【フリー台本】ブックマーク
- 2022.05.08
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
和人(かずと)
真樹(まき)
女子社員×2
■台本
マウスのクリック音。
和人「お、ここ、星4.5だ。ブックマークブックマーク」
真樹「あれ? 先輩、何やってるんですか?」
和人「ああ、グルメ系のレビューサイトだよ」
真樹「へー。先輩って、結構、グルメなんですね。休みの日は、結構、食べ歩きしてるんですか?」
和人「ん? いや、別に。あんまり外食しないかな」
真樹「……えっと、じゃあ、飲み会があるとか、ですか?」
和人「いや。俺、酒飲めないし」
真樹「……ああ。美味しそうな料理を眺めてるって感じですね。俺もよくやりますよ」
和人「えー。見るだけって、意味なくないか? 食べ物は食べて初めて意味があるだろ」
真樹「……じゃあ、なんで、グルメサイトなんて見てるんですか?」
和人「いいお店を集めてるんだよ」
真樹「……集めてる、ですか?」
和人「あれだよ。星4以上のお店をブックマークしてるんだ。見ろよこれ」
真樹「うわー。すごいたくさんありますね」
和人「だろ?」
真樹「……でも、先輩。これ、北海道とか沖縄のお店も入ってるんですけど……」
和人「ああ。ほら、北海道に行ったときとか、沖縄に旅行したときとかに使えるだろ?」
真樹「……行く予定あるんですか?」
和人「いや、今のところはないな」
真樹「それなら……」
和人「ん?」
真樹「あ、いや、なんでもないです。もし、お店で困ったら、先輩に相談しますね」
和人「おう! 任せとけ!」
場面転換。
マウスのクリック音。
和人「いよっしゃ!」
真樹「どうしたんですか?」
和人「見てくれ! 今回で、ブックマークの数が1000軒だ」
真樹「へー……」
和人「ふっふっふ。和洋中、イタリア、フランス、インド料理なんかも、網羅してるぜ。もちろん、どんな場所でも対応できる!」
真樹「……凄いですね」
和人「だろ? よし、2000目指して、今後も数を増やしていくぜ」
真樹「……」
場面転換。
町中を数人が歩く音。
女子社員1「あー、久しぶりの飲み会は、楽しかったわ」
女子社員2「会社のっていうのが、ちょっと、アレだったけどね」
女子社員1「ねえ、この後、2次会やろうよ」
女子社員2「お、いいね。ねえ、あんたも来るでしょ?」
真樹「え? 俺っすか?」
女子社員1「はいはい。あんたに断る権限はないからねー! 強制―!」
真樹「は、はは……大分、酔ってますね」
女子社員2「あんたは今日は寝かせないからね―」
真樹「パワハラっす……。あ、せ、先輩! 先輩も来ますよね!?」
和人「え? 俺? ……ま、まあ、この後暇だから、別にいいけど……」
女子社員1「えー。来るの……?」
真樹「いやいや、先輩、凄いんすよ! 美味しいお店、たくさん知ってるんですから。ね?」
和人「お、おう!」
女子社員2「へー。じゃあさ、この辺で美味しいお店、教えてよ。そこで2次会するからさ」
和人「任せとけ」
スマホを取り出す和人。
和人「……」
真樹「……」
和人「……」
女子社員2「……」
和人「……」
女子社員1「早く」
和人「ちょ、ちょっと待ってくれ」
女子社員2「別に凝った料理じゃなくていいからね。なんでもいいから」
和人「お、おう」
女子社員1「……」
和人「……」
真樹「ちょ、ちょっと、先輩。何やってるんですか。早く決めてくださいよ。ここは時間が勝負なところっすよ」
和人「ま、待てって。ブックマークが多すぎて、この場所のお店が見つからん……」
真樹「……」
女子社員1「あ、ここいいんじゃない?」
和人「え?」
女子社員2「うん。もうここにしよ。さ、行くわよ」
真樹「うわっ! ちょっ! 先輩……助けてー!」
ズルズルと引きずられていく真樹。
和人「……」
風がビューっと吹く。
スマホを操作する音。
和人「えっと……あ、あった。……この店は……星4.6だ。ブックマークして置こう」
終わり。
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