【フリー台本】夢中になれるもの

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
彰吾(しょうご)
美夏(みか)

■台本

彰吾の部屋。

彰吾「ぐーぐー(寝息)」

ガチャリとドアが開く。

美夏「彰吾―。あんた、明日の……」

彰吾「ぐーぐー」

美夏「はあ……。ったく。ちょっと! 彰吾!」

彰吾「ぐーぐー」

美夏「彰吾っ!」

彰吾「ん? あれ? 美夏? どうしたの?」

美夏「どうしたじゃないわよ! 明日の課題を落としたら、留年するかもしれないから教えてくれって言ったの、あんたでしょ?」

彰吾「あー、そうだったそうだった。美夏が来るまで時間あったから少し昼寝してたんだよ」

美夏「……昼寝って、もう夜の10時なんだけど! あんたが呼びに来ないから、おかしいなって思って来たら、これだもん」

彰吾「あー、ごめんごめん」

美夏「ったく。あんた、よくもそんなに寝れるわね。授業中だって、ずっと寝てたじゃない」

彰吾「んー。なんだろ。暇だと眠くなるんだよ」

美夏「いや、暇って……。授業中は暇じゃないでしょ」

彰吾「そうか? あんなの子守歌みたいなもんだろ」

美夏「んー。でも、あんたさあ、ゴールデンウィークも、ずーーーっと寝てたじゃない」

彰吾「まあ、暇だったから」

美夏「……勿体ないと思わないの? 青春なんて、一度しかないのよ?」

彰吾「そう言われてもなぁ」

美夏「あんた、なんか趣味ないの?」

彰吾「趣味? ないな」

美夏「そっか。……そうだ! あんた、何か趣味でも見つけなさいよ」

彰吾「趣味か……」

美夏「趣味がないからダラダラ過ごしちゃうのよ。趣味を見つけて夢中になれば、眠くもならないわよ」

彰吾「つってもなぁ。ピンと来ないな」

美夏「なんか、夢中になれるものないの? 読書とかは?」

彰吾「眠くなる」

美夏「アニメとか」

彰吾「眠くなる」

美夏「ゲーム」

彰吾「眠くなる」

美夏「……と、に、か、く! 夢中になれるものを見つけなさい!」

彰吾「ど、どうやって?」

美夏「とにかく、色々、やってみるのよ。その中で、これだ、って思ったのを見つけるの。いいわね?」

彰吾「えー。面倒だな」

美夏「い、い、わ、ね!」

彰吾「わ、わかったよ。思いつくもの、色々やってみる」

美夏「うん。定期的に、聞きに来るから、サボるんじゃないわよ」

彰吾「……はあ、面倒くさいなぁ……」

場面転換。

彰吾「うーん。これじゃないな」

場面転換。

彰吾「これはつまらんな」

場面転換。

彰吾「……これは無理だな」

場面転換。

彰吾「……おっと、いかんいかん。寝てた……。ん? ちょっと待てよ。そうだ!」

場面転換。

美夏「夢中になれるものが見つかったってホント?」

彰吾「ああ! バッチリ見つけたぞ」

美夏「なになに? なにが夢中になれたの?」

彰吾「これだ!」

彰吾が寝転がる。

彰吾「……ぐーぐー」

美夏「……」

彰吾「ぐーぐー」

美夏「彰吾!」

彰吾「……はっ!」

美夏「一体、なんなの?」

彰吾「いや、なにって夢中になれることだよ」

美夏「……何言ってんの、あんた」

彰吾「つまり、寝ることだよ」

美夏「……」

彰吾「俺、寝ることに夢中になるよ。文字通り、夢の中で、夢中」

美夏「アホかー!」

美夏が彰吾を殴る。

彰吾「ぐあっ!」

終わり。

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