【フリー台本】ブックマーク

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
和人(かずと)
真樹(まき)
女子社員×2

■台本

マウスのクリック音。

和人「お、ここ、星4.5だ。ブックマークブックマーク」

真樹「あれ? 先輩、何やってるんですか?」

和人「ああ、グルメ系のレビューサイトだよ」

真樹「へー。先輩って、結構、グルメなんですね。休みの日は、結構、食べ歩きしてるんですか?」

和人「ん? いや、別に。あんまり外食しないかな」

真樹「……えっと、じゃあ、飲み会があるとか、ですか?」

和人「いや。俺、酒飲めないし」

真樹「……ああ。美味しそうな料理を眺めてるって感じですね。俺もよくやりますよ」

和人「えー。見るだけって、意味なくないか? 食べ物は食べて初めて意味があるだろ」

真樹「……じゃあ、なんで、グルメサイトなんて見てるんですか?」

和人「いいお店を集めてるんだよ」

真樹「……集めてる、ですか?」

和人「あれだよ。星4以上のお店をブックマークしてるんだ。見ろよこれ」

真樹「うわー。すごいたくさんありますね」

和人「だろ?」

真樹「……でも、先輩。これ、北海道とか沖縄のお店も入ってるんですけど……」

和人「ああ。ほら、北海道に行ったときとか、沖縄に旅行したときとかに使えるだろ?」

真樹「……行く予定あるんですか?」

和人「いや、今のところはないな」

真樹「それなら……」

和人「ん?」

真樹「あ、いや、なんでもないです。もし、お店で困ったら、先輩に相談しますね」

和人「おう! 任せとけ!」

場面転換。

マウスのクリック音。

和人「いよっしゃ!」

真樹「どうしたんですか?」

和人「見てくれ! 今回で、ブックマークの数が1000軒だ」

真樹「へー……」

和人「ふっふっふ。和洋中、イタリア、フランス、インド料理なんかも、網羅してるぜ。もちろん、どんな場所でも対応できる!」

真樹「……凄いですね」

和人「だろ? よし、2000目指して、今後も数を増やしていくぜ」

真樹「……」

場面転換。

町中を数人が歩く音。

女子社員1「あー、久しぶりの飲み会は、楽しかったわ」

女子社員2「会社のっていうのが、ちょっと、アレだったけどね」

女子社員1「ねえ、この後、2次会やろうよ」

女子社員2「お、いいね。ねえ、あんたも来るでしょ?」

真樹「え? 俺っすか?」

女子社員1「はいはい。あんたに断る権限はないからねー! 強制―!」

真樹「は、はは……大分、酔ってますね」

女子社員2「あんたは今日は寝かせないからね―」

真樹「パワハラっす……。あ、せ、先輩! 先輩も来ますよね!?」

和人「え? 俺? ……ま、まあ、この後暇だから、別にいいけど……」

女子社員1「えー。来るの……?」

真樹「いやいや、先輩、凄いんすよ! 美味しいお店、たくさん知ってるんですから。ね?」

和人「お、おう!」

女子社員2「へー。じゃあさ、この辺で美味しいお店、教えてよ。そこで2次会するからさ」

和人「任せとけ」

スマホを取り出す和人。

和人「……」

真樹「……」

和人「……」

女子社員2「……」

和人「……」

女子社員1「早く」

和人「ちょ、ちょっと待ってくれ」

女子社員2「別に凝った料理じゃなくていいからね。なんでもいいから」

和人「お、おう」

女子社員1「……」

和人「……」

真樹「ちょ、ちょっと、先輩。何やってるんですか。早く決めてくださいよ。ここは時間が勝負なところっすよ」

和人「ま、待てって。ブックマークが多すぎて、この場所のお店が見つからん……」

真樹「……」

女子社員1「あ、ここいいんじゃない?」

和人「え?」

女子社員2「うん。もうここにしよ。さ、行くわよ」

真樹「うわっ! ちょっ! 先輩……助けてー!」

ズルズルと引きずられていく真樹。

和人「……」

風がビューっと吹く。

スマホを操作する音。

和人「えっと……あ、あった。……この店は……星4.6だ。ブックマークして置こう」

終わり。

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