3倍のモテ期

3倍のモテ期

〈前の10枚シナリオへ〉            〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:5人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
丈弘(たけひろ) 17歳
正樹(まさき) 17歳
唯(ゆい) 17歳
縁(ゆかり) 17歳
幸(ゆき) 17歳

■台本

丈弘(N)「モテ期。人生で一度、訪れるという異性にモテモテになる時期のことである。でも、俺みたいなイケメンじゃない男は、たとえモテ期だったとしても、一人にモテるのが精いっぱいだろう。だけど、俺は諦めない。俺はある方法で3倍、モテモテになったのだ」

場面転換。

正樹「なあ、丈弘。お前、最近、なんかモテてないか?」

丈弘「……やっぱり、そう思うか?」

正樹「ああ。俺とかお前とかが、女にモテるなんて、モテ期しかないだろ」

丈弘「ふふふ。ついに来たか」

正樹「頑張れよ、丈弘。俺は去年、モテ期を使っちまった……。あのとき、彼女を作れなかった、俺は負け組だ」

丈弘「……わかってる。だが、俺には秘策があるんだ」

正樹「秘策?」

丈弘「ああ。……俺はそれで3倍、モテてみせる」

場面転換。

教室内。

昼休み。

幸・唯・縁「丈弘くーん。お弁当、食べよー」

丈弘「あ、幸ちゃん、唯ちゃん、縁ちゃん」

幸「ちょっと、唯、縁。あんたたちは自分の教室に戻ってなさいよ。私が丈弘くんとご飯食べるんだから」

唯「はあ? 幸こそ、帰りなさいよ」

縁「はあ……二人とも止めなよ。あんたたちのマズいお弁当を、丈弘くんが食べるわけないでしょ」

幸「何言ってるのよ! あんたが一番、料理下手じゃない」

縁「はあ? あんた、舌がおかしいんじゃないの?」

唯「ねえ、丈弘くん。誰のお弁当が食べたい?」

丈弘「んー。3つとも食べるよ。だって、3人が僕のために作ってきてくれたんでしょ? 全部食べるに決まってるじゃん」

幸「さすが、丈弘くん、優しい」

縁「そういうところが好き」

唯「ちょっと、私の方が丈弘くんのこと、好きだよ」

幸「それだけは譲れないんだけど!」

縁「何言ってるの?」

唯「あんたこそ!」

丈弘「まあまあ。それより、早く食べようよ。お昼休み終わっちゃうよ」

縁「うん。そうだね」

場面転換。

教室内。放課後。

丈弘「うっぷ……」

正樹「……丈弘、考えたな」

丈弘「だろ?」

正樹「まさか、3つ子を狙うなんてな」

丈弘「唯ちゃん、幸ちゃん、縁ちゃんは、顔や体型だけじゃなく、好みも一緒だからな」

正樹「つまり、1人にモテれば、3倍になるってわけか」

丈弘「そういうこと! 3倍モテて、俺は幸せだぜ」

正樹「にしては、お前、顔色悪いぞ」

丈弘「うっ……。ちょっと、昼は食い過ぎたかも」

正樹「まあ、弁当3つだもんな」

丈弘「けど、残すわけにはいかないからな」

正樹「それで、お前さ、誰を……」

そのとき、ガラガラとドアが開く。

唯・縁・幸「丈弘くーん。一緒に帰ろ」

丈弘「うん。今、行く!」

場面転換。

教室、昼休み。

チャイムの音と、ドアが開く音。

唯・幸・縁「丈弘くーん。一緒に、お弁当食べよ」

丈弘「うん。わかったー」

場面転換。

教室。放課後。

丈弘「うっぷ……」

正樹「……大丈夫か?」

丈弘「少し、吐いておこうかな……」

そのとき、ドアが開く。

唯・幸・縁「丈弘くーん! 一緒に、帰ろー!」

丈弘「うん。今行く」

正樹「……相変わらず、モテモテだな」

丈弘「ふふ。3倍だからな」

場面転換。

教室内。

昼休み。

チャイムの音。

丈弘「……」

正樹「あれ? 丈弘。昼休みだぞ」

丈弘「……知ってるよ」

正樹「唯ちゃん、縁ちゃん、幸ちゃんは?」

丈弘「……フラれた」

正樹「は?」

丈弘「最近、激太りしたからさ……」

正樹「ああ……。確かに、腹、ヤバくなってるもんな」

丈弘「……なあ、正樹」

正樹「ん?」

丈弘「この方法はさ、3倍モテるけど、一度、フラれると、3人全員にフラれるんだよな」

正樹「ああ……。3人とも、好みが一緒だもんな」

丈弘「あーーー! くそ! 最初から、1人に絞ればよかったーー!」

正樹「自業自得だな」

終わり。

 

〈前の10枚シナリオへ〉            〈次の10枚シナリオへ〉