【声劇台本】西田家の受難 日本の変わった文化

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、学園、コメディ

■キャスト
西田 正志(17)
ローラ

■台本

正志が歩いている。

正志「ふわー!」

ローラ「ハイ! 正志、おはよう」

正志「ん? ああ、ローラか。おはよう。今日は道に迷ってないんだな」

ローラ「あはは。さすがに1ヵ月もすれば、学校の場所、覚えるよ」

正志「覚えるまでに1ヵ月もかかるのがすげーと思うけどな」

ローラ「あれ? 陽菜は?」

正志「あいつは今日、風邪で休みだ。って、なんで俺に聞くんだよ?」

ローラ「いつも一緒にいるしさー。それに、ちゃんと答えられたじゃない」

正志「……」

ローラ「そういえば今日は早いね。いつも遅刻ギリギリなのに」

正志「いや、あいつ……陽菜が鬼電してきたんだよ。今日は風邪だから一緒に行けないって。その電話のせいで目が覚めちまったんだよ」

ローラ「ふふ。相変わらず、熱々だね」

正志「なんだ、そりゃ?」

ローラ「さすが許嫁だね」

正志「幼馴染だ!」

ローラ「同じ意味じゃないの?」

正志「全然違う!」

ローラ「え? でも、幼馴染は正ヒロインだから、選ばれる確率が高いって聞いたよ。それってつまり、結婚するってことだよね?」

正志「どこの知識だよ、それ。大体、幼馴染が結婚する確率って1パーセントくらいらしいぞ」

ローラ「へー。そんなに低いんだ? 90パーセントくらいだと思ってた」

正志「お前もかよ……」

ローラ「そう言われてみると、転校生が食パンをくわえて走ってれば、運命的な出会いがあるっていうのも、もしかして確率低かったりする?」

正志「……そんなのはアニメの世界だけだ。現実じゃ、ほぼそんなことはあり得ない」

ローラ「そっかー。どうりでなー。私も最初の2週間くらい頑張ったけど、ダメだったもん」

正志「……無駄な努力だったな」

ローラ「日本の文化って難しいよねー。あ、そうだ。日本の変わった文化と言えばさ」

正志「……アニメでの話を日本の文化に入れるな」

ローラ「満員電車って言うのも、乗ってみたいなぁ。ぎゅうぎゅう詰めなんでしょ?」

正志「それは東京だけって話だぞ。俺も、満員電車は乗ったことないからな」

ローラ「そっかー。残念」

正志「大体、通学は徒歩じゃねーか。どっちにしても乗れねーよ」

ローラ「ああ、それもそっか……」

正志「電車って言えば、電車の中で寝てるのも日本独特って聞いたことあるな」

ローラ「日本は治安がいいからね。外国だと寝てたりなんかしたら財布とか取られるらしいよ」

正志「そりゃ、おちおち寝てられねーな」

ローラ「ねえねえ、正志はお風呂っていつ入る?」

正志「ん? 普通に夜だけど、それがどうした?」

ローラ「外国だと朝、入るらしいよ。朝に体の汚れを落とすって感じなんだって」

正志「ふーん。風呂は夜にゆっくり入るのがいいのにな」

ローラ「まあ、外国だとあんまり湯船に浸かるってことがないからね」

正志「確かに。映画とか見てると、風呂は泡の湯に浸かってるよな」

ローラ「あと、親子で一緒にお風呂に入るのも日本独特みたいだね」

正志「え? そうなのか? ……確かに映画でも、ドラマでも一緒に入ってるシーンとか見たことねーな。けど、逆に子供だけで入らせるって危険じゃねーのかな?」

ローラ「うーん。サッと体を洗うくらいの感覚だからじゃないのかな?」

正志「サッと入って、すぐに出るって感じか」

ローラ「日本人でも朝にシャワー浴びるのと同じ感覚なのかもね」

正志「夏はいいけど、冬は風邪ひきそうだけどな」

ローラ「そうだよね。私もお風呂は夜派かな」

正志「そう考えると、日本では当たり前のことでも、外国から見たら変わった風習とかも多いんだろうな」

ローラ「食事とかも多そうだよね」

正志「ラーメンとかそばとか、啜るっていうのがマナー違反なんだよな?」

ローラ「どっちかっていうと、そういう風習がないから、啜るってことができないって感じじゃないかな。ほら、カップヌードルとかをフォークで食べるのも、アメリカから入ってきたっていうし」

正志「へー。そうなんだ。あ、少し話がそれるけど、日本でパスタ食べるとき、スプーンを使ってパスタを巻いて食べるのが上品って思われてるけど、あれ、実際、イタリアとかだとスプーンを使うのは子供だけらしいな」

ローラ「そうやって、間違った形で風習が入ってくるのも多そうだね」

正志「食器を持って食べるのも日本独特なんだよな?」

ローラ「そうだね。基本的にフォークとナイフで食べるから、食器を持つってことはないんだと思うよ」

正志「そういえば、ローラは弁当、どうしてるんだ?」

ローラ「どうって?」

正志「やっぱり、パンとかが多いのか?」

ローラ「ん? そんなことないけど」

正志「じゃあ、フォークやスプーンで食べてるってことか?」

ローラ「ああ、そういうこと。いや、ちゃんと箸使って食べてるよ」

正志「おお、箸使えるのか。すげーな。日本人でも苦手な人がいるくらいなのに」

ローラ「時々、変な箸の握り方してる人いるよね」

正志「逆に、そう持つ方が難しいだろ、ってやついるよな」

ローラ「いるいる。面白いよねー」

正志「好き嫌いとかはどうなんだ? ほら、外国の人って納豆とか生ものとかは、苦手って話、聞くけど」

ローラ「普通に好き嫌いとかはあるけど、生ものとかだから苦手、っていうのはないかな」

正志「へー。じゃあ、刺身とかも抵抗ないのか?」

ローラ「寿司とか、めっちゃ美味しいよね!」

正志「まあ、外国にもお寿司の店とか増えてるみたいだからな。抵抗がない人が増えてるのかもな」

ローラ「そうだね。そうなのかも」

正志「そういえば、ローラは日本語ペラペラだけど、やっぱり言葉覚えるの、大変だったのか?」

ローラ「んー。大変だったって覚えはないかな」

正志「くっ、天才タイプか。……日本語を覚えるきっかけはアニメだったりするのか?」

ローラ「ううん。そんなことないよ。確かにアニメは好きだけど、アニメがきっかけってわけじゃないかな」

正志「そうなのか」

ローラ「アニメだけじゃなくて、日本のことが大好きだからね。日本マニアってやつ?」

正志「言われてみると、こうやって話してると日本人と変わらない感じがするもんな。まあ、外見はバリバリ、アメリカ人って感じだけどな」

ローラ「ふふ。それ、よく言われる。前の学校でも日本人より日本人って言われてたもん」

正志「何となく、わかる気がするな。で、ローラは日本は長いのか?」

ローラ「うん。長いよ」

正志「どのくらいなんだ?」

ローラ「17年くらいかな」

正志「……ローラ。お前、今何歳?」

ローラ「17歳」

正志「……ちなみに、外国に行ったことは?」

ローラ「ないよ」

正志「一度も?」

ローラ「うん」

正志「それってさ、日本フリークっていうより、ただ住んでただけじゃね?」

ローラ「そんなことないよー」

正志「……あのさ、ローラは日本語以外話せるのか?」

ローラ「話せないよ」

正志「もう、ほぼ日本人じゃん! 何が、日本の文化は難しいだよ!」

終わり。

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