シングル
- 2024.01.06
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:5人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
久博(ひさひろ)
舞子(まいこ)
椿(つばき)
店員
女
■台本
カフェ店。
賑わっている店内。
店員「お一人様ですか? こちらの席へどうぞ」
場面転換。
賑わっている店内。
久博がやってきて、席に座る。
久博「ごめん。なんか混んでたみたいでさ。時間かかっちゃった」
舞子「まあ、連休中だからね。それでなくても、このお店って平日でも混んでるくらいだもん」
久博がココアをすする。
久博「おお。このココア美味い」
舞子「でしょ? 一番人気だけあるよね」
少し離れたところから他の女性客の声が聞こえてくる。
女「うわ……。混んでるのに一人でテーブル占領してるよ」
久博「はは……。ああいうこと言う人って、どこにでもいるもんだなぁ」
舞子「意地悪いよね。友達少なそう」
久博「だね」
舞子「でもさ、一人でいるなんて、今じゃ全然珍しくないのにね」
久博「というと?」
舞子「今ってね、半数近くの人が将来、独身のままでもいいって答えてるアンケート結果があるらしいよ」
久博「へー。半数も?」
舞子「年々、増えてるみたい」
久博「今どきって感じだね」
舞子「久博はどうなの? 将来、独身のままでもいい感じ?」
久博「……面と向かって聞くこと? そんなわけないって。ちゃんと結婚したいって思ってるよ」
舞子「よかった。女の子に興味ないなんて言われたらどうしようかと思った」
久博「だから、そんなわけないでしょ」
舞子「そういえばさ」
久博「ん?」
舞子「何年目だっけ? 私たち」
久博「ん? えーっと……3年ってところかな」
舞子「3年かぁ。長いような短いような、変な感じ」
久博「わかる。もう3年って思うときもあれば、まだ3年なんだってときもあるよ」
舞子「負担になってたりしない? 私と付き合ってて」
久博「そんなわけないって」
舞子「そう? 休みの日になったら、こういうオシャレなお店に連れてきてくれたりしてるからさ、大変じゃないかなーって心配してるんだ」
久博「彼女を色々な場所に連れて行くことなんて、普通のことじゃないの?」
舞子「うーん……」
久博「どうしたの? 今日の舞子、ちょっと変だよ?」
舞子「久博ってさ、意外と会社でも人気あるから……。私でホントにいいのかなって……」
久博「いい加減にしないと怒るよ? 俺は舞子じゃないと……」
そのとき、横から話しかけられる。
椿「あれ? 先輩?」
久博「え?」
椿「こんなところで会うなんて、偶然ですね。お一人なんですか?」
久博「あー、えっと……」
椿「よかったら、一緒にいいですか? ……席、空いてなくて」
久博「いや、その……」
舞子「ふふっ。だから言ったでしょ? 久博って、意外と会社で人気だって」
久博「……舞子」
舞子「久博なら大丈夫。ちゃんと、普通の女の子と付き合うこと、できるよ」
久博「……」
舞子「今までありがとう。3年間、楽しかったよ」
舞子が消える音。
久博「……」
椿「先輩? どうかしたんですか?」
久博「え? あ、ごめん。なんでもないよ」
椿「……座っても大丈夫ですか?」
久博「うん。どうぞ」
椿「じゃあ、お言葉に甘えて」
椿が席に座る。
久博「え、えーっと、そういえば今やってる案件だけど……」
椿「……ぷっ。あははは」
久博「え? あれ? 俺、なんか変なこと言った?」
椿「もう。今はプライベートなんですよ? もっと違うこと話しません?」
久博「違うこと……?」
椿「先輩は映画とか見ます?」
久博「うん。結構、好きかな」
椿「じゃあ、これ飲み終わったら、何か見に行きません?」
久博「う、うん。いいけど」
椿「やったぁー。じゃあ、先輩の奢りで」
久博「ええ?」
椿「あはは。冗談ですよー」
遠くから舞子の声が小さく聞こえる。
舞子「久博、頑張ってね」
終わり。
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