散歩道

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
唯斗(ゆいと)
祐奈(ゆな)
唯斗の母親

■台本

唯斗の部屋。
寝転がってスマホでゲームをしている。

唯斗「よし、レアアイテム出た!」

遠くから母親の声がする。

母親の声「唯斗―、洗濯物、取りこんでくれる?」
唯斗「……今、忙しいー」
母親「お願い! 5時から雨降るから」

ガバっと起き上がる唯斗。

唯斗「雨っ!?」

唯斗(N)「スマホで調べてみたら、確かに予報で5時から雨が降るとなっている。金曜の時点では週末はずっと晴れと言っていたから、油断していた。雨が降るということは……散歩日和だ!」

場面転換。
玄関。唯斗が靴を履いている。
そこに母親がやってくる。

母親「あれ? 出かけるの?」
唯斗「あー、うん。ちょっと散歩」
母親「散歩? この時間から? もう夕方じゃない」
唯斗「このくらいの時間がいいの。涼しくて」
母親「それなら、傘持って行きなさい。予報で降るって言ってたでしょ?」
唯斗「あー、いや、いいよ」
母親「いいから、持って行きなさい。この前もそう言って、ずぶ濡れで帰ってきたんだから」
唯斗「大丈夫だって! じゃ、行ってきます」

唯斗がドアを開けて、出て行く。

母親「あ、唯斗……。もう、何考えてるんだか」

場面転換。
道を歩く唯斗。

唯斗(N)「雨が降る前の、不穏な空模様は、何となく好きだ。なんというか、これから波乱が起こる前触れというか、なんかドキドキする。いや、このドキドキは、きっと雨が降るからじゃない」

唯斗「おっと、もう5時になるな。急がないと」

少し小走りになる唯斗。

場面転換。
道を歩く唯斗。

唯斗「……おかしいな。もう5時過ぎてるのに」

その場をウロウロする唯斗。
すると――。
ポツポツと雨が降り始める。

唯斗「来た!」

走り出す唯斗。

場面転換。
雨が降る音。
唯斗が走って来て、軒先に入る。

唯斗「ふう……」

雨が降る音が響く。

唯斗「……」

そこに祐奈がやってくる。

祐奈「もう、急に降るなんて聞いてないよ」
唯斗「……」
祐奈「……あ、こんにちは。……こんばんは、かな?」
唯斗「こ、こんにちは」
祐奈「急に降るなんてびっくりだよね」
唯斗「うん。金曜じゃ、週末はずっと雨だって出てたのにね」
祐奈「そうそう。だから、傘なんて持ってこなくって」
唯斗「俺もそうだよ」
祐奈「ふふふ」
唯斗「どうしたの?」
祐奈「なんか、私たち、いつも傘を持ってこないで、ここで雨宿りしてるよね」
唯斗「そ、そうだね」
祐奈「そういえば、ここってよく通るの?」
唯斗「うん。散歩道なんだ」
祐奈「そうなんだ? 私も」
唯斗「……いつもこの時間に散歩するの?」
祐奈「え? あー、いや。気が向いたときかな。時間は決めてないんだけど」
唯斗「そっか……」
祐奈「あ、そういえばさ……」

唯斗(N)「雨が降る日。俺はこの道を散歩する。そして、ここで雨宿りをしながら、まだ名前も知らない、この子と話をするのだ」

終わり。

 

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉