完全犯罪
- 2024.03.20
- 映像系(10分~30分) 退避

■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ドラマ、漫画、現代、コメディ
■キャスト
穣(みのる)
男
忠雄(ただお)
マスター
■台本
〇町の全景
冬。雪が降っていて、積もり始めている。
〇バー
カウンターで一人飲んでいる穣(みのる)。
そして、グイっとお酒をあおる。
空のグラスをバンとテーブルに置く。
穣「あー、くそ! マスター、お替り!」
マスター「その辺にしておいた方がいいですよ」
穣「うるせー!」
マスターは穣に背を向けて、作業を始める。(酒をこれ以上出さないというのを示している)
穣「どいつもこいつも、俺をバカにしやがって! ……ちくしょう。あんなやつ、死ねばいいのに。いや、殺してやる」
すると、横からスッとお酒が入ったグラスが置かれる。
穣「……」
チラリとそちらの方向を見ると、怪しい男が座っている。
男「良ければどうぞ。もちろん、口は付けてませんよ」
穣「……ふん」
グラスを手に取り、飲み干す穣。
男「そういえば、先ほど、殺してやると言ってましたが?」
穣「だからなんだ! 殺したい奴なんて、誰だって一人や二人いるだろ!」
男がニヤリと笑みを浮かべて、穣に詰め寄って来る。
男「ええ。確かに誰でも、殺したいと思うでしょうね。ですが、それを実行に移せるかどうかは限られた人間だけです」
穣「……」
男「あなたは本当に、その人を殺したいと思いますか?」
穣「ああ。思うよ。できるならな」
男「……手を貸しましょうか?」
穣「なんなんだ、お前は?」
男「犯罪コーディネーターです。完全犯罪のプランをお売りしています」
穣「完全犯罪だと!?」
男「ええ。あなたの犯行だとはバレません。どうですか? 買ってみませんか?」
穣「……いいだろう。買ってやる」
男「毎度あり」
〇一軒家の前
穣が家から出てくる。
そこに男がやってきて、横に並ぶ。
男「いかがですか?」
穣「酒を飲ませてきた。言われた通り、ほどほどにな」
男「素晴らしい」
穣「で、あんたの方はどうなんだ?」
男「仕掛けはバッチリです。時間になれば自動的に発火し、この家は火事になるでしょう」
穣「……酒を飲ませているから、火の不始末の事故って判断される可能性が高いってわけか」
男「仮に、仕掛けのことがバレたとしても、準備は私がしているので、あなたには一切、疑いはかからない」
穣「けど、火の手が上がったときに、逃げられたら意味がないだろ」
男「それにも仕掛けします」
〇同・ドアの前
男がドアに水をかけている。
穣「なにをしているんだ?」
男「こうやって水をかけておけば、数時間もすればドアが凍り付きます」
穣「なるほど。そうすれば、あいつは家から出られないというわけだな」
男「はい。その通りです」
穣「ふふふ。よし、これであいつを始末することができるってわけだ」
男「では、どこか人が多い場所でアリバイを作っていてください」
穣「わかった」
〇同
家が燃えている。
その様子を見て、ニヤリと笑っている男。
男「私のプランは完璧だ」
すると、ガラッと窓が開き、忠雄が出てくる。
男「……あっ!」
終わり。
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