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■概要
人数:5人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
久博(ひさひろ)
舞子(まいこ)
椿(つばき)
店員

■台本

カフェ店。

賑わっている店内。

店員「お一人様ですか? こちらの席へどうぞ」

場面転換。

賑わっている店内。

久博がやってきて、席に座る。

久博「ごめん。なんか混んでたみたいでさ。時間かかっちゃった」

舞子「まあ、連休中だからね。それでなくても、このお店って平日でも混んでるくらいだもん」

久博がココアをすする。

久博「おお。このココア美味い」

舞子「でしょ? 一番人気だけあるよね」

少し離れたところから他の女性客の声が聞こえてくる。

女「うわ……。混んでるのに一人でテーブル占領してるよ」

久博「はは……。ああいうこと言う人って、どこにでもいるもんだなぁ」

舞子「意地悪いよね。友達少なそう」

久博「だね」

舞子「でもさ、一人でいるなんて、今じゃ全然珍しくないのにね」

久博「というと?」

舞子「今ってね、半数近くの人が将来、独身のままでもいいって答えてるアンケート結果があるらしいよ」

久博「へー。半数も?」

舞子「年々、増えてるみたい」

久博「今どきって感じだね」

舞子「久博はどうなの? 将来、独身のままでもいい感じ?」

久博「……面と向かって聞くこと? そんなわけないって。ちゃんと結婚したいって思ってるよ」

舞子「よかった。女の子に興味ないなんて言われたらどうしようかと思った」

久博「だから、そんなわけないでしょ」

舞子「そういえばさ」

久博「ん?」

舞子「何年目だっけ? 私たち」

久博「ん? えーっと……3年ってところかな」

舞子「3年かぁ。長いような短いような、変な感じ」

久博「わかる。もう3年って思うときもあれば、まだ3年なんだってときもあるよ」

舞子「負担になってたりしない? 私と付き合ってて」

久博「そんなわけないって」

舞子「そう? 休みの日になったら、こういうオシャレなお店に連れてきてくれたりしてるからさ、大変じゃないかなーって心配してるんだ」

久博「彼女を色々な場所に連れて行くことなんて、普通のことじゃないの?」

舞子「うーん……」

久博「どうしたの? 今日の舞子、ちょっと変だよ?」

舞子「久博ってさ、意外と会社でも人気あるから……。私でホントにいいのかなって……」

久博「いい加減にしないと怒るよ? 俺は舞子じゃないと……」

そのとき、横から話しかけられる。

椿「あれ? 先輩?」

久博「え?」

椿「こんなところで会うなんて、偶然ですね。お一人なんですか?」

久博「あー、えっと……」

椿「よかったら、一緒にいいですか? ……席、空いてなくて」

久博「いや、その……」

舞子「ふふっ。だから言ったでしょ? 久博って、意外と会社で人気だって」

久博「……舞子」

舞子「久博なら大丈夫。ちゃんと、普通の女の子と付き合うこと、できるよ」

久博「……」

舞子「今までありがとう。3年間、楽しかったよ」

舞子が消える音。

久博「……」

椿「先輩? どうかしたんですか?」

久博「え? あ、ごめん。なんでもないよ」

椿「……座っても大丈夫ですか?」

久博「うん。どうぞ」

椿「じゃあ、お言葉に甘えて」

椿が席に座る。

久博「え、えーっと、そういえば今やってる案件だけど……」

椿「……ぷっ。あははは」

久博「え? あれ? 俺、なんか変なこと言った?」

椿「もう。今はプライベートなんですよ? もっと違うこと話しません?」

久博「違うこと……?」

椿「先輩は映画とか見ます?」

久博「うん。結構、好きかな」

椿「じゃあ、これ飲み終わったら、何か見に行きません?」

久博「う、うん。いいけど」

椿「やったぁー。じゃあ、先輩の奢りで」

久博「ええ?」

椿「あはは。冗談ですよー」

遠くから舞子の声が小さく聞こえる。

舞子「久博、頑張ってね」

終わり。

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