天才的発想

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■概要
人数:2人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
英仁(えいじん) 16歳
翔琉(かける) 16歳

■台本

翔琉「よし、じゃあ、いくぞ」

英仁「ちょ、ちょっと待って!」

翔琉「……またかよ」

英仁「大丈夫。次! 次は絶対、覚悟決める」

翔琉「はいはい」

英仁「すーはーすーはー! よし! 覚悟は決まった! やってくれ」

翔琉「よし、じゃあ、いくぞ」

英仁「……いや、ちょっと待ってくれ」

翔琉「お前。いい加減にしろよ」

英仁「いやいや。普通、躊躇うだろ。誰だって」

翔琉「そうか? 俺なんて、決めたら、さっとやったぞ」

英仁「いや、ほら、俺って、石橋叩いて渡るタイプだからさ。危険なことは、やっぱ、慎重になるんだよ」

翔琉「はあ……。今どき、ピアスの穴開けるのに、危険とかねーよ。ちゃんとした器具使うし。昔なんか、安全ピンで開けてたらしいぞ」

英仁「いやいや。あのさ、ほら、ピアスの穴を開けたら、失明する可能性があるっていうじゃん」

翔琉「……ああ。白い糸が出て、それを引っこ抜くと失明するってやつか?」

英仁「そうそう。それそれ」

翔琉「それ、都市伝説だから」

英仁「え? そうなの?」

翔琉「当たり前だろ。大体、なんで、耳たぶに視神経が繋がってるんだよ」

英仁「あー、いや、繋がってるかもしれないだろ」

翔琉「んなこと言ったら、弓道で耳を落としたってやつは全員、失明するのか?」

英仁「……そんな話は聞いたことないな」

翔琉「だろ? だから安全なんだって」

英仁「……けどさ、ほら、せっかく綺麗に生んでくれた体に穴を開けるって、親に顔向けできなくないか?」

翔琉「じゃあ、止めればいいじゃん。……言っとくけど、お前がピアスの穴を開けたいっていったんだからな?」

英仁「そりゃさ、チーム内で俺だけ開けてないって、なんかチキンみたいじゃん」

翔琉「大丈夫だって。みんな、お前のことはもうチキンって思ってるんだから」

英仁「だから、ピアスの穴を開けて、見返したいんだよ!」

翔琉「うーん。ピアスの穴を開けたくらいで、見返せないと思うけどな。みんな開けてるし」

英仁「……あ!」

翔琉「ん?」

英仁「俺、すげーこと思いついた」

翔琉「どうせくだらないことだと思うけど、なんだ?」

英仁「あのさ、別に穴を開けなくても、こうやって、耳たぶを挟むようにすることで、固定すればいいんじゃね?」

翔琉「……」

英仁「おおー! 我ながら天才的発想だよな? スゲーじゃん、俺!」

翔琉「……それ、ピアスじゃなくてイアリングだから」

英仁「……え? そうなの?」

終わり。

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