まるで子猫のように
- 2023.10.04
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
アシェル 31歳
ミケル 27歳
ミア 5歳
■台本
会社終わり。
夜道を歩くアシェルとミケル。
ミケル「アシェルさん。ちょっと、飲んでかないですか?」
アシェル「嫌だよ。お前、酒癖悪いから。それに、ミケルの場合は酒じゃなくて、女が目当てだろ?」
ミケル「わかってるなら、いいじゃないですかー。付き合ってくださいよ」
アシェル「一人で行けばいいだろ」
ミケル「そんなこと言わないでくださいよ。シェルさんと行けば、女の子たちの反応がいいし、サービスしてもらえるんですから」
アシェル「知らん。尚更、ひとりで行け」
ミケル「えー! じゃあ、アシェルさんは飲まなくていいです! 女の子とも話さなくてもいいです! なので、割り勘だけ、お願いできませんか?」
アシェル「ひ、と、り、で、行け!」
ミケル「はあ……。しゃーない。帰って、一人寂しく飲むかぁ」
アシェル「……少し、お酒、控えたらどうだ? この前も健康診断で脅されたんだろ?」
ミケル「でも、飲まないとやってられないですよ。毎日毎日、部長に怒られて、ストレスたまりまくりですよ」
アシェル「怒られるのはお前が悪い」
ミケル「うわー! アシェルさんに裏切られた―。アシェルさんだけは味方だと思ってたのに」
アシェル「よし。次からは、お前の失敗のフォローはしなくていいな」
ミケル「わー! 冗談です! 冗談! これからも何卒、よろしくお願いします―」
アシェル「ったく……。おっと。じゃあ、俺はこっちだから」
ミケル「あれ? スーパー寄ってかないんですか? この時間ならまだセールやってますよ」
アシェル「いや、帰る。あいつを待たせるわけにはいかないからな」
ミケル「あいつ?」
アシェル「あ、しまった」
ミケル「えーー! アシェルさん、女できたんですか? あー、そりゃ、飲み屋の女のところに行くわけないですよねー! で、当然、美人なんですよね? あ、その人に妹さんとかいないですか? できれば、紹介して……」
アシェル「ストップ! 落ち着け! 確かに女だが、そういうんじゃない?」
ミケル「ん? 不倫とかですか?」
アシェル「……なんで、そうなる? 姪だよ、姪。両親が旅行に行くから、しばらく預かってくれって言われたんだ」
ミケル「へー。アシェルさんの姪ですか……。何歳なんですか?」
アシェル「なんで、そんなことを聞く?」
ミケル「だって、アシェルさんの姪ですよね? 美人ってことじゃないですか」
アシェル「……余計、教えるわけにはいかなくなったな」
ミケル「どんな子なんですか?」
アシェル「んー。そうだなぁ。一言で言うと、子猫って感じか……」
ミケル「おおおー! 子猫ですか!」
アシェル「なんで、いきなりテンションが高くなるんだ?」
ミケル「俺、猫好きなんですよね」
アシェル「あ、そう。じゃあ、また明日な」
アシェルがスタスタと歩き出す。
その後ろから足音がついて来る。
アシェル「……おい」
ミケル「はい?」
アシェル「なんで、ついて来る?」
ミケル「え? 姪っこさんに会うためですけど」
アシェル「誰が会わせるって言った? 帰れ」
ミケル「ははは。いいじゃないですか」
アシェル「帰れ!」
場面転換。
ガチャリとドアが開く音。
アシェル「……ただいま」
返事はない。
ミケル「あれ? いないんですか?」
アシェル「いや、返事しないだけだ」
ミケル「あー、そういうのも猫っぽいですね。でも、一旦、懐けばすり寄って来るもんです」
アシェル「……」
無視して家の中に入るアシェル。
ミケル「お邪魔しまーす」
後に続くミケル。
ガチャリとリビングのドアを開くアシェル。
ミア「……」
アシェル「ミア。いるなら、お帰りくらい言ってもいいだろ」
ミア「……誰?」
ミケル「あー、俺、アシェルさんの会社の部下で、ミケルって言うんだ。よろしくね、ミアちゃん!」
ミア「……」
ミケル「いやあ、アシェルさんが言った通り、子猫って感じで可愛いなぁ、ミアちゃんは」
ミケルがミアの頭を撫でようと手を伸ばす。
アシェル「バカっ! 危ない!」
ミケル「へ?」
ミア「うががが!」
ミアがミケルの顔をバリバリと引っ掻く。
ミケル「ぎゃあああああああ!」
場面転換。
朝の出勤時。
歩いているミケル。
ミケル「いてて」
アシェル「不用意に頭を撫でようとするからだ」
ミケル「アシェルさん、アレのどこが子猫ですか?」
アシェル「え? 拾ってきた猫って、あれくらい狂暴だろ?」
ミケル「……まあ、拾ってきた子猫ならそうかもしれないですけど。それなら、子猫じゃなくて野良猫って言って欲しかったです」
アシェル「俺からしたら、子猫のように可愛いんだよ」
ミケル「……はいはい。いちちっ!(顔が痛い)」
終わり。
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