【声劇台本】時季外れの肝試し

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
蒼平(そうへい)
神奈(かんな)
陸(りく)
由紀子(ゆきこ)

■台本

教室内。

蒼平「……うーん」

陸「おいおい、どうした、蒼平? 先週までの絶頂みたいな」

蒼平「か、神奈ちゃんが……」

陸「なんだよ。まさか、付き合って一週間でフラれたのか?」

蒼平「いや、そうじゃないんだけどさ。……なんていうか、距離が縮まらないっていうか……」

陸「はあー。あのなあ。付き合ってるって言ったって、そんな急に心の距離なんて縮まらないって」

蒼平「けどさ……」

陸「ったく、お前は、相変わらずウジウジしてんなぁ。神奈ちゃんに告白したときの勇気はどこ行ったんだよ」

蒼平「……」

陸「しゃーない。ここは、俺がまたひと肌脱いでやるよ」

蒼平「ホント!? ありがとう! ……で、どうするの?」

陸「ふふふ。名付けて、吊り橋効果作戦だ」

蒼平「吊り橋……って、確か、怖い思いをしたときのドキドキが恋愛のときのドキドキと錯覚するって話?」

陸「そうそう。それそれ」

蒼平「でも、この辺に、そんな高い橋とかあったかな?」

陸「別に、実際に危ないところにいかなくても、ドキドキさえすれば問題ないって」

蒼平「うーん……。じゃあ、遊園地の絶叫マシーンとか?」

陸「金がかかるし、乗り物は時間が短いからな。だから、ズバリ! 心霊スポットだ」

蒼平「心霊スポット!?」

陸「ああ。そこなら、金もかからないし、長い時間、一緒だし、何より密着度が違う」

蒼平「……」

陸「ふふふ。このプランに気に入ってくれたようだな」

蒼平「でも、この辺の心霊スポットってどこがあるかな」

陸「そこが問題なんだよな。不法侵入になるところは避けるとして、ほとんどの場所が、もう祓われちまってるからな」

蒼平「祓われる?」

陸「あれ? 知らないのか? 涙目の除霊師。この辺のほとんどの場所はそいつに除霊されたって話だ。10ヶ所くらいやられてる」

蒼平「うーん。でも、雰囲気さえあれば、別に除霊されててもいいんじゃない?」

陸「バーカ。もし、神奈ちゃんが、その場所が除霊済みって知ってたら、ビビるものもビビらないぞ。そんなの、ただの夜の散歩だ」

蒼平「あ、そっか……」

陸「ってことで、もう、ここしか残ってない。旧国道トンネルだ」

蒼平「トンネルかぁ……」

場面転換。

神奈「はあ……」

由紀子「どうしたの、神奈。ため息なんてついちゃって」

神奈「それがね、蒼平くんが……」

場面転換。

由紀子「なるほどね……。肝試しに誘われたと」

神奈「なんで、こんな時期に肝試しなんだろ? それに、私、幽霊が凄く苦手なんだけど……」

由紀子「蒼平くんは、神奈が幽霊大嫌いって知ってるの?」

神奈「……言ってない」

由紀子「ははーん。なるほどなるほど」

神奈「どうかしたの?」

由紀子「あれよ、あれ。きっと、蒼平くんはあんたとの距離をグッと縮めたいのよ」

神奈「どういうこと?」

由紀子「吊り橋効果ってやつね。神奈に怖い思いをしてもらって、それを恋愛のドキドキに思わせたいのよ」

神奈「……そんなことしなくても、蒼平くんには、いつもドキドキしてるよ?」

由紀子「はいはい。ご馳走様。シレっとノロケないでくれるかな」

神奈「べ、別にノロケじゃ……」

由紀子「それにしても、あんたはよく肝試しに誘われるわね」

神奈「今年の夏だけで10回だよ……」

由紀子「みんな、吊り橋効果を狙ったんだろうけどね」

神奈「蒼平くんも引いたりするかな?」

由紀子「ううん、これはチャンスよ。あんたは、叫ぶのを我慢して、何かあったら、すぐに蒼平くんに抱き着いてきなさい!」

神奈「……」

場面転換。

トンネル内に響く、二人の足音。

蒼平「……神奈ちゃん。大丈夫?」

神奈「う、うん……。やっぱり、すごくたくさんいる」

蒼平「え?」

神奈「ね、ねえ。蒼平くん。絶対に、手を離さいで」

蒼平「う、うん……」

神奈「私、幽霊苦手なの。幽霊を見たら、その……混乱して、変なことしちゃうかもしれないけど、気にしないでね」

蒼平「う、うん。わかった」

二人の足音。

神奈「……出ないで、出ないで、出ないで……」

蒼平「ご、ごめんね。神奈ちゃんがそこまで幽霊が苦手だったなんて」

神奈「ううん。だ、大丈夫……」

蒼平「……」

二人の足音。

そこに不審な音が響く。

蒼平「い、今のは?」

神奈「ダメダメダメ。空気読んで……」

蒼平「神奈ちゃん、大丈夫?」

幽霊1「恨めしい……」

蒼平「うわあ! い、今のって……?」

神奈「……」

幽霊2「生きた人間……恨めしい……」

蒼平「か、神奈ちゃん。走ろう!」

幽霊3「逃がさない……」

神奈「きゃああああ! いやあああ!」

蒼平「か、神奈ちゃん?」

神奈「いやああ!」

幽霊1「うわああああ!」

パンと破裂するような音。

幽霊2「やべえ! こ、こいつ、霊能力者だ!」

神奈「きゃあああああ!」

幽霊3「うわああ!」

パンと破裂するような音。

神奈「やああああ!」

幽霊2「ぬあああああ!」

パンと破裂する音。

場面転換。

蒼平「……」

陸「よお、蒼平。どうだった?」

蒼平「……凄かった」

陸「は?」

場面転換。

神奈「……」

由紀子「で、どうだったの?」

神奈「やっちゃった……」

由紀子「……そ、蒼平くんは、なんて?」

神奈「それが……」

回想。

蒼平「神奈ちゃん、格好良かったよ!」

回想終わり。

由紀子「そ、そう。良かったじゃない」

神奈「うわーん。蒼平くんの前では可愛い女の子でいたかったのにぃ……」

由紀子「ま、まあ、上手くいったんだから、いいじゃない」

神奈「良くない!」

終わり。

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