完全犯罪

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ドラマ、漫画、現代、コメディ

■キャスト
穣(みのる)

忠雄(ただお)
マスター

■台本

〇町の全景

冬。雪が降っていて、積もり始めている。

〇バー

カウンターで一人飲んでいる穣(みのる)。

そして、グイっとお酒をあおる。

空のグラスをバンとテーブルに置く。

穣「あー、くそ! マスター、お替り!」

マスター「その辺にしておいた方がいいですよ」

穣「うるせー!」

マスターは穣に背を向けて、作業を始める。(酒をこれ以上出さないというのを示している)

穣「どいつもこいつも、俺をバカにしやがって! ……ちくしょう。あんなやつ、死ねばいいのに。いや、殺してやる」

すると、横からスッとお酒が入ったグラスが置かれる。

穣「……」

チラリとそちらの方向を見ると、怪しい男が座っている。

男「良ければどうぞ。もちろん、口は付けてませんよ」

穣「……ふん」

グラスを手に取り、飲み干す穣。

男「そういえば、先ほど、殺してやると言ってましたが?」

穣「だからなんだ! 殺したい奴なんて、誰だって一人や二人いるだろ!」

男がニヤリと笑みを浮かべて、穣に詰め寄って来る。

男「ええ。確かに誰でも、殺したいと思うでしょうね。ですが、それを実行に移せるかどうかは限られた人間だけです」

穣「……」

男「あなたは本当に、その人を殺したいと思いますか?」

穣「ああ。思うよ。できるならな」

男「……手を貸しましょうか?」

穣「なんなんだ、お前は?」

男「犯罪コーディネーターです。完全犯罪のプランをお売りしています」

穣「完全犯罪だと!?」

男「ええ。あなたの犯行だとはバレません。どうですか? 買ってみませんか?」

穣「……いいだろう。買ってやる」

男「毎度あり」

〇一軒家の前

穣が家から出てくる。

そこに男がやってきて、横に並ぶ。

男「いかがですか?」

穣「酒を飲ませてきた。言われた通り、ほどほどにな」

男「素晴らしい」

穣「で、あんたの方はどうなんだ?」

男「仕掛けはバッチリです。時間になれば自動的に発火し、この家は火事になるでしょう」

穣「……酒を飲ませているから、火の不始末の事故って判断される可能性が高いってわけか」

男「仮に、仕掛けのことがバレたとしても、準備は私がしているので、あなたには一切、疑いはかからない」

穣「けど、火の手が上がったときに、逃げられたら意味がないだろ」

男「それにも仕掛けします」

〇同・ドアの前

男がドアに水をかけている。

穣「なにをしているんだ?」

男「こうやって水をかけておけば、数時間もすればドアが凍り付きます」

穣「なるほど。そうすれば、あいつは家から出られないというわけだな」

男「はい。その通りです」

穣「ふふふ。よし、これであいつを始末することができるってわけだ」

男「では、どこか人が多い場所でアリバイを作っていてください」

穣「わかった」

〇同

家が燃えている。

その様子を見て、ニヤリと笑っている男。

男「私のプランは完璧だ」

すると、ガラッと窓が開き、忠雄が出てくる。

男「……あっ!」

終わり。