俺の部屋に住む幽霊

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉  

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、恋愛

■キャスト
明(あきら)
茉優(まゆ

■台本

明(N)「俺の部屋には幽霊がいる。ある日、突然、俺が自分の部屋に帰ると、部屋の真ん中で仁王立ちしていたのだ」

茉優「いえーい! 今日からよろしく!」

明「……」

明(N)「今、俺が住んでいる部屋はおじさんが所有する物件で、かなり安い家賃で貸して貰っている。さらに、おじさんには昔から色々とお世話になっているというのもあるから、引っ越すこともできない……」

場面転換。

ガチャリとドアを開けて、明が部屋に入って来る。

明「……ただいま」

茉優「遅い!」

明「……仕方ないだろ。残業だったんだから」

茉優「ずーっと、暇だったんだから! 罰として、これから、あたしとゲームね!」

明「……はいはい」

明(N)「うちに住む幽霊は、もはや何でもありだ。ゲームも普通にやれる。休みの日は普通に徹夜させられることだってあるのだ」

場面転換。

ガチャリとドアが開き、明が部屋に入って来る。

明「……ただいま」

茉優「お帰り! ご飯にする? お風呂にする? それとも、あ、た、し?」

明「お、お前……その恰好はなんだ?」

茉優「えへへへへ。男の子の憧れ、裸エプロン!」

明「すぐに元の服に戻せ!」

茉優「ええー。せっかく、喜んでくれると思ったのに!」

明「バカ言うな! 少しは自分の立場に自覚を持て!」

明(N)「ったく! 俺がどれだけ、理性を保つのに苦労してるか、わからないんだろうな。幽霊じゃなければ、押し倒しているところだ」

場面転換。

カバンを持って、部屋を出ようとする明。

茉優「……いってらっしゃい」

明「……朝なんだから無理するな。辛いだろ。まだ寝てろよ」

茉優「……今日は何時に帰って来るの?」

明「……少し残業だから、9時過ぎかな」

茉優「そっか……。お仕事頑張ってね」

明「おう」

茉優「あ、でも、寂しいから、なるべく早く帰ってきてね」

明「……お、おう」

茉優「いってらっしゃい」

明「……行ってきます」

明(N)「ああ、くそ。可愛いな。……ついつい、思ってしまう。もし、こんな奥さんがいたら……。でも、その考えはすぐに振り払う。相手は幽霊。こんな感情を抱いては行けないのだ」

場面転換。

茉優がゲームをしている。

欠伸をする明。

明「……俺、もう寝るわ」

茉優「うん、お休みー」

明「お前も、ほどほどにしとけよ」

茉優「うん、わかってるって」

明「今日は冷えるんだから、温かくしておけよ」

茉優「あはははは。過保護すぎー」

明「……そうだな、すまん。お休み」

茉優「おやすみー」

場面転換。

深夜。静かな部屋の中。

明が寝ている中、布団がガサゴソと動く。

明「……ん?」

茉優「えへへ。暖かーい」

明「なっ! おまっ! 何してんだよ!」

茉優「今日は冷えるから」

明「冷えるからって……。さすがにマズいだろ! さっさと自分の布団に戻れ!」

茉優「えー! だって、寒いんだもん。今日は一緒に寝よ―よ」

明「ダメに決まってるだろ!」

茉優「あたしが風邪ひいてもいいの?」

明「……」

明(N)「相手は幽霊、相手は幽霊、相手は幽霊、相手は幽霊……」

明「相手は幽霊」

茉優「え?」

明「あっ!」

茉優「……ふふ。なに? そんな風に自分に言い聞かせてたわけ?」

明「あー、いや……その……」

茉優「……ねえ、知ってる? いとこ同士って結婚できるんだよ」

明「……」

明(N)「この瞬間、俺の中で、何かが壊れた」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉