【シナリオブログ】無人島にある秩序⑥

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  デリックと恭平が道を歩いている。
  突如、恭平が立ち止まる。
デリック「(英語で)どうしたんですか?」
  デリックにガス銃を向ける恭平。
デリック「(英語で)なんのつもりだい?」
恭平「悪いですが、一緒に来てもらいます」
デリック「(英語で)まいったな。通訳は連れてくればよかった」
  そこへ智也と美香が現れる。
美香「(英語で)心配ないですよ。アトラクションです」
智也「……お前、英語、話せたんだな」
美香「ええ。まあ、一応」
恭平「どうして、あなたたちがここに?」
智也「打ち合わせと違う。……だろ?」
恭平「……」
智也「君たちは、ずっと内部の情報を得ていたんだろ。もう、全部わかってる。諦めて投降してくれ」
恭平「それはできません。何としてでも、大使を誘拐し、国際問題にしないといけないんです」
智也「そんなことをすれば、重罪だぞ」
恭平「それでも、この島を守ることができるなら、本望です」
智也「他に島を守る方法はあるはずだ。……一緒に考えよう」
恭平「僕はおじいちゃんに、この島を守るように託されたんです。これ以上、この島が汚れていくのには耐えられません」
智也「君のおじいさんも、ここに派兵されてたのか……?」
恭平「そこをどいてください。大使を撃ちますよ。ガス銃とはいえ、威力は高いです。大使を怒らせる程度には、ですがね」
デリック「(英語で)君、すまないが通訳してくれないか? 一体、何を話してるだ?」
  美香がデリックに近づく。
美香「(英語で)いやあ、暑いですね」
恭平「聞こえなかったんですか? 近づかないでください」
美香「(英語で)顔色悪いですよ。熱中症じゃないですかね?」
デリック「(英語で)そうか……?」
  そのとき、美香がスタンガンを取り出し、デリックに当てる。
デリック「うっ!」
  デリックが倒れる。
恭平「え?」
智也「悪いな。終わりだ」
  スタンガンを出して、恭平に当てる智也。
恭平「ううっ!」
  恭平が倒れる。

智也(N)「近づいてしまえば、銃よりもスタンガンの方が有利と提案したのも、星野だ。とにかく、こうして、有志会による事件は一応の解決をみたのだった」

  観光協会の事務所。
  智也がパソコンを打っている。
  そこに和弘が入って来る。
和弘「三人とも、罪を認めたよ」
智也「(手を止めて)あの件は……?」
和弘「大使はあのときのことをよく覚えてないそうだ。星野くんが言った、熱中症だったことを鵜呑みにしてくれている」
智也「そうですか。それなら、有志会はそれほど重い罪にはならなそうですね」
和弘「ま、不幸中の幸い、ってところだな」
智也「残念ですか? 大事にならなくて」
和弘「……どういうことだ?」
智也「課長ですよね? 有志会に情報を流していたのは」
和弘「……」
智也「タイミングが良すぎましたよ。本格的な調査が始まった途端、有志会の活動がピタリと止みましたからね。あと問い合わせたところ、大使の来日の日時、正確に課長に知らせたと、県庁から返答が来ました」
和弘「……そうか」
智也「警察や県庁、市議からの応援を断ったのも、課長だったんですね?」
和弘「……そこまで気づいていたか」
智也「有志会が出していた、募集のサイト。あれ、最初に立ち上げたのは課長ですよね。星野が突き止めてくれました」
和弘「(ため息)何が、星野君は足を引っ張るだけだ。優秀な部下じゃないか」
智也「……動機は有志会と同じですね?」
和弘「私はね、今まで色々な観光地を見てきた。その成れの果てもな。だから、どうしても、あの島がそうなるのは耐えられなかったんだ」
智也「だから、島で問題を起こして、封鎖させたかった……」
和弘「御門。この世界には、無暗に人が入ってはいけない場所というものがあるんだ」

智也(N)「この後、課長は自首し、有志会のメンバーを騙していたと供述した。そのことにより、有志会のメンバーは釈放された」

  加太港の船着き場。
智也「ボランティアの皆さん、今日はお集まりいただき、ありがとうございました。それでは、これから友ヶ島に向かいます」

智也(N)「あの後、俺はボランティア団体に入った。星野には、現金だと笑われたが。……課長はこの世界には人が入ってはいけない場所があると言っていた。でも、その場所を守ることができるのも人だ。こんなのは、ただの自己満足かもしれない。それでも、前に進むことが大切なんだと思う」

終わり

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