3倍のモテ期
- 2024.06.23
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
丈弘(たけひろ) 17歳
正樹(まさき) 17歳
唯(ゆい) 17歳
縁(ゆかり) 17歳
幸(ゆき) 17歳
■台本
丈弘(N)「モテ期。人生で一度、訪れるという異性にモテモテになる時期のことである。でも、俺みたいなイケメンじゃない男は、たとえモテ期だったとしても、一人にモテるのが精いっぱいだろう。だけど、俺は諦めない。俺はある方法で3倍、モテモテになったのだ」
場面転換。
正樹「なあ、丈弘。お前、最近、なんかモテてないか?」
丈弘「……やっぱり、そう思うか?」
正樹「ああ。俺とかお前とかが、女にモテるなんて、モテ期しかないだろ」
丈弘「ふふふ。ついに来たか」
正樹「頑張れよ、丈弘。俺は去年、モテ期を使っちまった……。あのとき、彼女を作れなかった、俺は負け組だ」
丈弘「……わかってる。だが、俺には秘策があるんだ」
正樹「秘策?」
丈弘「ああ。……俺はそれで3倍、モテてみせる」
場面転換。
教室内。
昼休み。
幸・唯・縁「丈弘くーん。お弁当、食べよー」
丈弘「あ、幸ちゃん、唯ちゃん、縁ちゃん」
幸「ちょっと、唯、縁。あんたたちは自分の教室に戻ってなさいよ。私が丈弘くんとご飯食べるんだから」
唯「はあ? 幸こそ、帰りなさいよ」
縁「はあ……二人とも止めなよ。あんたたちのマズいお弁当を、丈弘くんが食べるわけないでしょ」
幸「何言ってるのよ! あんたが一番、料理下手じゃない」
縁「はあ? あんた、舌がおかしいんじゃないの?」
唯「ねえ、丈弘くん。誰のお弁当が食べたい?」
丈弘「んー。3つとも食べるよ。だって、3人が僕のために作ってきてくれたんでしょ? 全部食べるに決まってるじゃん」
幸「さすが、丈弘くん、優しい」
縁「そういうところが好き」
唯「ちょっと、私の方が丈弘くんのこと、好きだよ」
幸「それだけは譲れないんだけど!」
縁「何言ってるの?」
唯「あんたこそ!」
丈弘「まあまあ。それより、早く食べようよ。お昼休み終わっちゃうよ」
縁「うん。そうだね」
場面転換。
教室内。放課後。
丈弘「うっぷ……」
正樹「……丈弘、考えたな」
丈弘「だろ?」
正樹「まさか、3つ子を狙うなんてな」
丈弘「唯ちゃん、幸ちゃん、縁ちゃんは、顔や体型だけじゃなく、好みも一緒だからな」
正樹「つまり、1人にモテれば、3倍になるってわけか」
丈弘「そういうこと! 3倍モテて、俺は幸せだぜ」
正樹「にしては、お前、顔色悪いぞ」
丈弘「うっ……。ちょっと、昼は食い過ぎたかも」
正樹「まあ、弁当3つだもんな」
丈弘「けど、残すわけにはいかないからな」
正樹「それで、お前さ、誰を……」
そのとき、ガラガラとドアが開く。
唯・縁・幸「丈弘くーん。一緒に帰ろ」
丈弘「うん。今、行く!」
場面転換。
教室、昼休み。
チャイムの音と、ドアが開く音。
唯・幸・縁「丈弘くーん。一緒に、お弁当食べよ」
丈弘「うん。わかったー」
場面転換。
教室。放課後。
丈弘「うっぷ……」
正樹「……大丈夫か?」
丈弘「少し、吐いておこうかな……」
そのとき、ドアが開く。
唯・幸・縁「丈弘くーん! 一緒に、帰ろー!」
丈弘「うん。今行く」
正樹「……相変わらず、モテモテだな」
丈弘「ふふ。3倍だからな」
場面転換。
教室内。
昼休み。
チャイムの音。
丈弘「……」
正樹「あれ? 丈弘。昼休みだぞ」
丈弘「……知ってるよ」
正樹「唯ちゃん、縁ちゃん、幸ちゃんは?」
丈弘「……フラれた」
正樹「は?」
丈弘「最近、激太りしたからさ……」
正樹「ああ……。確かに、腹、ヤバくなってるもんな」
丈弘「……なあ、正樹」
正樹「ん?」
丈弘「この方法はさ、3倍モテるけど、一度、フラれると、3人全員にフラれるんだよな」
正樹「ああ……。3人とも、好みが一緒だもんな」
丈弘「あーーー! くそ! 最初から、1人に絞ればよかったーー!」
正樹「自業自得だな」
終わり。