■概要
人数:2人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
荒太(あらた)
美咲(みさき)
■台本
職員室。
放課後に荒太と美咲が向かい合って立っている。
2人の他に人はいない。
美咲「荒太……。なんで、呼び出されたかわかるな?」
荒太「えへへ……。なんでしょう?」
美咲「よし、わかった。お前、留年な」
荒太「すみません! かんべんしてください!」
土下座する荒太。
美咲「はあ……。お前、今年、何回赤点取った?」
荒太「先生は今まで食べたパンの数を覚え……ぶっ」
ガンと荒太の顔面を殴る美咲。
荒太「……すみません。42回です」
美咲「というか、赤点じゃなかった回数は?」
荒太「0です」
美咲「あのなぁ。その状態で、お前を進級させる方が難易度高いんだぞ。正直、不可能と言っていいだろうな」
荒太「うう……。そんな」
美咲「ということで、お前は冬休みの間はずっと補習だ。1日10時間な」
荒太「そそそそんな! クリスマスに彼女と出かけるとか、初詣に行くとか色々イベントがあるじゃないですか! それを諦めろって言うんですか?」
美咲「お前、彼女いるのか?」
荒太「……いないです」
美咲「じゃあ、決まりだな」
荒太「勘弁してください! 何とか補修なしで進級させてください!」
美咲「……お前、無茶苦茶だな」
荒太「そこをなんとか……」
美咲「はあ……。じゃあ、次のテストで全教科60点以上取れ」
荒太「ろ、ろ、ろ、60点!? 無理ですよ! そんなの!」
美咲「じゃあ、補習だな」
荒太「あ、あの……その……アメを貰えませんか?」
美咲「アメ?」
荒太「飴と鞭です。ご褒美って言うか……」
美咲「ふむ……。補習以外でモチベーションが欲しいと?」
荒太「はい」
美咲「……そうだなぁ。じゃあ、お前が全教科60点以上取ったら、私がお前の言うことを何でも聞いてやろう。どうだ?」
荒太「な、なんでも?」
美咲「なんでもだ」
荒太「やります! やらせてください! うおおおおお!」
美咲「まあ、せいぜい、頑張れ」
場面転換。
荒太の部屋。
荒太「うおおおおおおおおお!」
がりがりと勉強をしている荒太。
場面転換。
学校のチャイムの音。
昼休みでも勉強する荒太。
荒太「うおおおおおおおお!」
場面転換。
お風呂に入っている荒太。
風呂の中でも勉強している。
荒太「えーっと、ここの公式はこうだから……」
場面転換。
教室内。
美咲「では、テストを開始する。……はじめ!」
一斉に教室内の生徒がテストをやり始める。
荒太「うおおおおおお!」
美咲「荒太、うるさいぞ」
荒太「……あ、すみません」
場面転換。
教室内。
荒太と美咲が二人きりで向かい合っている。
美咲「……」
荒太「へ、へへへ。今回は自信があるんですよね?」
美咲「……」
荒太「で? 結果はどうですか?」
美咲「……100点だ」
荒太「え? もう一度、お願いします。声が小さかったんで」
美咲「全教科、100点だ!」
荒太「うおおおお! やったぁ!」
美咲「……」
荒太「先生! 約束通り、何でも言うことを……」
美咲「……カンニングだな?」
荒太「へ?」
美咲「お前が全教科100点なんか取れるわけがない! カンニングに決まっている!」
荒太「そ、そんなわけないじゃないですか!」
美咲「うるさい! そんな性根が曲がった奴は冬休みが終わっても居残りで補習だ!」
荒太「えええー! そんなぁ! せっかく頑張ったのにぃー!」
終わり。