壺
- 2024.03.01
- 映像系(10分~30分) 退避

■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ドラマ、舞台、現代、シリアス
■キャスト
桐人(きりと)
善蔵(ぜんぞう)
真樹(まき)
■台本
〇朝比奈家・廊下
廊下の脇に台があり、そこに壺が置いてある。
学生服の桐人(きりと)が玄関から家に入って来る。
桐人「ただいまー。なんか、おやつない?」
ズカズカと廊下を歩いていると背負ってたカバンが壺に当たる。
壺が台から落ちて割れる。
桐人「げっ! やべえ」
そこに善蔵(64)がやってくる。
善蔵「ん?」
桐人「あ、いや、父さん、これは……」
割れた壺を見て、驚愕する善蔵。
善蔵「あ、あ、ああ……壺が」
桐人「……」
善蔵「ばかもん!」
怒号が響き渡る。
〇真樹の部屋
テレビゲームをしている真樹。
後ろに座り、頭を押さえている桐人。
真樹「それで、親父に殴られた、と」
桐人「マジいてえ」
真樹「お前、廊下だけは慎重に歩けって。前も親父の壺割って怒られてただろ」
桐人「そうはいうけどさー」
真樹「ったく。ホント、お前はダメなやつだよな」
桐人「……」
ムッとする桐人。
〇廊下
廊下の端には台があり、新しい壺が置いてある。
玄関から学生服の真樹が入って来る。
真樹「ただいまー。母さん、明日なんだけど……」
ズカズカと歩く真樹。
持っているカバンが、台に当たり、壺が台から落ちる。
壺が割れる。
真樹「げっ! やっべ!」
真樹が周りを見渡して、壺の破片を拾い集める。
〇真樹の部屋
真樹が接着剤で壺の破片をくっつけている。
ほぼ完成しているが、欠片が一つ足りない。
真樹「どうしよう。破片が足りないぞ……」
〇廊下
真樹がそーっと、壺を台に置く。
破片が足りない方の面を壁側にして、誤魔化す。
真樹「……まあ、バレないだろ」
〇同
玄関から善蔵が入って来る。
善蔵「帰ったぞー」
廊下を歩く善蔵。
腕が台に当たる。
すると台から壺が落ちて割れる。
善蔵「しまった!」
〇善蔵の部屋
壺の欠片を接着剤で付けている善蔵。
ほぼ完成している。
善蔵「いつも怒ってる手前、儂が割ったなんて言えないからな」
だが、欠片が一つ足りない。
善蔵「な、なんだと! 欠片が一つ足りない……」
〇廊下
台の上に壺を置く善蔵。
欠けた方が見えないように壁側にして置く。
善蔵「まあ、これでバレないだろ」
〇廊下
学生服の桐人が玄関から家に入って来る。
桐人「ただいまー。なんか、おやつない?」
ズカズカと廊下を歩いていると背負ってたカバンが壺に当たる。
壺が台から落ちて割れる。
桐人「げっ! やべえ」
そこに善蔵がやってくる。
善蔵「ん?」
桐人「あ、いや、父さん、これは……」
善蔵「……次から気を付けなさい」
桐人「は、はい……」
桐人が破片を片付けようとする。
善蔵「ああ、いい。儂がやる」
桐人「……」
〇真樹の部屋
真樹がゲームをやっていて、その後ろに座っている桐人。
真樹「よくやった」
桐人「え?」
真樹「あー、いや、なんでもない」
桐人「にしても、なんで父さん、あんなに優しかったんだろ?」
真樹「さあ。まあ、よかったじゃん。きっと、もう壺には興味なくなったんじゃないか? まあ、次から気を付けろよ」
桐人「うん……。なんか、兄ちゃんも、今日、変に優しくない?」
真樹「ば、ばか! そんなんじゃねーよ」
〇廊下
廊下の脇に台があり、そこに壺が置いてある。
学生服の桐人が玄関から家に入って来る。
桐人「ただいまー。なんか、おやつない?」
ズカズカと廊下を歩いていると背負ってたカバンが壺に当たる。
壺が台から落ちて割れる。
桐人「げっ! やべえ」
そこに善蔵)がやってくる。
善蔵「ん?」
桐人「あ、父さん、ごめん。壺割っちゃった」
割れた壺を見て、驚愕する善蔵。
善蔵「ば、ばかもーーーん!」
怒号が響き渡る。
桐人「え? なんで?」
終わり。