交換日記
- 2024.03.15
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:2人
時間:3分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、恋愛
■キャスト
蒼(あおい)
葵(あおい)
■台本
スマホのアラーム音が鳴る。
ガバっと起き上がる音。
スマホを手に取り、アラームを消す音。
蒼「……今日は水曜か」
ベッドから降りて机に向かう蒼。
ノートを開く音。
蒼(N)「今、俺はある子と交換日記をしている。今どき、交換日記なんて古いというかもしれないが、これはこれで味がある。何回か、メールでやり取りしてみたが、やっぱり交換日記の方がしっくりくるのだ」
蒼「えーっと、なになに?」
ここからは葵の声で。
葵「蒼くん、おはよう。今日はちゃんと起きれたかな? 最近、遅刻が多いって先生が言ってたよ。もし、起きるのが辛いなら、夜はもう少し早く寝たらどうかな?」
蒼「あははは。お前が言うなよー」
葵「あと、そうそう。田中君が、貸したゲームを返してって言ってたけど」
蒼「げっ! 忘れてた。ヤバいな。もう少しでクリアだったんだけど……」
葵「蒼くんのことだから、まだクリアしてないだろうなって思って、あと一週間延ばしてって言っておいたよ」
蒼「おおー。さすが!」
葵「そうだ。あとさ、もうすぐ修学旅行だよね。どこ行くか、そろそろ決めないとね」
蒼「あー、そうだったな。んー。確かに、どうするか決めないとな」
葵「蒼くんは大阪に行きたいって言ってたよね? 私は大阪でもいいんだけどさ、お好み焼きが食べたいな。本場のやつ」
蒼「あー、いいね、お好み焼き。けど、たこ焼きも捨てがたいよなぁ」
葵「自由時間も何するか、しっかり決めておかないとね。蒼くん、そういうの面倒くさがって、当日まで決めないタイプだからさ」
蒼「うっ! お見通しだな……」
葵「私が決めちゃってもいい? もし、蒼くんが行きたいって場所があったら、日記に書いておいてくれる? それを見て、スケジュール決めるからさ」
蒼「んー。任せる……って言ったら、怒りそうだな。考えておくか」
葵「……ホントだったら、一緒に回りたいんだけどね、大阪」
蒼「……そうだな」
葵「でもね、いいの。私は蒼くんと一緒にいられるだけで、幸せだよ」
蒼「……ああ、そうだな」
葵「……蒼くん、大好きだよ」
蒼「ああ、俺もだ」
そのとき、またスマホのアラームが鳴る。
蒼「おっと。ヤバいヤバい。学校に行く準備しないとな」
ノートを閉じて、立ち上がる蒼。
蒼(N)「俺の返事は返ってから書く。時々、眠くて書き忘れることがあるけど、こうして、俺たちは交換日記を続けている。一番近くにいるけど、決して会えない、あの子へ。俺の中にいる、もう一人の自分へ」
終わり。