夜が怖い

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
翔(かける)
母親
霊能力者

■台本

翔の部屋。

翔が毛布に包まって震えている。

翔「ううー。怖いよぉ」

母親「大丈夫よ、翔。お母さんたちがついてるんだから」

翔「うう……。でも、お母さんたち、見えないじゃないか!」

母親「そうだけど……」

翔「だから、僕が怖いのなんか、わからないんだ!」

母親「……」

場面転換

リビング。

母親「……というわけで、息子が夜を怖がっているんです」

霊能力者「なるほど……」

母親「なんとかならないでしょうか?」

霊能力者「幽霊は悪いものばかりじゃないってことは話しましたか?」

母親「ええ……。ただ、私たちには見えないから、何を言っても反発されてしまって」

霊能力者「ふーむ……」

母親「なんとか、息子に霊を見えなくさせる方法はないんですか?」

霊能力者「そんな方法があれば、私が知りたいくらいですよ」

母親「そう……ですよね」

霊能力者「とにかく、息子さんが夜を怖がっているのをなんとかすればいいんですよね?」

母親「はい……」

霊能力者「それなら、なんとかなりそうです」

母親「本当ですか?」

霊能力者「では、翔君に会わせてもらえますか?」

母親「はい。こちらです」

場面転換。

ドアを開ける音。

母親「翔。すごい霊能力者の人を連れてきたわよ」

翔「ホント?」

霊能力者「こんばんは、翔君」

翔「ねえ、おじさん! 僕、夜は幽霊が出て怖いの! 幽霊を全部、成仏させて!」

霊能力者「ははは。さすがにそれは無理だよ」

翔「……」

霊能力者「翔君。確かに幽霊は悪い霊もいる。だけど、ほとんどの幽霊は人に害をおよぼさないんだ」

翔「でも……僕、それでも……怖いんだ」

霊能力者「それに、この家には幽霊はいないよ。それは保証する」

翔「でも、近くにはいるんでしょ?」

霊能力者「そりゃまあ……」

翔「じゃあ、怖いの、かわらないじゃないか」

霊能力者「……なあ、翔君」

翔「なに?」

霊能力者「朝は怖くないのかい?」

翔「え? うん。怖くないよ」

霊能力者「なんで?」

翔「だって、幽霊がいないから」

霊能力者「実はね、翔君」

翔「ん?」

霊能力者「昼間も幽霊はいるんだ。見えないだけで」

翔「ええ? そうなの?」

霊能力者「ああ。そうなんだ。でも、翔君は昼は怖くないんだよね?」

翔「……」

霊能力者「昼も幽霊はいるんだ。でも、翔君は怖くなかった。なら、夜も大丈夫なんじゃないかな?」

翔「……そうだったんだ。お昼も幽霊はいたんだ」

霊能力者「だから、夜も大丈夫だよ」

場面転換。

電話のコール音。

ガチャリと電話を取る音。

霊能力者「はい」

母親「あ、あの、翔の母です」

霊能力者「ああ。で? どうです? 夜も平気になったでしょ?」

母親「それが……」

霊能力者「?」

母親「昼も怖がっちゃって」

霊能力者「……あとで、強力なお札をお送りします。渡してあげてください」

母親「……よろしくお願いいたします」

母親がため息を吐いて電話を切る。

終わり。

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