大人の喧嘩

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
アレックス
クリフ
シェリル
側近
兵士1~3

■台本

ナレーション「アガス国とイリス国は隣り合っていて、昔から同盟を結んでいた。そのため、両王家は頻繁に交流をしている。しかし、王子たちは同い年ということでライバル心が強く、仲が悪かったのだった」

王宮の中庭。
5歳のアレックスとクリフが喧嘩している。

アレックス「僕の方が早かった!」
クリフ「いーや! 俺の方が早かったね!」
アレックス「僕!」
クリフ「俺!」
シェリル「引き分けでいいじゃない。アレックスもクリフも、かけっこ早かったわよ」
アレックス「お姉ちゃんは黙ってて!」
クリフ「そうだよ、シェル姉は口出ししないで」
シェリル「ホント、あんたたちは仲が悪いわね。隣国の王族同士、仲良くしなさいよ」
アレックス「えい!」

アレックスがクリフを殴る。

クリフ「いってぇ! なにすんだよ!」
アレックス「降参する? 僕の勝ちでいい?」
クリフ「……おら!」

クリフがアレックスを殴る。

アレックス「痛い! なにすんだよ!」
クリフ「さっきのお返しだ! まいったか」
アレックス「やったなぁ!」
クリフ「最初にお前が殴ってきたんだろ!」
アレックス「えい、こいつめ!」
クリフ「やってやる」

ぽかぽかと殴り合いをするアレックスとクリフ。

シェリル「やめなさい!」

ゴンとアレックスとクリフを殴るシェリル。

アレックス「いったいー!」
クリフ「うわーん!」

シェリル「ったく!」

場面転換。
5年後。
王宮の中庭。

アレックス「ふっふっふ。クリフ、僕、騎士の試験に合格したんだぜ?」
クリフ「ふん。どうせ、親父さんのコネだろ?」
アレックス「違う! ちゃんと実力で合格したんだ!」
クリフ「へー。けどさ、お前は王子なんだから、戦場には出ないだろ。騎士の試験に合格してどうするんだよ!」
アレックス「なんだとぉ!」
シェリル「……アレックス、クリフ。喧嘩はやめなさい。いいじゃない。騎士の試験に合格したかどうかなんて」
アレックス「ふん。クリフは自分の腕に自信がないから、僕をやっかんでるだけなんだ」
クリフ「はあ? お前なんか、片手で倒せるね。雑魚アレックス」
アレックス「なんだと? やるか?」
クリフ「受けて立つ」

アレックスとクリフが剣を抜く。

シェリル「やめなさい!」

ゴンとアレックスとクリフを殴るシェリル。

アレックス「いってぇ!」
クリフ「シェリ姉、手加減してよ、もう」
シェリル「ったく……」

場面転換。
さらに10年後。
会議室。側近たちと会議をしているアレックス。

側近「では、アレックス王子。こちらの内容でアガス国へ送ります」
アレックス「うむ。……ふふふ。クリフめ。この手紙を見れば、驚くだろうな。これで、麦の流通は我がイリス国で独占できる」

場面転換。
玉座の間。
兵士が飛び込んでくる。

兵士「アレックス王子! アガス国の兵士が我が、イリス国との国境前を占拠しています。これは脅しととれます」
アレックス「ふっふっふ。クリフの馬鹿め。あっちから開戦のきっかけを作ってくるとは」
兵士「王子、どうしますか?」
アレックス「決まっている! 長年の決着をつけてくれる!」

場面転換。
国の国境付近。
両国の軍勢がにらみ合っている。
そこに馬に乗ったアレックスとクリフがお互い前に出る。
そして、向かい合ったところで止まる。

アレックス「クリフ。今、ここで、馬を降りて僕に詫びるなら許してやるぞ」
クリフ「……馬鹿アレックスが。俺にひれ伏すのは貴様だ」
アレックス「言っとくが、我が軍は精鋭だ。お前のしょぼい軍じゃ絶対に勝てない」
クリフ「その言葉、そっくりそのまま返してやるぜ」
アレックス「……思えば、お前とは小さい頃から合わなかったな」
クリフ「ああ。貴様の存在が煩わしかった」
アレックス「ようやく、決着がつけられる」
クリフ「ふん。散々、俺の国に嫌がらせをしてきておいて、よく言うぜ」
アレックス「最初に嫌がらせをしてきたのはお前だろ!」
クリフ「はあ? お前だろ!」
アレックス「いや、お前だ!」
クリフ「お前!」
アレックス「絶対にお前!」
クリフ「よーし、じゃあ、勝負してやるよ!」
アレックス「おう、いいぞ。お前らの軍を全滅させてやる」
クリフ「面白い、やってみろよ」
アレックス「やってやるよ!」

そこに、馬に乗ったシェリルが2人のところへやってくる。

兵士「……あ、シェリル様だ」

2人の前で止まるシェリル。

アレックス「なんだよ、姉貴。男と男の勝負に口を出すなよ」
クリフ「そうだよ。シェル姉は黙っててくれ」
シェリル「……」
アレックス「よし、じゃあ、戦い開始だ!」
クリフ「おう! 受けて立つ!」
シェリル「やめなさい!」

ゴンとアレックスとクリフを殴るシェリル。

アレックス「いってぇ!」
クリフ「シェリ姉、なにすんだよ!」
シェリル「はいはい。子供の喧嘩は終わり終わり」

パンパンと手を叩き、両軍へ語り掛けるシェリル。

シェリル「ごめんなさいね。子供の喧嘩に着き合わせちゃって。終わったから帰っていいわよ」
兵士1「あー、よかった」
兵士2「シェリル様が来てくれて助かったよ」

ぞろぞろと両軍が帰っていく。

アレックス「ちょ、姉貴、何すんだよ!」
クリフ「そうだよ! せっかく、軍を出してきたのに!」
シェリル「……」

二人の頬を引っ張る。

シェリル「二人ともいい大人なんだから、面倒くさい喧嘩しないの!」
アレックス「いででで! わかった! わかったから!」
クリル「離して、シェル姉!」
シェリル「ったく、成長して知恵と権力を持ったから普通の喧嘩が面倒くさくなるのよね」

ナレーション「こうして、両国の戦争の危機はシェリル姫の手によって回避された。そして、この数年後、シェリル姫はクリフ王子の元へ嫁ぎ、長年の間、両国の戦争の危機を止めるのであった」

終わり。

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