虎の威を借る
- 2022.11.12
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
光(ひかる)
虎司(とらじ)
子供1~2
光の友人
中学生1~2
少年1~2
■台本
公園。
光「おい! お前ら、今から俺たちが公園を使うから、どけよ」
光の友人「そうだそうだ!」
子供1「はあ? なんでだよ!」
子供2「俺達が先に遊んでたんだぞ!」
光「いいから、出てけよ!」
子供1「いやだね!」
子供2「そうだそうだ」
光「俺さー。虎司くんと親友なんだよね。お前らのこと、虎司くんに言いつけてもいいのかな?」
子供2「虎司って、あれだよね? 色々噂のあいつだよね?」
子供1「……俺んちで遊ぶ」
子供2「う、うん」
すごすごと子供1と子供2が公園から去っていく。
光「あははははは! だっせー!」
光の友人「光はすげーな」
光「よし、じゃあ、場所が空いたし、遊技帝のデュエルやろうぜ」
場面転換。
光と虎司が歩いている。
光「そしたらさー、そいつら涙目で公園から逃げてったんだよ」
虎司「ふーん」
光「やっぱり、虎司くんはすごいよね。名前だけでも、みんなビビるんだもん」
虎司「はあ……」
光「どうかしたの?」
虎司「いやさ、あんまり有名になるのもどうかなーって思うんだよな」
光「え? どうして?」
虎司「みんな、俺の名前を聞いただけでビビっちまう」
光「……いいことじゃないの?」
虎司「あのなぁ。そうなったら、喧嘩できなくなるなるだろ。最近、全然、喧嘩できてねーんだよ」
光「あはははは。やっぱり、虎司くんはすげーや」
虎司「あーあ。また、5人相手に喧嘩してーよ」
光「えー。虎司くんなら、10人はいけるんじゃない?」
虎司「ふふ。そうかもな」
そこに、中学生2人が現れる。
中学生1「おい、お前ら」
光「ん?」
中学生2「……こいつらか? 昨日、お前らに意地悪したの?」
子供2「そうだよ!」
子供1「こいつ、こいつ!」
光「……(ビビッて)と、虎司くん」
虎司「……」
中学生1「顔貸せよ」
虎司「ああ」
光「……だ、大丈夫なの? あいて、中学生っぽいよ?」
虎司「いいから。いいから」
場面転換。
公園。
中学生1「お前ら、覚悟は出来てるんだろうな」
光「……ひっ」
虎司「……ふん」
中学生2「2対2だ。文句ねーな?」
光「うう……」
虎司「俺だけでいい」
中学生1「……ふん。いい度胸だ」
中学生2「言っとくけど、相手が小学生だからって手加減はしないからな」
虎司「……それは別にいいけど、あんたたちは本当にいいんだよな?」
中学生1「え?」
虎司「小学生相手に、中学生が2人で負けたら、お前ら、もう街を歩けなくなるぞ」
中学生1「……」
中学生2「……」
虎司「いいんだな?」
中学生1「ちっ! いくぞ」
中学生2「お、おう」
子供1「あ、お兄ちゃん!」
子供2「待ってよー」
4人が公園から去っていく。
虎司「……」
光「すっごーい! やっぱり、虎司くんはすごいよ! 気迫だけで中学生を追い返しちゃうんだもん!」
虎司「あー。やっちまったな」
光「え?」
虎司「喧嘩しそこねた」
光「あははははは」
虎司「久しぶりのチャンスだったんだけどなぁ。ホント、体が鈍っちまうぜ」
光「強いっていうのも、問題だねー」
虎司「そうだなー」
場面転換。
光と虎司が並んで歩いている。
光「ねえねえ、虎司くんは西小をシメようとかはやんないの?」
虎司「いやー。そういうのは面倒くさいからさー。俺がやりたいのは喧嘩だけだから」
光「虎司くんは格好いいなー」
虎司「俺には喧嘩しかねーけどな」
光「それでも十分、すごいよ」
そのとき、遠くから少年たちの声が聞こえる。
少年1「うわっ! やばっ! それ、超レアじゃん!」
少年2「ラッキー! まさか、龍神王ギュラスが出るとは思わなかったー」
光「……」
虎司「……どうした?」
光「ごめん、虎司くん。ちょっと、一緒に来てくれない?」
虎司「ん? 別にいいけど」
光たちが少年たちの方へ歩いて行く。
光「へー。ギュラス引いたんだ。すごいね」
少年2「……ど、どうも」
少年1「(ひそひそと)誰?」
少年2「(ひそひそ)知らない……」
光「ねえ、そのギュラス譲ってくれない?」
少年2「え? 嫌ですよ」
少年1「そうですよ。これ、激レアなんですよ」
光「俺、めちゃくちゃたくさん買ったのに当たんなかったんだよね。だから、すげー欲しいんだよね」
少年2「そんなこと言われても知らないですよ」
光「じゃあ、この、ゴブゴブ20枚と交換にしてよ」
少年2「……嫌ですよ。そんなゴミカード、たくさんいりません」
光「お願い」
少年2「嫌です」
光「……ふーん」
少年2「……」
光「(ドスを効かせて)痛い目みる前によこせよ」
少年2「え?」
虎司「おいおい。まさか……」
光「この人ね。虎司くんって言うんだけど、知ってる?」
少年2「知らないけど……」
少年1「うん。知らない」
光「あらあら。ダメだね。えーと、この虎司くん、すっごい、喧嘩強いんだよね」
少年2「……無理やりとるっていうの?」
光「大人しく渡さないならね」
少年1「お、おい。どうする?」
少年2「嫌だ! 絶対に渡さない!」
光「はあ……馬鹿だね。ねえ、虎司くん、お願いしてもいいかな?」
虎司「おいおい、いくらしばらく喧嘩してねーって言っても、これじゃ弱い者イジメじゃねーか」
光「お願い。あのカード、どうしても欲しいんだ」
虎司「しゃーねーな」
少年2「ひっ!」
虎司が少年2の胸ぐらをつかむ。
虎司「覚悟しろよ」
少年2「うわーーーーーー!」
虎司「へ?」
ガンと虎司が少年2に殴られる。
虎司「ぐへっ!」
倒れる虎司。
虎司「へ、へへ……意外とやるじゃねーか」
少年2「うわーーーーーー!」
虎司「い、いや、ちょ、待って……。いて! うわ!」
少年2が馬乗りになって虎司を殴る。
少年2「あーーーー!」
虎司「うわ! も、もう止めて! うわーん!」
虎司が少年2を払いのけて、逃げていく。
光「え? ……虎司くん?」
少年1「……なんだあいつ。弱いじゃん」
少年2「はあ、はあ、はあ……」
少年1「おい、お前!」
光「ひっ!」
少年2「覚悟しろよ!」
光「うわーーーーー!」
終わり。