【声劇台本】青い鳥を探せ

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
母親
チルチル
ミチル
魔女

■台本

チルチル「ふわー! 小腹減った。ミチル、お菓子取ってきて」

ミチル「えー。面倒くさい。お兄ちゃんが持ってきてよ」

チルチル「ええー。やだよ。じゃあ……おかーさーん!」

ガチャリとドアが開く。

母親「どうしたの? チルチル」

チルチル「お菓子持ってきてー」

母親「……自分で持って来なさい!」

バタンとドアが閉まる。

チルチル「ええー! お母さん―、お願い―」

ミチル「自分で持って来れば?」

チルチル「だーかーらー、面倒くさいって言ってんの!」

場面転換。

母親「というわけなんです、魔女さん。どうにかなりませんかね?」

魔女「うーん。それは困ったもんだねぇ。ちなみに、チルチルとミチルちゃんは何歳になったんだっけ?」

母親「チルチルが18で、ミチルが16です」

魔女「ふーむ。もう、他の子だと仕事をしている年齢だねぇ」

母親「ええ。とっくに。でも、二人はずーっと、働きもせずに家とゴロゴロとしてばかりで……」

魔女「いっそ、家を追い出したらどうだい?」

母親「やってみたんですけど、一週間、家の前でゴロゴロして、飲まず食わずで死にそうになったんです」

魔女「……筋金入りの怠け者だね」

母親「……はい」

魔女「わかったよ。それじゃ、何とかしようかね」

場面転換。

チルチル「青い鳥?」

魔女「ああ。その青い鳥があれば、幸せが舞い降りるんだよ」

チルチル「ふーん」

魔女「それを二人で捕まえてきてくれないかい?」

ミチル「ええー。私も?」

チルチル「面倒くさいよ」

魔女「お前たち、青い鳥は物凄いんだ。本当にすごい幸せを呼ぶんだよ? その幸せを感じたいと思わないのかい?」

チルチル「……」

ミチル「……」

魔女「青い鳥さえいれば、母親だって喜ぶし、お前たちだって、堂々と家にいれるよ」

チルチル「その青い鳥って、すぐ見つかる?」

魔女「お前たち次第さ」

ミチル「どうする? お兄ちゃん」

チルチル「しゃーない。行くか」

ミチル「まあ、しょうがないね」

場面転換。

母親「……あの子たちが旅に出て、3日が経ちますけど、大丈夫でしょうか?」

魔女「まあ、心配なのはわかるけどね。昔から言うだろ? 可愛い子には旅をさせろってね。大丈夫。各地に私の知り合いもいるし、ちゃーんと、労働の大切さを学んで帰ってくるさ」

母親「はい……。期待してます」

場面転換。

チルチル「ただいまー」

ミチル「あー、疲れた」

魔女「おや? 随分と早かったねぇ。まだ一週間じゃないか」

母親「それで、チルチル、ミチル。労働の大切さは知ることができた?」

チルチル「うん。労働って大変だけど、大事なことってわかったよ」

ミチル「仕事って、尊いことだったのね」

母親「よかった! 魔女さん! 二人は生まれ変わりました」

魔女「……うーん」

場面転換。

チルチル「ふわー! 小腹減った。ミチル、お菓子取ってきて」

ミチル「えー。面倒くさい。お兄ちゃんが持ってきてよ」

場面転換。

母親「あの……まったく変わってないんですけど」

魔女「……仕事は尊いことだって、わかったと言ってたじゃないか。どうして働かないんだい?」

母親「……尊過ぎて、自分たちが仕事をするのは仕事に対して侮辱になる、そうです」

魔女「……そんなことだろうとは思ったよ。実際、青い鳥は捕まえるのを諦めて、すぐに戻ってきてるからね……」

母親「……今が、十分、幸せだからいいと……。青い鳥がいなくても堂々と家にいることにした……と」

魔女「……働き者になる薬でも作ってみようかね」

母親「……よろしくお願いいたします」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉