【フリー台本】巨大ロボ発進

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、コメディ

■キャスト
祥太(しょうた)
宇宙人
アナウンサー

■台本

祥太(N)「僕はある日、宇宙人を助けた。すごく嘘くさいように聞こえるかもしれないけど、本当のことだ。……だって、本人がそう言ったんだから」

宇宙人「いや、悪いね、ホント」

祥太「いえ、別に水くらい、大したことないですよ」

宇宙人「へー。俺んとこは、水は結構、貴重なんだけどね」

祥太「……あ、あの」

宇宙人「ん? なんだい?」

祥太「本当に……宇宙人なんですか?」

宇宙人「あははは。いやいや、こんな地球人いないでしょ? 目が大きくて、ツルっとしてて、手足が短くて、なにより肌の色が銀色だもん。どこから見ても宇宙人でしょ」

祥太「そ、そうですね……。でも、言葉は勉強したんですか?」

宇宙人「ん? いやいや、これこれ。この機械を使えば、テレパシーを送ることができるってわけ。だから、言葉を話しているわけじゃないよ」

祥太「ああー。なるほど」

宇宙人「それはそうと、何かお礼がしたいんだけど、何か希望はあるかい?」

祥太「うーん……。お金持ちになりたい、とか?」

宇宙人「あー、それはちょっと難しいかな。偽造してもいいけど、見つかったらヤバいでしょ?」

祥太「そ、そうですよね」

宇宙人「なんか、こう、科学力でなんとかできそうなのがいいんだけど」

祥太「……じゃ、じゃあ。ロボをください!」

宇宙人「ロボ?」

祥太「人型の機械です。えっと……」

スマホを操作する祥太。

祥太「こういうのです」

宇宙人「ふんふん。なるほどなるほど。こんなのを作ればいいのかい?」

祥太「えっと、中に乗って、操縦できるようにしてほしいんですけど」

宇宙人「え? ああ、これ、乗り物なんだ? ふーん。そっかそっか」

祥太「……難しいですか?」

宇宙人「君が乗れればいいんだよね?」

祥太「はい。そうです」

宇宙人「うん。わかったわかった。多分、大丈夫だよ。じゃあ、ちょっと待てて」

祥太(N)「宇宙人がいなくなってから、10分も経たないうちに、宇宙人が変な扉を持って現れた」

宇宙人「できたよ。じゃあ、ここをくぐって見て」

祥太「え? あ、あの……」

宇宙人「別に危ない場所に行くわけじゃないよ。こんなところでロボに乗ったら危ないし」

祥太「あ、そっか。そうですよね」

祥太(N)「そうして、僕は宇宙人に言われた通り、ドアをくぐると、そこは砂漠みたいな広い場所だった。そして、そこには巨大なロボがそびえたっていた」

祥太「す、すごい!」

宇宙人「どう? 気に入ったかい?」

祥太「はい! ありがとうございます!」

宇宙人「これ、操縦のマニュアル。結構、難しいと思うけど、ここなら、壊すことも無いと思うから、頑張って練習してね」

祥太「頑張ります!」

宇宙人「じゃあ、これ、ドアの鍵ね。ドアの鍵を差し込めば、ドアを自由に持ち運びできるのと、大きさも変えることができるから、好きなところにドアを設置して」

祥太「わかりました」

宇宙人「じゃあ、そろそろ行くよ。お水、ありがとね」

祥太「いえ、こちらこそ、ありがとうございました」

場面転換。

祥太(N)「こうして、僕は、それからというもの、この巨大ロボットの操縦の練習に没頭した。それから3ヶ月が経った頃には、自由に動かせるようになっていた」

ロボの起動音。

祥太「えへへ。凄い凄い! 行け行け行けー!」

祥太(N)「最初は巨大ロボットに乗れるというだけで、嬉しかったけれど、次第に砂漠のような場所で乗るだけだと飽きてきてしまった」

ロボの起動音。

祥太「……ここだけじゃなくて、外の世界で乗りたいなぁ。でも、こんな巨大なロボが突然現れたら、大騒ぎになるし……。でも、せっかくロボがあるんだから、敵とかと戦ってみたいし」

祥太(N)「そんなことを考えていた、ある日のことだった。突如、世界を揺るがすニュースが入ってきた」

場面転換。

アナウンサー「世界政府は、近づいて来る隕石について、調査を進めています。落ちてくる可能性は低いということですので、みなさん、慌てずに自暴自棄にならずに過ごしてください」

祥太(N)「巨大隕石の接近。このニュースは世界を揺るがし、世界終末論が流行った。周りでも、諦めて学校に来なくなった人もいたし、お店も閉じてしまった人も多かった。そして、色々な場所で、事件も多くなったみたいだ」

祥太「今こそ、このロボを役立てるチャンスだ! 隕石をこのロボで破壊すれば、みんな喜ぶし、宇宙で使うなら、迷惑にもならない。……それに、世界を救えるのは、僕しかいない!」

祥太(N)「こうして、僕は世界を救うため、巨大ロボを発進させることにした」

祥太「……ドアがどこまで大きくできるか、だよね……」

ウィーンというドアが広がる音。

祥太「……」

ウィーンというドアが広がる音。

祥太「もうちょっと! もうちょっと、頑張って!」

ウィーンというドアが広がる音。

祥太「やった! ロボより大きくなった! これで、ドアを通れる」

ロボの起動音。

祥太「よーし! 世界を救いに行くぞ! 巨大ロボ発進!」

ガチャリとドアが開く音。

祥太「行くぞー!」

ネコ「にゃーー!」

祥太「うわああ! で、でかいネコの化物? 何が、どうなってるの?」

ネコ「にゃあああああ!」

祥太「うわあああああ!」

バチンという猫の引っ掻き攻撃で、ロボが破壊される。

場面転換。

祥太(N)「そう。僕は宇宙人にこうお願いした。『このロボに乗って、操縦したい』と。そして宇宙人は『君が乗れればいいんだね?』と言った。……うん。確かに、宇宙人は僕の願いを叶えてくれた。でも……」

祥太「僕が小さくなるの!?」

祥太(N)「どうやら、あのドアは僕が小さくなるためのドアでもあったらしい。……ちなみに」

アナウンサー「近づいていた巨大な隕石は無事に、逸れていきました」

祥太「はあ……。まあ、めでたしめでたし、なのかな?」

終わり。

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