【声劇台本】男の苦悩

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
勝(まさる)
橘 茜(たちばな あかね)
宮森 玲香(みやもり れいか)

■台本

勝「……え、えっと……」

玲香「わたしを選んでくれるのよね?」

茜「いーや、私よ!」

玲香「これだけは絶対に譲れないわ!」

茜「それは私だって同じだよ!」

玲香「わたしの方が茜より先に好きになったのよ」

茜「どっちが先かは関係ないわ。どのくらい好きかって方が重要じゃない?」

玲香「それなら、わたしの方が相応しいわよ。好き……いえ、愛情はわたしの方が深いわ」

茜「それは聞き捨てならないわね。私だって、好きな気持ちは絶対に負けない!」

勝「ま、まあまあ。少し、落ち着こうよ、ね?」

玲香「勝さんは黙ってて!」

茜「そうよ! 黙ってなさい! そもそもあんたが、さっと決めればいいだけじゃない!」

玲香「そうよ。勝さんがスパッと決めてくれればいいのよ」

勝「うっ……」

茜「さあ、どうするの? 玲香? 私?」

勝「あ、あのさ……。少し、時間くれないかな? 明日には答えを出すよ」

玲香「いいわ。勝さんのことだもの。じっくり考えた上で決めて」

茜「逃げようなんて考えないでね。そこまで恥をかかされたら、私も玲香も何をするかわからないから」

勝「う、うん。わかった! 僕も男だ。明日までにはどっちを選ぶか、答えを出すよ」

場面転換。

勝の部屋。

勝「とはいったものの……どうしようかな。ううー。どっちかなんて決められないよ!」

ベッドの上でゴロゴロと転がる。

勝「でも、逃げるわけにはいかない。ちゃんと決めないと」

勝「まずは橘茜さん。バレー部のキャプテンで、明るく元気で、男女共に人気が高い。ただ、カッとなると口よりも手が出るタイプ。……今日もちょっと怖かったもんな」

勝「次に、宮森玲香さん。宮森グループの令嬢。でも、お金持ちを鼻に掛けることもなく、誰にでも優しくて、男子の中でも人気はトップクラス」

勝「……こう考えると、宮森さんかなぁ」

勝「いや、待て待て! こんな大事なことなのに、それだけの情報で決めちゃダメだ」

勝「……茜さん、胸が大きいんだよなぁ。動くたびに揺れるあの胸を見るために、こっそりバレー部の練習を覗きに行く男子も多い。それを間近で見るチャンスでもあるのか……」

勝「でもなぁ。宮森さんって、なにか、すごく良い匂いがするんだよなぁ。上品な匂いっていうか、なんていうか……。それを身近で感じるっていうのもポイントが高い」

勝「ううー! 迷う! どっちにすればいいんだー!」

勝「あーあ。美少女2人に詰め寄られて、どっちかを選ぶなんて、想像した時は最高だったんだけどなー。いざ、そうなってみると、思ったより、なんていうか、複雑な気分なんだよな」

勝「……それにしても、まさか2人がオタクだったなんて。まあ、そのおかげで、2人と接点を持つことができたんだけど」

勝「今回のことは、僕がフラフラしてたのが悪いんだ。しっかりケジメを付けよう」

勝「……よし、決めた」

場面転換。

玲香「……約束通り、決めてきたの?」

勝「う、うん。決めた」

茜「それで? どっちにするの? 私? 玲香?」

勝「……茜さんにするよ!」

茜「やったー!」

玲香「そ、そんな……」

茜「玲香、約束だからね。どっちが選ばれても恨みっこなしだよ?」

玲香「そうね。うん。わかってる。それじゃ、茜。わたしの分も……お願いね」

茜「うん、わかってる! じゃあ、勝、いくわよ!」

勝「うん」

茜「はあああああ!」

勝「ぶべっ!」

茜に殴られて勝が吹っ飛ぶ。

茜「ふー。スッとした。政宗様のフィギュアの仇は取ったわ!」

玲香「2人で大事にしていたフィギュアを落として壊した罪は、半殺しでも物足りないくらいだけどね……」

茜「まあまあ。勝も悪気はなかったんだから、これで許してあげよ、ね?」

玲香「……そうね」

茜「って、ことで勝。これでチャラね。……あれ?」

勝「……」

玲香「……気絶してるわ」

終わり。

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