ラブメール

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
双葉(ふたば)
果歩(かほ)

■台本

教室内。

双葉「……はあ、千明君、格好いいよねー」

果歩「まあ、女子の中でも人気っちゃ、人気だね」

双葉「彼女、いるのかなぁ?」

果歩「んー。どうだろうね。部活命って感じだからいないんじゃない?」

双葉「でもさ、あんなに格好いいなら、絶対、言い寄られてるよ。告白とかされてるかも。で、なし崩し的に付き合ったりとか」

果歩「あー、そうだね。彼女、いるかもね」

双葉「いやー! そんな意地悪なこと、言わないでよ!」

果歩「……なんて言ってほしいのよ。面倒くさいなぁ」

双葉「ほら、こう、もっと応援するような感じとかないの? 親友に対して」

果歩「じゃあ、告白すればいいじゃん」

双葉「いやー! ダメ! 恥ずかしくて出来ない!」

果歩「なんなん? 面倒くさいなー、もう」

双葉「ほら、もっとさ、メル友から始めればとか、そういうアドバイスが欲しいわけよ」

果歩「じゃあ、アドレス交換すりゃいいじゃん」

双葉「いやー、ダメ! 断られたら立ち直れない!」

果歩「……めんどくさ!」

双葉「ってことで、お願い! 千明くんのメルアド、ゲットしてきて! SNSのIDでも可!」

果歩「はあ……。最初からそう言いなよ。遠回し過ぎ!」

双葉「よろしく! 上手くいったら、お昼ご飯奢る!」

果歩「はいはい。……って、メールって言えば、あんた、メルアド変えた?」

双葉「え? あー、うん。なんか、ストーカーメール来るようになったから、変えた」

果歩「ストーカーメール?」

双葉「うん。なんか、突然、好きですとか送って来てさ。気持ち悪くて」

果歩「送り主、覚えあるの?」

双葉「さあ? 知らないアドだし、無視してたんだ。新手の詐欺メールかもしれないしさ」

果歩「あー、なるほど」

双葉「でも、無視したらドンドン、送って来る数が多くなってさ。だから、変えたんだ」

果歩「……変えたなら、教えなさいよ」

双葉「ああ、ごめんごめん。実際、メール使ってないじゃん。大体、SNS使うしさ」

果歩「まあ、確かに。けど、一応、新しいメールアドレス教えておいてよ」

双葉「えーっと、はいはい。……これ」

果歩「……ん? なにこれ? どんな意味があるの?」

双葉「適当。なんか考えるのめんどいし」

果歩「これじゃ、覚えづらいんじゃない?」

双葉「別に使わないし」

果歩「はあ……。まあ、いいけどさ」

場面転換。

教室内。

果歩「はい、これ。千明くんのアドレス」

双葉「きゃー! ありがとう! さすが!」

果歩「昼飯、奢るの忘れないでね」

双葉「ねえ、なんて送ったらいいかな?」

果歩「それくらいは自分で考えなさいよ」

双葉「えーと、えーと! す、き、です。付き合って……ください……と」

果歩「……メル友から始めるんじゃなかったの?」

場面転換。

教室内。

双葉「……」

果歩「……どうしたの? 断られた?」

双葉「ううん。でも、その一歩手前って感じ」

果歩「どういうこと?」

双葉「アドレス変えられちゃった」

果歩「……それ、断れる一歩手前じゃなくて、数歩先じゃない?」

双葉「えー、なんでなんで? どうして、こんなことするのー!?」

果歩「……どんな内容を送ったの?」

双葉「え? 別に普通だよ。ずっと好きでしたとか、ずっと見てますとか、千明くんのためなら死ねますとか、だよ」

果歩「……全然普通じゃないね」

双葉「やっぱり、返信待ってからのほうが良かったのかな?」

果歩「ん? ちょっと、詳しく」

双葉「あのね。まず、好きです付き合ってくださいって送ったのよ」

果歩「うん。まずで送る内容じゃないね」

双葉「だけど、返事がないから、もしかして気づいてないのかなって、返事来る前に何通か送ったの」

果歩「……それで?」

双葉「それでも返事が来ないから、送るペースが増えちゃってさー。昨日、一晩中、送ってたら、朝にアドレス変更されちゃった。ううー、酷いよー」

果歩「……いや、普通だと思うよ」

双葉「ねえ! どうしたらいいかな?」

果歩「……どうしようもなにも、諦めるしかないんじゃない?」

双葉「ええー! だって、まだ告白して、断られてないんだよ! 諦めるのは早くない?」

果歩「んー。断れるよりも確実な事されてるけどね」

双葉「お願い! もう一回、千明くんのアドレス、ゲットしてきて!」

果歩「……まあいいけど、結果は同じだと思うよ……」

場面転換。

教室内。

双葉「お願い! もう一回、千明くんのアドレス、ゲットしてきて!」

果歩「……また? これで何回目よ。ホント、もう諦めたら?」

双葉「いーや! まだ、断れてないもん!」

果歩「……今度、千明くんにちゃんと断るように忠告しておくか」

双葉「え? なんか言った?」

果歩「ううん。なんでもない」

場面転換。

教室内。

果歩「……」

双葉「ねえ、どう? 千明くんのアドレス、ゲットできた?」

果歩「あー、いや、それが……」

双葉「まさか、ついに断られたとか?」

果歩「そうじゃなくて……。千明くん、不登校になったみたいなのよ」

双葉「ええ!? そ、そうなの? 最近、見ないと思ったら……」

果歩「……なんで、好きな人のことを知らないのよ?」

双葉「いやあ。最近はメールを送る方に集中しちゃって。……でも、なんで、不登校になっちゃったんだろ?」

果歩「んー。それが、謎のストーカーに追い回されてるみたいなのよ」

双葉「す、ストーカー!」

果歩「だいぶ前から悩まされてたみたい。……なんかね、やっと相手の気持ちがわかったとか言ってたんだって」

双葉「なにそれ?」

果歩「さあ?」

双葉「それにしても、千明くんにストーカーするなんて、許せない!」

果歩「……それ、あんたが言う? それよりさ、あんた、メールを送っても返事返って来なかったんだよね?」

双葉「うん」

果歩「うーん……」

双葉「どうかしたの?」

果歩「いやさ、色々、情報集めたんだけど、あり得ないんだよね」

双葉「あり得ないって、どういうこと?」

果歩「あんた、脈ありっぽいらしいんだよね」

双葉「ええー! ホント!?」

果歩「うん。男子の中だと、割と有名っていうか、バレバレだったらしい」

双葉「うわー! ホントに? やったー!」

果歩「けど、それだとおかしいのよね」

双葉「なにが?」

果歩「返事がないってところが」

双葉「あ、確かに」

果歩「あんたからメールが来たら、少なくても返事すると思うんだけど。ましてや、アド変なんて、するわけないはずでしょ?」

双葉「……どういうことなんだろ?」

果歩「……ちょっと、今まで送ったメール見せてくれる? もしかしたら、内容でドン引きされたかもしれないし」

双葉「あはは。まさかー。えーっと……はい、これ。今までのメール」

果歩「……2000超えかぁ。これは引くね」

双葉「え? そう?」

果歩「まあ、念のため、最初のメールから見てみるか……」

双葉「どう? 変なことなんて書いてないでしょ?」

果歩「いきなり告白は置いておいて、あんた、逆に書かなきゃいけないこと書いてない」

双葉「え? なになに?」

果歩「……あんた、名乗ってないじゃない」

双葉「……あっ!」

終わり。

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