【声劇台本】王道の展開

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
正輝(まさき)
武司(たけし)
肇(はじめ)
京香(きょうか)

■台本

正輝(N)「京香さんは、みんなの憧れだ。俺の同年代の、近所の男は全員と言っていいほど、5歳年上の京香さんに憧れ、初恋の相手となっている」

場面転換。

正輝「……京香さんの手料理、ですか?」

京香「うん。……いや、かな?」

正輝「そんなことないですよ! 嬉しいです! な? みんな!」

武司「もちろんですよ!」

肇「感激です!」

京香「そう。それじゃ、次の土曜日にうちに来てくれるかな?」

正輝「はい! 楽しみにしてます!」

京香が歩き去っていく。

正輝「よ……」

正輝・武司・肇「よっしゃー!」

場面転換。

武司「……なあ、正輝。早く、京香さん家に行こうぜ」

正輝「待て。一旦、状況を整理しておこう」

肇「状況?」

正輝「肇は京香さんの料理って食べたことあるか?」

肇「いや、ないよ」

正輝「武司は?」

武司「もちろん、今回が初めてだ」

正輝「当然、俺もだ」

肇「それが何か問題なの?」

正輝「京香さんは、俺たちの憧れのお姉さんだ」

武司「ああ」

肇「なんていうか、神聖な存在だよね」

正輝「……この場合、王道の展開が怖い」

武司「王道の展開ってなんだよ?」

正輝「……京香さんの料理が壊滅的にマズイという展開だ」

肇「……ま、まさか」

武司「京香さんだぞ? 頭がよくて、優しくて、万能の京香さんに限って……」

正輝「完璧な存在だからこそだ。わかっていると思うけど、世の中に完璧な存在なんてありえない。そして、漫画とかだと、こういうキャラって、料理がヤバいくらい下手っていうのがあるだろ」

武司「京香さんはキャラクターじゃねえ」

肇「それに、そんなベタベタな展開は、今どきないって」

正輝「そ、そうだよな。心配し過ぎだよな?」

武司「そうそう。いらない心配だ」

肇「けど、急にどうしたんだろうね。僕たちに手料理を振舞うなんて」

武司「まあ、考えたところでどうしようもないだろ。さっさと行こうぜ。京香さんを待たせてるんだからな」

正輝「そうだな。行こう」

場面転換。

京香「どうぞ。召し上がれ」

正輝「……」

武司「……」

肇「……」

京香「どうかした?」

武司「正輝。いらない心配だったな」

肇「凄く美味しそうだし、良い匂いだよ」

正輝「そうだな。はははは。京香さん、ごめんなさい」

京香「ん? なんのこと?」

正輝「いや、なんでもないです。それじゃ」

正輝・武司・肇「いただきまーす!」

3人が料理をがっつく。

正輝・武司・肇「ぐあああああああ!」

3人が倒れる音。

正輝「あ、ああ……」

武司「う、おお……」

肇「ぐふっ……」

京香「あれ? みんな、どうしたの?」

武司「み、見た目は……美味しそうだったのに……」

正輝「味がヤバいなんて……」

肇「ある意味、ベタベタだね」

正輝「きょ、京香さん……。今まで、料理とかは……したことあるんですか?」

京香「ううん。初めて。……好きな人ができたから、その人に食べてもらいたいって思って……」

武司「な、なるほど……実験体ですか」

肇「それも、ベッタベタな展開だね」

正輝「ま、まさしく王道の展開だった……がくっ!」

終わり。

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