アイツの彼女

アイツの彼女

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■概要
人数:5人以上
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
奏太(かなた)
弘毅(こうき)
隆久(たかひさ)
店員
大貴(だいき)
亜優(あゆ)

■台本

〇ファミレス

奏太と弘毅が向かい合って座っている。

二人とも腕を組んで顔をしかめている。

奏太「……」

弘毅「……」

奏太「お前さ、彼女できた?」

弘毅「わかりきった質問するんじゃねえ。……お前は?」

奏太「お前のセリフをノシ付けて返す」

弘毅「……」

奏太「……」

二人が大きくため息を吐く。

奏太「いやいや。ありえねーだろ。大貴が一番最初に彼女出来るなんてよぉ」

弘毅「だよなぁ。あんな、オタクのデブが俺たちより先に彼女作ったなんて、信じられねーよ」

奏太「あいつだけは絶対に、彼女なんかできないと思ってたのに」

弘毅「一体、どういうことだ? あれか? 同じオタク趣味の女を引っかけたとかか?」

奏太「それしか考えられねーよな。っていうか、あいつは現実の女に興味ないと思ってたのに」

弘毅「わかる。いつも、ラノベの表紙の女の子を指差して、この子と結婚するとか、嫁とか言ってたもんな」

奏太「あいつが彼女出来たなんて、きっと何かの間違いだ……」

そのとき、店に誰かが入って来る。

奏太・弘毅「っ!?」

2人が顔をあげて、入口の方を見る。

入って来たのは、隆久。腕に大きな人形を抱えている。

そんな隆久に店員が声をかける。

店員「いらっしゃいませ。おひとりですか?」

隆久「はあ? 見ればわかるだろ! 二人だよ、ふ、た、り!」

隆久は抱えていた人形を抱える。

店員「(顔を引きつらせて)……か、かしこまりました。ご案内します」

店員が歩き出し、その後ろに隆久がついて行く。

奏太「……なんだ、ありゃ?」

弘毅「あー、あれは人形を彼女だって思い込んでるというより、設定なんだよ」

奏太「なるほどな。そういうことか……」

奏太・弘毅「あっ!」

二人が顔を見合わせて笑みを浮かべる。

奏太「謎が解けたな」

弘毅「ああ。間違いないだろうな」

後ろの方で、誰かが店に入ってきた音がする。

奏太「あいつは、お気に入りの人形ができて、それを彼女だと言って紹介する気だな」

弘毅「……ふー。ヒヤヒヤさせやがって。そんなことだろうとは思ったぜ」

奏太「だよな。あいつに彼女なんてできるわけないよな」

弘毅「そうだよ。あははははは」

奏太「あははははは」

テーブルの横に大貴が現れる。

大貴「よお、お待たせ。こっちが、連絡してた、俺の彼女」

奏太・弘毅「……」

亜優「亜優です。よろしくお願いします」

奏太・弘毅「いや、本当にいるのかよ!」

大貴「……は?」

終わり。