あの星を見上げて

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
美月(みづき)
碧人(あおと)

■台本

ガチャリとドアを開けて美月が部屋に入って来る。

ドサリとベッドに倒れこむ。

美月「あー。疲れた……」

寝返りを打つ、美月。

美月(N)「仕事……辞めたいなぁ。私、なんで頑張ってるんだろ」

美月「あっ!」

起き上がって、カバンからスマホを出す。

操作して。

美月「……メールなし、か」

また寝転がる美月。

美月(N)「はあ……。もう3ヶ月か。最後に連絡来たの。まあ、あいつなら、珍しくはないんだけど」

美月「……ご飯食べなきゃ。……でも、面倒くさいなぁ」

美月(N)「あいつの卵焼きが食べたい。丸くて、月のような卵焼き……。笑っちゃうほど甘くて、びっくりするほどフカフカ」

美月「バカ。……寂しいぞ」

美月(N)「何がすぐ戻るよ。何が寂しい思いはさせないよ。今、めちゃくちゃ寂しいよ。……碧人」

起き上がって、ベランダの窓を開けて、外に出る。

美月「……」

美月(N)「なにが、寂しいときは星を見ろよ。見たから、なんだっていうの」

そのとき、スマホの着信音がする。

美月「え? 碧人?」

スマホの通話ボタンを押す。

美月「碧人!?」

碧人「よお、美月」

美月「……なんか、用?」

碧人「あー、いや、お前が寂しがってるかなーって思って」

美月「……バカ。そう思うなら、もっと、メールとかしなさいよ」

碧人「俺って、文字打つの苦手だから」

美月「苦手って……。それで、彼女に寂しい思いをさせてもいいっていうの?」

碧人「だから、今、電話してんじゃねーか」

美月「……ギリギリだよ、ギリギリ。もう、別れようかって頭を過ったんだから」

碧人「すまんすまん。でも、美月なら少しくらい連絡しなくても大丈夫かなって思ってさ」

美月「3ヶ月よ、3ヶ月!」

碧人「だから、ごめんって。……それより、美月」

美月「なに?」

碧人「……こっちに来るか?」

美月「……ううん。もう少し頑張ってみる」

碧人「そっか」

美月「うん」

碧人「……」

美月「ねえ、碧人」

碧人「ん?」

美月「ありがとね」

碧人「なにが?」

美月「……ううん。なんでもない」

碧人「美月、覚えてるか。どんなに遠くにいても、同じ星を見ることができるって」

美月「うん。覚えてるよ」

碧人「同じ星を見ると、どんなに離れててもお互いの気持ちが通じるんだ」

美月「……なにそれ。嘘くさい」

碧人「おいおい。せっかく、人がロマンチックな事言ってるのに」

美月「クサイ台詞はあんたらしくないわよ」

碧人「そっか」

美月「でも……離れてるのに、同じ星を見るなんて、ちょっと素敵だね」

碧人「ああ……」

そのとき、キラっと流れ星が流れる。

美月・碧人「あ、流れ星!」

碧人「……あはは」

美月「……ふふ」

碧人「……なあ、美月」

美月「大丈夫だよ、碧人。ちゃんと、通じた」

碧人「……そっか」

美月「……私の想いも通じてるよね」

碧人「もちろん」

美月(N)「碧人。大好きだよ」

終わり。

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