目を覚まして

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■概要
人数:2人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
衣茉莉(いまり)
奏斗(かなと)

■台本

衣茉莉(N)「それは奇跡と言っていい出会いだったと思う。私と彼はお互い、一目惚れで出会って次の日には付き合っていた。生涯で一度きりの大恋愛。そう言っても大げさなんかじゃない。ううん。5回くらい生まれ変わったとしても、今回のような出会いなんかできないと思うんだ。それくらい彼を愛している」

奏斗「……」
衣茉莉「ねえ、奏斗……」

衣茉莉(N)「私が声をかけても、彼は目を開けることはない。……それは本当に眠っているように見える」

衣茉莉「ねえ、奏斗……起きてよ」
奏斗「……」

衣茉莉(N)「私が声をかけても、彼は目を開けない。開けてくれない。……どうして? 私を置いて行かないでよ」

衣茉莉「ずっと、一緒にいてくれるって言ってくれたよね?」

衣茉莉(N)「彼の声が聞きたい。彼の優しい声で、愛してるって囁いてほしい。……でも、それはもう叶わないことなのかな?」

衣茉莉「……奏斗。愛してるよ」

チュっとキスをする衣茉莉。

衣茉莉(N)「私は彼と唇を重ねる。それはまるで王子とお姫様のように。……でも、キスをしても眠れる王子さまは目覚めてはくれない」

衣茉莉「奏斗……寂しいよ」

衣茉莉(N)「あんなに楽しかった時間。でも、時間は巻き戻ってはくれない。彼は目を閉じて、私の言葉を聞いてくれない。愛を囁き合ってくれない」

衣茉莉「お願い……目を覚まして」

衣茉莉(N)「私がどんなに願っても、彼はそれに答えてはくれない。……嫌だよ。お願い、起きて」

奏斗「……」
衣茉莉「……奏斗。起きて! 起きてよ! お願いだから! 目を覚まして!」
奏斗「うっさいな!」
衣茉莉「あ、起きた!」
奏斗「当たり前だろ! なんで、お前はいつもいつも俺の昼寝を邪魔するんだよ!」
衣茉莉「えー、だって」
奏斗「だってじゃない! ったく、お前はホント、寂しがり屋だな」

チュっと奏斗が衣茉莉にキスをする。

衣茉莉「えへへ。奏斗、大好き」
奏斗「はいはい。俺もだよ」

終わり。

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