【声劇台本】寝苦しい夜

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
明(あきら)
忍(しのぶ)
その他

■台本

大学の教室内。

生徒たちの話声などでざわざわしている。

明「……ってわけで、寝不足なんだよ」

忍「ふーん。それって、いつから?」

明「三日前。地元で有名な、穴場で最強の心霊スポットに行ってからだな」

忍「完璧に、連れ帰ったわね、それ」

明「だよなー。俺、霊感ないから大丈夫だって思ったのに……」

忍「で? 寝苦しいって、どんな感じ?」

明「なんていうかな、こう、ずっしり重い感じ? 朝起きたら、すっげー疲れてるんだよ」

忍「姿とか、声とかは?」

明「見えないし、聞こえない」

忍「気のせいってことはないの?」

明「三日連続でか? それまでは、毎日、快眠だったんだぞ」

忍「……ご愁傷様」

明「忍―、見捨てないでくれよ。なんとかしてくれ」

忍「はあ……。明、あんたねー、不用意にそんなところに行くのが悪いのよ」

明「ううー。もう行かないって誓うから!」

忍「私、別に霊能力者とかじゃないし、お祓いとかできないわよ」

明「でも、忍は霊感が強くて、今までも色々幽霊系のことは、対処してきたんだろ?」

忍「まあ……それなりにね」

明「だったら、俺にも頼む!」

忍「……しょうがないわね。色々、対策立ててあげるから、ちょっと待ってなさい」

明「サンキュー!」

場面転換。

大学の食堂。

忍「はい。まずは、お札」

明「お! マジで! これがあれば、怖い者なしだ!」

忍「ちょっと待ちなさい! 私は専門家じゃないの。あくまで、気休め程度のお札だから、過信しちゃダメよ」

明「そ、そうなのか……」

忍「とにかく、そのお札をベッドの近くに貼って置いて。それから、窓のカギを開けてから寝て」

明「え? 窓のカギを? なんで?」

忍「お札を部屋に貼った時に、幽霊が家から出ようと思っても出られないでしょ」

明「けど、幽霊なんだから、すり抜けとかできるだろ」

忍「あのね、幽霊にも色々いるの。人間の時の感覚が残っていて、本来、すり抜けられるはずなのに、思い込みですり抜けられないとかあるのよ」

明「めんどくせー」

忍「そういうものだと思って諦めなさい」

明「けど、窓を開けとくって、防犯的にどうなんだ?」

忍「ああ、開けなくていいの。カギさえ開けておいてもらえれば」

明「そうなんだ? けどなぁ……」

忍「大丈夫よ。男のあんたを狙うような人なんて、滅多にいないって」

明「ま、幽霊がいなくなるまでの我慢か」

忍「そうよ。で、最後に、これも渡しておくわ」

明「ん? なんだこれ?」

忍「睡眠導入剤」

明「ええ? 睡眠薬って、まずいんじゃないか? 素人が勝手に飲んだりしたら」

忍「だから、睡眠薬じゃなくて睡眠導入剤! 一時的な不眠症に使用するものよ。睡眠薬ほど強くないから安心して」

明「あ、ああ。わかった、けど……。なんでこれが必要なんだ?」

忍「だって、眠れないんでしょ?」

明「そうだけど……お札貼って終わりなら、別にこれはいらないだろ」

忍「だーかーら、お札は気休め! 幽霊がすぐにいなくなるかわからないんだから、その間は強引に寝るしかないじゃない」

明「……そっか。まあ、やってみるよ」

忍「さっそく、今日試してみて。で、明日、結果を教えてちょうだい」

明「わかった。ありがとな」

場面転換。

明の部屋。

明「さてと、そろそろ寝るかな。……えっと、お札は壁に貼ったし、窓のカギは開けたし、最後に睡眠導入剤を飲んでっと……」

場面転換。

朝。スズメが鳴く声。

明「うーん……」

場面転換。

大学の教室。

明「忍、試してみたよ」

忍「ど、どうだった?」

明「うーん。まあ、寝れたは寝れたよ。けど、幽霊は出て行ってないみたいだ」

忍「どうして?」

明「体がなんか重いんだよ。なんか、圧迫されてた感じ」

忍「そっか……。じゃあ、長期戦だね」

明「ああ。どうしてもダメだったら、お祓い行くわ。……そのときは金貸して」

忍「……はあ。はいはい」

場面転換。

大学の教室。

明「忍、ヤバい……」

忍「ど、どうしたの? なんかあった?」

明「レベルアップしてる」

忍「どういうこと?」

明「ベッドに長い髪の毛があった。それに、なんか、温かいんだよ。絶対、布団の中に入って来てる!」

忍「あー、髪か……」

明「やっぱ、髪はマズイのか?」

忍「う、ううん。そういうのじゃなくって……。とにかく、そこまで心配しなくていいと思う」

明「そ、そうなのか?」

場面転換。

明の部屋。

ベッドの上で寝返りを打つ明。

明「……なんか寝れないな。……あ、睡眠導入剤、飲んでないな」

その時、カラカラと静かに窓が開く音。

明(N)「え? ……まさか、幽霊来た? ヤバいヤバい、超怖い!」

トンと床に降りる音。

明(N)「うわ、入ってきた!」

ゆっくりと足音が近づいてくる。

明(N)「来るな! 来るな! 来るな!」

布団の中に誰かが入ってくる。

明(N)「うわーうわー! 入ってきた! 布団の中に入ってきたよ!」

忍「明……。はあはあ……。大好き!」

明(N)「うわー! 抱き着かれたー……って、あれ?」

ガバッと起きる明。

そして、パチリという、電気をつける音。

忍「あっ!」

明「……忍?」

忍「なんで、起きてるの?」

明「睡眠導入剤、飲み忘れたんだよ」

忍「ええ! ちょっと、何してんのよ!」

明「いや、そりゃこっちの台詞。何してんだ、お前?」

忍「ああ、いや、これは……その……明が幽霊に睡眠を妨害されてないか、心配で……」

明「……幽霊じゃなくて、お前に妨害されたけどな。……って、いうか、お前の仕業だったのか―!」

忍「きゃー! ごめんなさいー!」

幽霊「よかった。……バレてないみたいね。それじゃ、これからも、よろしくね。明くん。ふふふ……」

終わり。

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