赤ずきんちゃん

赤ずきんちゃん

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■概要
人数:3人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
赤ずきん
オオカミ
狩人
ナレーション(狩人と兼ね役可)
おばあさん(赤ずきんと兼ね役可)

■台本

ナレーション「昔、昔、あるところに、白い頭巾をかぶった、それは可愛らしい女の子がいたそうな。その女の子は、一度、引き受けたお願いはどんなことでも叶えてくれることから、町の人たちからとても人気があっとさ。その女の子の名前は、赤ずきんちゃんといったそうな」

  赤ずきんが走ってくる。

赤ずきん「お待たせー」

女性「あら、赤ずきんちゃん、来てくれたのね。実は山の奥に住む、おばあちゃんに、お見舞いに行ってほしいの」

赤ずきん「山の奥? ああ、あそこね。おばあちゃん、どうかしたの?」

女性「それがね、病気になっちゃったの。三人くらいお見舞いに行ったんだけど、みんな、うつされちゃって……」

赤ずきん「そっかぁ……。それは大変だね。えっと、お見舞い品は何を持っていくの?」

女性「ケーキとぶどう酒よ」

赤ずきん「地図は?」

女性「これよ」

  女性が紙を赤ずきんに渡す。

赤ずきん「ふーん」

女性「……」

赤ずきん「うん、いいよ。行って来てあげる!」

女性「ありがとう! よろしくお願いね!」

  森の中。

  ギュルルルと腹の音が鳴り響く。

オオカミ「あーくそ、腹減った。やべえな、このままだと餓死しちまうぜ。……あいつのこと、待ってられんな。俺だけで動くか……って、ん? あれは……」

  赤ずきんが鼻歌を歌いながら、歩いている。

赤ずきん「ふふふふーん」

オオカミ「おやおや、これはこれは赤ずきんちゃん。今日はどこに行くんだい?」

赤ずきん「あ、オオカミさん。えっとね、山奥に住んでるおばあさんのところに行くの」

オオカミ「ああ、あそこのばあさんね。お見舞い品は? なにを持っていくんだい?」

赤ずきん「ぶどう酒よ」

オオカミ「ぶどう酒かぁ。お花も摘んでいったらどうだい? 奥に綺麗なお花がいっぱい咲いているよ」

赤ずきん「うーん……。でも、お花摘んでたら、遅くなっちゃうし」

オオカミ「ぶどう酒だけだと、難しいかもよ。あのおばあちゃん、気難しいし」

赤ずきん「……うん、じゃあ、お花、摘んでいこうかな」

オオカミ「たくさんあるから、ゆっくり選ぶといいよ。それじゃね」

赤ずきん「ありがとう! バイバイ」

   赤ずきんが森の奥に入っていく。

オオカミ「くくくく。ここいらで、大勝負に出るとするか。さっそくあのババアのところに行って準備だ。今夜は御馳走になるぜぇ。っと、あいつにも書置きを残しておくか」

   赤ずきんが草をかき分けている。

赤ずきん「うーん。普通の草しかないなあ。たくさんあるって言ってたのに……。もう少し億なのかなぁ?」

   赤ずきんが奥の方へ歩いて行く。

   いきなり、地面が崩れる。

赤ずきん「え? きゃああああーー」

   赤ずきんが落ちていく。

   オオカミが歩いていて、立ち止まる。

オオカミ「ここだな。よし」

   オオカミがノックする。

   すると中からおばあさんの声。

おばあさん「あらあら、どちら様だい?」

オオカミ「赤ずきんだよ」

おばあさん「え?」

   崖の下の赤ずきん。

赤ずきん「いたたた……。まさか、ここだけ地面が崩れやすくなってたなんて……。ふえーん。頭巾が汚れちゃったよー。白いから目立っちゃう。……って、大変! 遅くなっちゃった。早く、おばあさんのところに行かなくっちゃ!」

   赤ずきんが走っている。

赤ずきん「あ、あそこだ」

   赤ずきんがノックする。

赤ずきん「こんばんは。おばあさん、お見舞いにきたよー」

   少しの間。

赤ずきん「あれ? いないのかな? でも、ドアが開いてる……」

   赤ずきんが家の中に入ってく。

赤ずきん「おばあさん、いるー?」

オオカミ「……」

赤ずきん「あ、ちゃんといてくれて、良かった」

オオカミ「……」

赤ずきん「おばあちゃん、ぶどう酒持ってきたよ。飲むー?」

オオカミ「ごめんね、今は喉が渇いてないんだよ」

赤ずきん「嘘だあ、だって、声がガラガラだよ?」

オオカミ「これは風邪で、喉が枯れているせいだよ」

赤ずきん「……おばあさん、随分とお耳が長いのね」

オオカミ「お前の声がよく聞こえるためさ」

赤ずきん「あれ? おばあさんのおめめ、とっても大きいね」

オオカミ「お前がよく見えるようにさ」

赤ずきん「おばあさんの口、とっても大きいね」

オオカミ「それは……お前をかみ殺すためさ!」

赤ずきん「……」

   ガチンと空噛みの音が響く。

オオカミ「バカな。この至近距離で躱すなんて」

赤ずきん「バカか、お前。どんなに近くても、来るってわかってりゃ、躱せるに決まってんだろ」

オオカミ「……こいつは驚いた。まさか、変装がバレてたとはな」

赤ずきん「驚いたのは、こっちだ。まさか、バレてねーとでも思ってたのか? 見たことねーにしても、そんなゴツイババーがいるわけねーだろ」

オオカミ「……ちっ」

赤ずきん「で? 人の仕事を邪魔するからには、それなりの覚悟は出来てんだろーな?」

オオカミ「まあ、不意打ちは失敗したが……実力でやってやるよ。てめえをやれば、俺もこの世界で名を挙げられる」

赤ずきん「いいぜ、来いよ」

オオカミ「死ねー」

赤ずきん「ふん!」

オオカミ「おごお!」

  顔面にパンチを食らい、吹っ飛ぶオオカミ。

オオカミ「つ、強ぇ……」

赤ずきん「てめえが弱すぎんだよ。さてと、ババアはどこだ? 言えば、命だけは助けてやる」

オオカミ「ま、待てよ! ババアをやるより、ババアに雇われる方が、ずっと金になるぜ? 報酬はいくらだ?」

赤ずきん「ケーキだ」

オオカミ「ケーキ……。銀二枚か。はした金じゃねーか。ババアにつけば、金五枚は出せるって話だぜ?」

赤ずきん「あたしが金で動かないことは知ってるだろ?」

   赤ずきんが紙を取り出す。

赤ずきん「あのババアは三十人以上、人をさらって売りさばいている。今度はあのババアが地獄の悪魔に魂をさらわれる番だ」

オオカミ「……ちっ」

赤ずきん「さあ、ラストチャンスだ。ババアの居場所を言え」

  そのとき、一発の銃声が張り響く。

  そして、狩人が家に入ってくる。

狩人「大丈夫か!」

オオカミ「やっと来てくれたか! 遅いぞ!」

狩人「バカが。一人で勝てるわけないだろ。相手は伝説の殺し屋、赤ずきんだぞ」

赤ずきん「……わかってて喧嘩売ってきたってことは、死ぬ準備が出来てるってことでいいな?」

狩人「嘘だろ。まさか、躱したのか?」

赤ずきん「いや、カスッたよ。頭巾を自分の血で染めたのは久しぶりだ」

狩人「く、くそ」

赤ずきん「ふふふふ。じゃあ、今度はこっちの番だぜ」

オオカミ・狩人「ぎゃああああー!」

   赤ずきんが走ってきて、立ち止まる。

赤ずきん「ただいま、お見舞い、行ってきたよ」

女性「う、うう……。ありがとうございます! ありがとうございます!」

赤ずきん「ダメダメ! そこは笑って、ありがとうね、だよ」

女性「……そうね。ふふ、お見舞い、行って来てくれて、ありがとうね」

赤ずきん「うん。また、何かあったら言ってね」

ナレーション「昔、昔、あるところに赤ずきんという、それはそれは可憐な殺し屋がいたそうな。赤ずきんは悪人しか始末しなかったことから、町の人からは尊敬され、崇められたとさ。終わり」

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