【声劇台本】待ちぼうけ

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
翔(しょう)
沙紀(さき)

■台本

翔(N)「……うう。緊張してきたな。もうすぐ約束の時間だ。来てくれるかな? ……いや、無理だよな。いきなり、見知らぬ男から、デートに誘われて、来てくれるわけないよな……。いや、でも、結構、感触は良かったし、諦めるのは早いか? けど……」

そのとき、沙紀が走って来る。

沙紀「翔?」

翔「え? あ、沙紀……」

翔(N)「げっ! よりによって沙紀と遭遇かよ……。早く追い払わないと」

沙紀「いつもと雰囲気違うね。ビックリしたよ」

翔「あ、ああ。ちょっとな。たまにはイメチェンもいいかなってさ」

沙紀「うん。いいんじゃないかな」

翔「それより、お前も今日は普通の格好なんだな。いつも休日はコスプレとかしてるだろ」

沙紀「あのねえ。イベントは先週までだったの。イベントがないのに、コスプレして、町に出て来るわけないでしょ」

翔「まあ、そりゃそっか。けどさ、改めて見ると……」

沙紀「な、なによ?」

翔「その格好、似合ってるな。普段から、普通の格好してれば、モテるんじゃないのか?」

沙紀「なっ! なによ、あんたが急に褒めてくるなんて……。あんた、最近、変じゃない? なんか、あったの?」

翔「いや、別に……」

翔(N)「って、やばい! あんまり悠長に話しられないな。沙紀には悪いが、早くこの場から立ち去ってもらわないと」

沙紀「で? 今日は何するの?」

翔「え? 俺? えっと……映画でも見ようかなって思って」

沙紀「映画かぁ……」

翔「それより、沙紀はどうなんだよ? 用事とかあるんじゃないのか?」

沙紀「へ? ううん。別に用事とかはないけど」

翔「そ、そうなのか……」

翔(N)「くそ、単に街中をブラブラしに来てただけか。……となると、どうしようかな。どっか行けなんて言ったら、勘繰られるだろうし、かといって、このままだとヤバいし……あ、そうだ!」

翔「なあ、沙紀。喉乾かないか?」

沙紀「え? うん。ちょっと乾いたかな」

翔「俺、金払うからさ、路地裏の店で飲み物買って来てくれないか?」

沙紀「へ? それなら、あっちの喫茶店に入ろうよ」

翔「いや、ごめん。俺、ここから動けなくってさ」

沙紀「え? なんで?」

翔「まあ、いろいろあるんだよ」

沙紀「ふーん。そうなんだ? わかった。じゃあ、買ってくるね」

翔「すまんな」

沙紀が歩いて行く。

翔(N)「ふう。これでよし、と。あとはあの人が来てくれれば、すぐに出発しよう。沙紀には二人分飲んでくれって、メールをすればいいだろう」

場面転換。

沙紀「お待たせ。ごめんね。お店混んでてさ。時間かかっちゃった」

翔「……」

沙紀「どうかしたの?」

翔「あ、いや……なんでもない」

沙紀「いや、なんでもないって顔じゃないんだけど」

翔「あのさ、沙紀。例えばなんだけど、待ち合わせして、30分過ぎたとしたら、これはもう脈なしってことなのかな?」

沙紀「なによ、急に?」

翔「……」

沙紀「んー。そうね。まあ、場合によるかな。急用ってこともあるかもだけど、連絡ないなら、ドタキャンじゃないかな」

翔「でもさ、ほら、寝坊とか考えられないかな?」

沙紀「待ち合わせ時間によると思うけど、寝坊してる時点で、たいして重要じゃないって思われてるんじゃない?」

翔「うっ! そうだよな……」

沙紀「え? なになに? さっきからどうしたのよ? 今日のあんた、ちょっと変だよ?」

翔「……沙紀は、一目惚れってしたことあるか?」

沙紀「一目惚れ? んー。ないかな。私って、どっちかっていうと、徐々に相手を好きになってくタイプだからさ」

翔「俺さ……。初めて、一目惚れしたんだ」

沙紀「……え?」

翔「街中で、その人を見たとき、ものすごいショックを受けたんだ。……電流が走ったっていうのかな。気付いたら……恋に落ちてた」

沙紀「……」

翔「俺さ、ナンパなんてしたことなかったのに、思わず声をかけたんだ」

沙紀「それで……どうなったの?」

翔「その人はさ、急に声をかけたのに、嫌な顔一つしないでさ……。俺の話を聞いてくれたんだ」

沙紀「そ、そうなんだ……」

翔「話してみたらさ、すごく気も合ってさ。なんていうかな。初めて会ったのに、ずっと前から知り合いだったみたいな感じでさ」

沙紀「……」

翔「この人しかいないって思ったんだ。だから、デートに誘ってみたんだよ。そのときはさ、絶対に行くって言ってくれたんだ。嬉しそうに……言ってくれたんだよ……」

沙紀「でも、結局、当日は来てくれなかったってこと?」

翔「ああ……」

沙紀「そっか……。そういうことだったのか」

翔「……なにがだ?」

沙紀「その人にフラれたから、私でいいやってことなんだね」

翔「何の話をしてるんだ?」

沙紀「おかしいと思ったんだよね。急に翔がデートに誘ってくるなんてさ」

翔「え? デート? 俺が? お前に? いつ?」

沙紀「はああ!? 先週よ! 駅前で!」

翔「……先週? 駅前?」

沙紀「この期に及んでとぼける気? それなら、なんで、今日、ここで待ち合わせ場所に時間通り来てるのよ!」

翔「……あっ! もしかして、あの人、お前……だったのか?」

沙紀「……は?」

終わり。

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