」
沙都史「えーと、ああ、うん。見てた」
依桜「その夢、絶対、忘れちゃダメだよ」
沙都史「へ? なんでだ?」
依桜「忘れたの? 夢に出てきた異性は深層心理で好きってことだって話したの」
沙都史「あー、そういえばそうだったな」
依桜「じゃあ、そろそろ帰ろっか」
沙都史「……なあ、依桜。帰り、駅前のピーカーに寄ってかないか?」
依桜「いいけど、どうしたの、急に?」
沙都史「ああ、いや、少しお前と話したいと思ってさ」
依桜「ふーん。いいよ。私も沙都史ともっと話したいと思ってたのよね。ふふっ!」

終わり。

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