【声劇台本】人外がいる学校

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
サトリ ※悟(さとる)
祐樹(ゆうき)
その他

■台本

サトリ(N)「俺はサトリ。心が読める妖怪だ。前にサトラレの方が有名になったけど、俺はサトリの方だ。以前は森とで暮らしてたんだけど、あまりに暇すぎて、町に降りて来た。そして、俺は今、学校というところに通っている。暇つぶしに」

学校のチャイム。

教室内が騒がしい。

男子生徒1「やっと終わったー。授業だりー」

男子生徒2「なあ、悟。今日…」

サトリ「嫌だ」

男子生徒2「え?」

サトリ「掃除当番変わって、だろ?」

男子生徒2「よくわかったな。相変わらず悟は鋭いな」

男子生徒1「それより、悟。今から……」

サトリ「いいけど、知らないぞ」

男子生徒1「え?」

サトリ「トランプだろ? せっかく小遣い出たばっかりなんだから、もっと大切に使えよ」

男子生徒1「べ、別に負けるって決まってないだろ? 今日こそは今までの負け分を取り返す!」

サトリ「いいけど、知らないぞ」

男子生徒2「止めとけよ。悟はこういう勝負はイカサマしてんじゃないかってくらい強いんだから」

男子生徒1「いーや! 今日こそ、悟の不敗伝説を終わらせてやる!」

サトリ「はいはい」

サトリ(N)「最近学校では、トランプを使った勝負が流行っている。先生には言えないが、お小遣いを賭けて。まあ、俺が負けることはない。何しろ、心が読めるんだからな。毎回、相手をすっからかんにしている。けど、まあ、勝った分はそいつに奢ってやってるから実質チャラだったりするけど」

男子生徒1「うわー! 負けたー」

サトリ「だから言ったのに。ほら、半分返してやるよ。感謝しろ」

男子生徒1「ありがとう! 悟様!」

サトリ(N)「やっぱり、人間は面白い。草木や動物と違って、色々な事を考えるからな。人間の心を読むだけで、退屈はしない。いやー、山から下りてきて正解だったな」

場面転換。

学校のチャイム。

廊下を歩くサトリ。

サトリ「あーあ、みんな帰っちゃったし、俺も帰ろうかな。妖怪の俺からしたら、夜からが本番って感じなんだけど……。そこが人間と違うところなんだよな。みんなも夜型になればいいのに」

ピタリと立ち止まるサトリ。

サトリ「ん? あれ? こんなところに教室なんてあったっけ?」

ガタンと音がする。

サトリ「なんだ? こんな時間にまだ誰かいるのか? ……って、誰だよ、ドアにへんなテープ貼ったの!」

ビリビリと破く音。

サトリ「よいしょっと!」

ガラガラとドアを開けるサトリ。

サトリ「おーい、誰かいるのか?」

祐樹「……」

サトリ「なんだよ、いるなら返事しろよ」

祐樹「へ? え? 僕のこと? 僕に話しかけてるの?」

サトリ「他に誰がいるんだよ?」

祐樹「そ、そうだよね。ごめん」

サトリ「お前、帰らなくていいのか?」

祐樹「う、うん。まあ……」

サトリ「ふーん。まあ、詮索はしねえけど」

祐樹「……」

サトリ「なあ、今暇か?」

祐樹「え?」

サトリ「暇ならトランプしないか?」

祐樹「トランプ?」

サトリ「暇同士、トランプで勝負しようぜ」

祐樹「う、うん。いいよ」

場面転換。

祐樹「ぼ、僕の勝ちだよね?」

サトリ「うそ……だろ?」

祐樹「もう一回する?」

サトリ「いや、今度はポーカーだ!」

祐樹「うん、いいよ」

サトリ(N)「どういうことだ? こいつ……心が読めない。何も考えてないってことか? いや、まさか。考えないようにしようって考えてもいない。……どういうことだ?」

祐樹「あ、フルハウス。僕の勝ちだね」

サトリ「う、ぐ……そんなバカな……。俺が負けるなんて……」

そのときガラガラとドアが開く。

教師「おい、誰かいるのか?」

サトリ「あっ!」

教師「なんだ、悟か。なにやってんだ、こんな時間まで」

サトリ「いや、ちょっとトランプを」

教師「お前、ホント、トランプ好きだな。けど、一人でやって面白いのか?」

サトリ「へ? 一人?」

祐樹「……」

サトリ「え? あれ? 一人? 一人しかいない?」

教師「何言ってんだ。どう見てもお前一人じゃねーか」

サトリ「……嘘は言ってないみたいだけど。え? え? どういうこと?」

祐樹「……」

教師「まあ、いい。とりあえず、ここから出ろ。この教室は立ち入り禁止だ」

サトリ「立ち入り禁止?」

教師「ああ。まあ、その、な。ここの教室で、生徒が一人亡くなってるんだよ」

サトリ「……」

祐樹「……」

サトリ「ああー。なるほど」

サトリ(N)「どうやらサトリでも、幽霊の心は読めないらしい」

終わり。

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