誰にも言えない
- 2024.02.08
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:5人以上
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
イッチー
タカシ
教師
アカシタ
アリエ
イシガニ
ドウメキ
ツネチン
マッキー
ユッキー
子供
■台本
公園で子供が遊んでいる。
子供「じゃあな、タカシ」
タカシ「ああ、またな」
その様子を遠くで見ているイッチー。
イッチー(N)「僕は知ってしまったんだ。タカシくんが普通じゃないことを……。タカシくんが僕たちと違うんだってことに……」
場面転換。
学校のチャイムの音。
教室内が騒がしい。
ガラガラとドアが開いて、教師が入って来る。
教師「はいはい。静かにして。授業始めるわよー」
生徒たち「はーい」
各々が席に着く。
教師「じゃあ、まずは先週のテスト返すわよ。アカシタくん」
アカシタ「はい」
アカシタが立ち上がって、テストを取りに行く。
アカシタ「うげっ。30点かよ」
教師「アリエくん」
アリエ「はい」
教師「イシガニくん」
イシガニ「はい」
教師「ヒトツメくん」
イッチー「……」
ドウメキ「おい、イッチー。呼ばれてるぞ」
イッチー「え? あ、はい……」
立ち上がるイッチー。
場面転換。
グラウンドで生徒たちがサッカーをしている。
ツネチン「パスパスパス!」
イシガニ「ツネチン、頼んだ!」
イシガニがパスをする。
ツネチン「うおお! 火の玉シュート!」
シュートがゴールに突き刺さる。
ツネチン「うおおお! ゴール!」
マッキー「おい、それは反則だろー」
周りがぎゃははと笑う。
プレイ開始の笛が鳴る。
アカシタ「おいおい。ゴールネットどーすんだよ。ツネチン、あとで直しておけよ」
ツネチン「えー」
ユッキー「タカシくん、パス!」
ユッキーがボールをタカシにパスする。
ツネチン「おおい! 勝手に始めるなよ」
ユッキー「へへん。笛鳴ってたもんねー」
ツネチン「やべえ、戻れ戻れ!」
イシガニ「大丈夫。キーパーはヌリオだもん」
タカシ「えい!」
タカシがシュートする。
すると、パサッとゴールネットに入る。
タカシ「やったー!」
イシガニ「マジかー。あの隙間を通すか、普通」
ツネチン「くっそー。やられた」
それをじっと見ているイッチー。
イッチー「……」
ドウメキ「……どうした、イッチー。今日、なんか変だぞ?」
イッチー「あ、いや、その……なんでもないよ」
イッチー(N)「どうしよう。言うべきなのかな? でも……」
場面転換。
学校のチャイム。
生徒たちが下校している。
教師「みんなー、寄り道しないで、明るくなる前に帰るのよー」
そこにイッチーがやってくる。
イッチー「あ、あの、先生……」
教師「ん? どうかしたの?」
イッチー「あの、その……」
教師「ん? なに?」
イッチー「う、うう……。やっぱり言えない!」
イッチーが走り出す。
イッチー(N)「言えない。こんなこと、誰にも言えないよ。タカシくんが人間だなんて、誰にも言えないよーーー」
終わり。
-
前の記事
夜が怖い 2024.02.06
-
次の記事
不思議な館の亜梨珠 マッドサイエンティスト 2024.02.18