【声劇台本】ミッションコンプリート
- 2022.02.02
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
穂乃花(ほのか)
武尊(たける)
真里(まり)
男子生徒
男の子
■台本
穂乃花(N)「私は昔から太りやすくて、いわゆるぽっちゃり系だった。でも、私は別に気にしてなかった。こんな私でも、ありのままの私でも受け入れてもらえる。そう、思っていたから……」
男の子「おい、デブ穂乃花! もう少し離れて歩けよ! 友達だと思われるだろ! 恥ずかしいんだよ!」
穂乃花(N)「小学校の頃の、何気ない一言。本人はきっと、言ったことすら覚えてないだろう。でも、私は本当にショックだった。一晩中泣いた。そして、変わろう。そう思ったんだ……」
場面転換。
男子生徒「穂乃花さん、好きです! 付き合ってください」
穂乃花「……ありがとう。とっても嬉しいよ。でも、ごめんなさい。私……その……好きな人がいるの」
男子生徒「そ、そうなんだ……。それなら仕方ないね」
男子生徒が去っていく。
穂乃花「ふう……」
真里「いやあ、穂乃花は相変わらず、モテるねえ。さすが」
穂乃花「ここまで来るのに、5年だよ、5年。……今考えても地獄のような日々だったよ」
真里「そうだね。あんたの努力は私が一番知ってるよ。ずっと見てたんだもん」
穂乃花「これも真里がいたからだよ。真里がいなかったら、たぶん、今の私はいなかったと思う」
真里「まあ、そうねー。じゃあ、感謝のしるしに何か奢って」
穂乃花「くすっ。裏表のない真里だから信用できるんだよね。ずっとそのままでいてね」
真里「うーん。いまいち、褒められた気がしない……。まあ、いいや。それより、ホントにいいの?」
穂乃花「何が?」
真里「さっきの3組の真くんでしょ? 学年の中でも、トップ5に入る、人気者だよ。あの辺で手を打っておいた方がよかったんじゃないの?」
穂乃花「ああ、そのこと。いいんだよ、別に。真くんって、小学校のとき、私を馬鹿にしてたグループの一人だよ。あんなことしておいて、よくも私に告白なんてできたもんだよね」
真里「あー。言った方は案外、覚えてないもんよねー」
穂乃花「言われた方が意外と長く覚えてるもんだけどね」
真里「まあ、そういう事情ならしゃーないか。完全に外面しか見てないってことだもんね」
穂乃花「そういうこと。それに、私、今はあっちの方に集中したいからさ」
真里「ああ、あっちか。ホント、あんたもよくやるよ。すごいよね」
穂乃花「そのために頑張ったようなもんだもん」
場面転換。
武尊「穂乃花、見てくれ! 俺、ついに人気投票で5位内に入ったぞ」
穂乃花「おめでとう、武尊! やったね」
武尊「よーし、このまま読モのトップを目指すぜ!」
穂乃花「武尊なら絶対、できるよ! 頑張ろうね」
武尊「ああ。ありがとな、穂乃花。こうやって、頑張れるのも穂乃花のおかげだよ。お前が幼馴染で本当によかった」
穂乃花「ううん。全部、武尊の頑張りがあったからだよ」
武尊「そ、そうかな……」
穂乃花「うんうん。そうだよ。……だけど、最近、ちょっと無理してない?」
武尊「え? そうか?」
穂乃花「少しやつれてきたよ。ちゃんとご飯食べてる?」
武尊「あー、一日一食にしてる。体型維持のために」
穂乃花「ダメだよ。それで不健康になったら、意味ないって。……あ、そうだ。これ、飲んでみる?」
穂乃花がカバンから水筒を出して、中身を注ぐ。
武尊「なんだ、これ。スープ?」
穂乃花「プロボクサーとかが愛飲してるスープだよ。栄養が取れる上に、ほとんどカロリーもないの」
武尊「へー。すごいな。飲んでみていいか?」
穂乃花「うん」
武尊がスープを飲む。
武尊「うわ、すげー、美味い。これでほとんどカロリーがないって、完璧だな」
穂乃花「でしょ? まだ、たくさんおかわりあるけど、飲む?」
武尊「ああ、頼む」
穂乃花「そうそう。色々調べたんだけど、食事の回数を減らすのってあんまりよくないみたいだよ。下手すると太りやすくなるみたい」
武尊「ええ? そうなのか?」
穂乃花「うん。だから、ちゃんと三食食べた方がいいよ」
武尊「そっか、わかった」
穂乃花「もし、物足りないってなったら、このスープ飲めばいいよ。たくさん用意してあげるから」
武尊「そっか。ありがとな、穂乃花」
穂乃花「うん、ずっと応援してるからね」
場面転換。
武尊「いてて……」
穂乃花「どうしたの?」
武尊「昨日、筋トレし過ぎて、筋肉痛なんだよ」
穂乃花「筋トレって、やり過ぎると逆効果になるんだよ」
武尊「え? そうなのか?」
穂乃花「うん。やり過ぎると、返って筋肉が細くなるんだって」
武尊「マジか。やり損じゃん」
穂乃花「うん。だから、あんまりやり過ぎない方がいいよ。週一回くらいにしたら?」
武尊「ん、わかった。そうするよ」
穂乃花「あと、週一回にしたからって、やり過ぎないようにね。ちゃんと軽めにしておくんだよ」
武尊「わかった。いつも、サンキューな」
穂乃花「ううん。私にできることなんて、このくらいだもん」
場面転換。
武尊「うう……。ねむぃ」
穂乃花「どうしたの?」
武尊「ああ、ほら、この前、穂乃花から借りたゲーム。面白くて、昨日徹夜しちまったんだよ」
穂乃花「面白いでしょ、あれ」
武尊「ああ。けど、止め時が難しくってさー。気付いたら朝、ってことが多いんだよ。……ヤバいよな―、寝不足は」
穂乃花「うん。寝不足は身体によくないけど、ストレスを溜める方がもっと、よくないよ」
武尊「え? そうなのか?」
穂乃花「うん。ストレスって言うのはね、本当に体にとって悪いことなんだよ。無理やりゲームを止める方がストレスになるよ」
武尊「まあ、そうだよな……。寝ようとしても、気になって寝れねーもん」
穂乃花「でしょ? そういうときは、ササっとクリアしちゃった方がいいと思うよ」
武尊「おう、そうだな。そうするよ。もうすぐでクリアできるし」
穂乃花「もうクリアできるんだ? じゃあ……」
穂乃花がカバンを漁り、ソフトを出す。
穂乃花「はい、これ。続編」
武尊「へー。続編出てるんだ? 面白いもんな」
穂乃花「2もすっごい面白いよ」
武尊「そっか。楽しみだな。サンキュー、穂乃花」
穂乃花「ううん。気にしないで」
場面転換。
武尊「あ、ああ……」
穂乃花「どうしたの?」
武尊「見てくれ! 読モの人気投票、圏外だ!」
穂乃花「ああー。最近、武尊、すごく太ったもんね」
武尊「そうなんだよ……。気付いたら20キロ以上増えてて……」
穂乃花「そっか……」
武尊「な、なあ、穂乃花。お前はさ、こんな俺でもいいって言ってくれるよな? 俺さ、実はお前のこと、好きだったんだよ。俺と、付き合わないか?」
穂乃花「……デブが」
武尊「へ?」
穂乃花「あんたみたいなデブと付き合うわけないでしょ! もう少し離れてよ! 友達だと思われるでしょ! 恥ずかしいのよ!」
武尊「そ、そんな……」
穂乃花「ふん……」
穂乃花が去っていく。
場面転換。
真里「……気が済んだ?」
穂乃花「うん! すっごく! んー! 気分爽快! 5年間、頑張った甲斐があったよ!」
真里「5年越しの復讐か。すごい執念ね」
穂乃花「武尊、私に言ったこと、思い出してくれたかなー?」
回想。
男の子「おい、デブ穂乃花! もう少し離れて歩けよ! 友達だと思われるだろ! 恥ずかしいんだよ!」
回想終わり。
真里「こういうのは、言った方は覚えてないもんだよ」
穂乃花「ま、しょうがないか」
真里「おめでとう、と言った方がいいのかな?」
穂乃花「ありがとう。……ふふふ。ミッションコンプリート(復讐完了)」
真里「恨みって怖いわね……」
終わり。
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