100円均一セール
- 2022.11.27
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
龍成(りゅうせい)
瑛太(えいた)
圭介(けいすけ)
仁(じん)
客1~4
アナウンス
■台本
道を歩く、龍成と瑛太。
龍成「あー、腹減った」
瑛太「龍成、なんか奢ってー」
龍成「アホか。自分で食う分でいっぱいいっぱいだっての!」
瑛太「龍成、金遣い荒いからね」
龍成「お前が言うな。っていうか、俺は仕送りが少ねーから、しゃーないんだよ」
瑛太「バイトすりゃいいのに」
龍成「だから、お前がいうな、お前が。この、ボンボンめ」
瑛太「ボンボンなんかじゃないよー。ただ、親父がちょっと金持ちなだけ」
龍成「そういうのをボンボンっていうんだよ」
瑛太「あ、龍成、あそこのスーパー寄ってかない? 総菜だったら安いかもよ」
龍成「お、いいね」
場面転換。
スーパーのドアが開く。
中は客で賑わっている。
龍成「うおっ! なんか、混んでるぞ」
瑛太「あれ? このスーパーっていつもこんなにお客いたっけ?」
龍成「いや、そんなことないと思うけど……」
瑛太「あれ?」
龍成「どうした、瑛太?」
瑛太「混んでる割りには、レジに誰も並んでないね」
龍成「あ、ホントだ……」
そのとき、アナウンスが響き渡る。
アナウンス「お客様、お待たせしました。ただいまから、100円均一セールを開始いたします」
その言葉を皮切りに、一気に客たちが完成を上げ、盛り上がる。
龍成「うお! なんだ、こりゃ」
瑛太「なるほど。セールを狙った客が集まってたってことだね」
龍成「ふふふ。面白い。これだけ集まるってことは、相当安いってことだな」
瑛太「まあ、100円セールだからね」
龍成「金のない、俺達にうってつけだ。参加するぞ」
瑛太「おっけー」
龍成「いくぞ!」
二人が走り出す。
龍成「うおおおお! 唐揚げ200グラムセット、いただきー!」
龍成が手を伸ばす……が。
龍成「うおっ!」
何者かが、龍成の手を払う。
圭介「甘い、甘い。俺の目の前で唐揚げを取ろうなんて、100年早い」
客1「くそ! 唐揚げの圭が来てるぞ。唐揚げは諦めるしかないな」
龍成「……悪いが、唐揚げを諦める気はない」
圭介「ふっ、来な!」
龍成「うおおおおお!」
圭介「はっ!」
龍成「たああ!」
圭介「うっ!」
龍成と圭介との死闘。
龍成の一撃が圭介に入る。
圭介「やるな! その動き、空手か?」
龍成「まーな」
圭介「格闘技をやってる奴なら、手加減は必要なさそうだな……」
客2「うおっ! 唐揚げの圭の、唐揚げ拳が出るぞ」
龍成「……唐揚げ拳ってなんだよ」
圭介「いくぞ! 揚げ揚げ揚げ揚げ!」
龍成「うっ!」
圭介が龍成にもうラッシュを繰り出す。
龍成「ぐはあっ!」
攻撃を食らって吹き飛ぶ龍成。
圭介「ふん。しょせんはその程度か」
瑛太「ナイス、龍成」
圭介「なっ!」
瑛太「ふっ!」
圭介「うっ!」
瑛太の拳を腹に食らって倒れる圭介。
瑛太「悪いね。こっちはタックなんだ」
龍成「くそ、瑛太。遅いぞ!」
瑛太「龍成が十分、引き付けてくれないと意味ないでしょ」
龍成「……唐揚げ5個貰うからな」
瑛太「はいはい」
瑛太が唐揚げに手を伸ばす。
しかし――。
瑛太「がはっ!」
瑛太が首筋に一撃を貰い、倒れる。
龍成「瑛太!」
仁「悪いね。タッグなのは、そっちだけじゃないんだ」
龍成「くそっ!」
仁「じゃあ、決着を付けようか」
龍成「ああ……。いや、待て」
仁「なんだ? 怖気着いたのか?」
龍成「……唐揚げがなくなってる」
仁「なに? い、いつの間に?」
龍成「マズイ。……大分、総菜がなくなってる。お前も、こんなところにいないで、他の総菜を取りに行った方がいいぞ」
仁「くそ!」
仁が走り出す。
龍成「瑛太、すまん。あとで迎えに来るからな」
龍成も走り出す。
場面転換。
人ごみの中を縫うように進んで行く龍成。
龍成「うおおお!」
客2「甘い!」
龍成「うお、あぶねえ!」
客3「はあ!」
龍成「ふん!」
客3「ぐはっ!」
客4「はああああ!」
龍成「てい!」
客4「がはっ!」
総菜をめぐって死闘が繰り広げられる。
龍成「はあ、はあ、はあ……。くそ。総菜のところに辿り着くまでに時間がかかりすぎる。その間に取られちまう」
目の前では大いに盛り上がっている客たちがますますヒートアップする。
龍成「仕方ない。ここは少々強引に行くしかないな。はああああああああ!」
龍成が突進していく。
龍成「退け退け退け退けーーー!」
龍成が人々を吹き飛ばしながら進んで行く。
場面転換。
スーパーの駐車場。
辺りは静か。
瑛太「うう……。いてて」
龍成「起きたか、瑛太」
瑛太「……総菜は?」
龍成「買えたぜ。……一つだけだけどな」
瑛太「なに?」
龍成「……揚げ玉」
瑛太「それ、総菜?」
龍成「うるさいな。これでも必死だったんだよ」
瑛太「ふーん。ま、気絶してた僕に文句を言う資格はないか」
龍成「そういうこと」
瑛太「じゃあ、帰りにソバでも買ってく?」
龍成「ああ、そうだな」
二人が歩き出す。
瑛太「ねえ、龍成」
龍成「なんだ?」
瑛太「それ、100円のシールが貼ってるけどさ」
龍成「それがなんだ?」
瑛太「……普通、それ、30円くらいで売ってるよね?」
龍成「……あっ!」
終わり。
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