【声劇台本】平和な世界のために
- 2021.11.18
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:5分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
アラン
ケニー
■台本
アラン(N)「ケニーは少しズレている。昔からそうだった……」
ケニー「う、うう……」
アラン「泣くな、ケニー」
ケニー「でも、アランくん……。ボク……」
アラン「悔しかったら、金持ちになれ! そうすれば、盗みなんかしなくて済む」
ケニー「リンゴ一個だけだったのに」
アラン「まあ、憲兵に引き渡されなかっただけでも感謝しないとな」
ケニー「ううー。お腹減った……」
アラン「とにかく、腹いっぱい食べれないのは俺達が貧乏なのが原因だ。早く、成り上がろうぜ」
ケニー「うん。早く、お腹いっぱいになれるように頑張る!」
場面転換。
アラン「ケニー、お前……」
ケニー「あ、アランくん! はい、リンゴ!」
アラン「どうしたんだよ、このリンゴの山」
ケニー「リンゴ業者の人を倒した! これでお腹いっぱい食べれるでしょ」
アラン「……いや、力だけじゃなくて、金で解決しようって話だったんだけどな」
ケニー「でも、あの業者って悪党って言われてたよ? みんな文句言ってたもん」
アラン「だからって……」
場面転換。
ケニー「うう……。悔しいよぉ」
アラン「元気出せよ。家なんて、また建てればいいだろ」
ケニー「でも、せっかくいい家を見つけたのに……」
アラン「またいい空き家がないか探そうぜ。今度はドラゴンがやってこないようなところをさ」
ケニー「うう……。安心して暮らせるようになりたい……」
アラン「やっぱり、山奥は危険だな。なんとか、町の中に家をもてるようになろうぜ」
場面転換。
アラン「ケニー。お前、なにやってんだよ……」
ケニー「見て、アラン。すごい広いよ。10人以上いても、困らないくらいだ」
アラン「いや、それより、早く逃げるぞ。ここの主がいつ戻ってくるか……」
ケニー「大丈夫だよ。ここにいたドラゴンはやっつけたから」
アラン「……え? あの、伝説のレッドドラゴンをか?」
ケニー「これで、家の心配もなくなったし、壊されることもないね!」
アラン「……」
場面転換。
ケニー「うう……。何もかも、なくなっちゃった……」
アラン「脅威なのは、ドラゴンや魔物だけじゃないんだな。今度は戦争がない国に行こうぜ」
ケニー「うう……平和に暮らしたいよ……」
アラン「なあ、ケニー」
ケニー「なに?」
アラン「今度は国を滅ぼすとかは、やめろよ」
ケニー「え? ダメなの?」
アラン「ダメに決まってるだろ、っていうか、無理だから」
ケニー「そうだよね……。わかった。国を滅ぼすのは止めておくよ」
アラン「ああ、そうしとけ。じゃあ、俺は平和な国がないか、色々旅してみるよ。お前も来るか?」
ケニー「ううん。ボクはいいや」
アラン「そっか。じゃあ、いつか迎えに戻るから待ってろよ」
ケニー「うん」
場面転換。
グルルルと、魔物唸り声が響く。
アラン「……ケニー。どうなってるんだ、これ?」
ケニー「ああ、アラン! 久しぶり! 待ってたよ」
アラン「いや、待ってたよ、じゃねえ。なんだよ、これ!」
ケニー「あー、うん。ケニーが国を滅ぼしたらダメって言ってたでしょ? だから、魔王になって人間全部を滅ぼそうと思って。そうすれば、今度こそ、平和に暮らせるでしょ?」
アラン「……」
アラン(N)「やっぱり、ケニーは少し、いや、物凄くズレてる……」
終わり。
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